第19話 妖魔シャラプの最期
赤い妖艶なハーピー妖魔シャラプの必殺技【
出来る!
俺なら!
軌道が読める!
奴の爪は真っ直ぐ俺の心臓を狙っている。
奴の爪から、俺の心臓への軌道が、スロモーションのように伝わる。
ここ!
俺は奴の爪が身体に届く瞬間、
横に見切り身体を半身
ヒュンッッ!
「んな!」
奴がそう漏らした声を聞くか聞かないか、
ウォォオオオ!!!
三鈷剣で横一文字に切り裂く!
ジャキーーーーンッッ!!
「ウギャアアア!!」
断末魔と共に腹は裂かれて内臓が零れ落ちる。
ボトボト……。
ブシューッッ!!
「お、己ぇぇ妹の仇!!殺してやる」
憎悪の目で俺を睨むシャラプ。
俺には見えた。
シャラプの後ろにいる霊体が。
「見るが良い。」
俺は三鈷剣で、成仏したキャラスンの霊体を可視化させる。
ファアアアア……。
(お姉ちゃん。もういいのよ。
もう楽になろう……)
死したキャラスンはアヤカシの呪いから解放されて穏やかな顔をしている。
はっ!
俺はキャラスンを見て驚いた。
アヤカシの……。ハーピーの姿では無い。
人間の体をしている。
透明の霊体の姿であるが……。
矢張りそうだった。アヤカシは元は人間。
何故呪いと言われているのか?
アヤカシの魂は縛られている。
理屈は分からない。
しかし、直感で感じたのだ。
であれば、その呪いを断ち切るには。
シャラプは涙する。
「キャラ……。キャラ……。」
悲しい姉妹よ。
この呪いの怨嗟を終わらせるのは、
矢張り俺の役目なのかもしれない。
雄一は思った。
そして静かに祝詞を唱えた。
誰にも教わったわけではない。
邪を祓い場を清める祝詞
【トホカミエミタメ】を、
三鈷剣を構え祈る。
トホカミエミタメ、
トホカミエミタメ、
トホカミエミタメ。
シャラプは金色の粒子となり、消えていく。
そして、その後には霊体となり妹のキャラスンと手を繋ぎ天へ登る姿を見届けた。
安らかに。
ふと、目元から涙が。
横を見るとピーニも泣いていた。
「なんだか悲しい闘いだね」
そう。アヤカシの闘いは救う闘いでもある。
悲しい魂を浄化していく為にも、俺は闘い続ける。そして邪神の野望を阻止してやる!
そう固く誓う雄一だった。
パァァァ……。
色味は戻り時は動き出す。
駅舎は元に戻り破損した箇所も戻る。
「お客様!お客様!」
感慨に
「髭剃り中に席を立たれては困ります」
次回へ続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます