3日目 おでかけ1


僕は独り買い物に行こうとしているマリオネッタの前に仁王立ちになって立ち塞がった

「マー君、買い物に行きたいので、どいて欲しいのですが?」

マリオネッタは僕が立ち塞がっていることを心底、面倒さそうに言った


「また、マリオネッタ独りで外に行くんだろ?」

昨日のように外行き用の服を着ていたから、賢い僕はすぐにわかった


「今日も買い物があるので、昨日マー君が使った食材を買い直さないといけないので」

そう言いながら、僕を追い越そうとしたが……

「それは、確かに僕が悪いと思うが……それに関しても、僕は言いたいことがある!

ここのキッチンは僕にとって高すぎるんだ!昨日は椅子を使ってどうになかったが、

この家にある椅子は重すぎる!それに調理器具も少ない!」

昨日家事をして分った、この家に足りないものをマリオネッタに話していく

「以上のことから、マリオネッタ!僕が指示してやるから!外に連れて行け!」

僕が自信満々に言うと、マリオネッタは少し考えるような仕草をした後

「わかりました。だけど、独りで先に行ったりしないでください」

ため息を吐きながらそう言った

「それは僕のセリフだ!まったく!」

どっちが主人かわかっていない!

「とりあえず、マー君、今日はショッピングモールに買い物に行くことにします

この辺りでは、一番品揃えが良いので、オートマタ用の家具や衣服が揃っていますので」

マリオネッタが説明を始めるが……明らかに自分の物を買いに行こうとしている

「衣装はまだあまりないので、少しでも買っておきたいので……

!!!バスの時間です!!!」

マリオネッタが右腕につけた時計を見て慌てて玄関から出ようとする!

「待って!!僕の靴!!」

元々外に出る予定がない僕はまだ靴を出していなかった

「まったく!!忙しい時に!!」

マリオネッタが焦りながら下駄箱に入ってある箱から僕の靴を取り出す

「早く座ってください!」

そして僕に座るように言うと、素早く靴を履かせる

「はい、終わりました!立ち上がって!!」

そして、僕の手を掴むと外に出て、鍵をかけると急ぎ歩きで進み出した

「あら、おはよう!マリちゃん!今日は仲良くお出かけ?羨ましいわね!」

それから、数歩、歩いたところ玄関先の道を掃除していたおばさんが話しかけてきた

「おはようございます」

マリオネッタはそう言いながら、足を進めようとするが

「あらあら、マリちゃんたらそんなに慌てて!最近は人間もどきが仕事をしてくれるんだから、そんなに慌てなくて良いじゃない!」

そう言いながら、おばさんはマリオネッタに話しかけるが、マリオネッタは僕の方を見て少し焦っている?それよりも

「人間もどき?」

初めて聞く言葉に僕は首を傾げる

「あら?ボクはまだよくわからない言葉だった?人間に似た人の仕事を奪う機械の事よ!

私がやってきた家事を全部奪って、やる事がこんな人様の家の前を掃除するくらいしかないのよ!」

僕の疑問にこのおばさんは子供扱いするようにそう言う。

つまり、マリオネッタのようなオートマタに仕事を奪われたのか!

そこを理解したら、マリオネッタが焦っている理由が分った!

マリオネッタは自分がオートマタとバレたら、危害を加えられるかもしれないと怯えているんだ!

まったく、僕を相手に偉そうにしているが、内弁慶だったとは!

ここは主人として、助けてあげるとするか!

僕はマリオネッタの腕を引っ張りながら

「お姉ちゃん!早くいかないとバスが出るよ!」

マリオネッタに話しかけると

「ああ、マー君そうですね!すいません、今日は弟の服とかを買いに行かないといけないので……」

「あら、残念ね、もっとお喋りしたかったのに……気をつけてね!ボクもお姉ちゃんを困らせないでね!」

意図を読み取ったマリオネッタがおばさんの横を通り過ぎる



「お子様扱い……あいつ嫌いだ……」

バス停に着いたところで、僕はマリオネッタに話しかけた

「人にはいろんな人がいるので、マー君を出したくなかったんです」

マリオネッタは自分が危害を加えられるかもしれないから、僕を外に出したくなかったのか!

「いいさ!でも今回のことで、一緒に居ても大丈夫だってわかったでしょ?」

「ええ、少し過剰になってました……でも、独りで出かけるのはダメですからね」

心配性なマリオネッタは、僕にそう言ったが……心配しすぎだろ?


そう思っていると、少し遠くから大きな声が聞こえ、複数の人間が何かを訴えているような……

「マー君、バスが着ました、行きますよ」

マリオネッタが僕の手を引っ張ってバスに乗り込んだせいで、よく分からなかった





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