3日目-2


バスに乗った僕は窓から流れる景色を見ながら、ワクワクしていた!

「楽しみなのはわかりますが、椅子の上に足を乗せるのは、はしたないですよ」

マリオネッタは無感動に椅子に座っている

そんな様子を見て、少し恥ずかしくなった僕は、窓に背を向けて、椅子にきちんと座る

「良い子ですね」

マリオネッタが僕の頭を撫でる

柔らかい感触がして、頭が熱くなり顔を下に向けてしまった

「子供扱いするな……」僕は小声でそう言った


それから、20分くらい座っていると

「そろそろ、着きますので」マリオネッタはそう言って、立ち上がると

降車口へ歩き出して、僕もそれを追いかける。

前の方へ行くと運転席には誰もいなかった

自動運転かな?そう僕が考えていると

降車口の前でマリオネッタは立ち止まると

“ピッ“電子音がなる

「行きましょう」再びマリオネッタが歩き出す

そうか、あそこでセンサーから料金を引き落とすのか!

僕もマリオネッタの真似をして立ち止まるが

「どうしました?」

急に僕が立ち止まったのをマリオネッタが首を傾げながら僕を見る

僕は不安になって、センサーとマリオネッタを交互に見るが……

「もう支払いは終わってますよ」

僕が言いたいことがわかったマリオネッタは僕の手を取ると再び降車口へ歩き出そうとしたが……

「おい!餓鬼!!早くしやがれ!!」

後ろから野太い年配の男の声が聞こえて、思わず振り返ると顔を真っ赤にした50歳くらいの男が立っていた

「あっ……あの……」

僕に向け荒れた悪意に、声が出なかった

「なんだよ!!早くしろよ!!」

男が僕に近づいてくる!僕は一歩後ろに後ずりすると

「行きますよ!」

マリオネッタが僕を引っ張りバスから降りると、すぐにバスから遠ざかりデパートに入る

「ぼっぼく……」何か喋らないといけないと思っても、言葉が出なかった

「良いんですよ……それより、ごめんなさい……」

マリオネッタの言葉に思わず顔を上げた

「私がもっとしっかりしていれば……怖かったですよね」

僕を握る手に力が籠る

「違う!僕が……もっとしっかりしていたら……

外に出るとか今までなかったから……」

一人で何も出来ていない悲しさに……目から涙が出そうになって……

マリオネッタに強く抱きしめられた

「良いんです……その為に私がいるのですから……

独りで出来ないのなら、一緒に学んでいきましょう」

その言葉に、抱きしめられた感覚に……僕は声を出して泣いてしまった……


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