第14話 魔怪獣ヴァーハナの最期

巨大な怪獣のようなアヤカシ。

その名はヴァーハナ。


鼻ら辺が天をつんざくような角がそそり立ち口から火炎を吐こうとしている。


その眼の前に俺達!


や、ヤバい!

俺は無我夢中で意識を空に飛ばした!


危ない!飛ばないと!


シュバッ!!


ゴゴゴッッッッ!


「キャー!!!」

逃げ遅れた人々が火に巻かれる。


ゴロンゴロンと転がり、やがて黒炭かのように燃え果てる。


目を開けると俺は飛んでいた。

ハサンの実を食べてないのに!


その瞬間、


ピキーーーン!



まただ!

時が止まる!


俺達とアヤカシだけの空間に変わる。

周囲の色が灰色に変化して色が消える。


ハサンの実だ。

夢中で金色の実を探す。

すると出てきたのは2個。

取り敢えず、金色の実と黒色の実を食べる。


眩い光が明かりを照らす。


その瞬間巨大な魔獣ヴァーハナの尻尾が雄一を捉え吹っ飛ばされる!


ドガーーーッン


私鉄の駅舎の壁を粉々に砕く程吹っ飛ばされる俺。


その飛ばされた壁から光が溢れ、砂と石の粉塵の先から現れたのは、

金剛夜叉明王!


「剛力招来!超力招来!!」


悪を喰らい邪を祓う五大明王の一角、金剛夜叉明王。


金剛夜叉明王の威厳のある第三の目が開く!


神眼!


「ガチョピッッ」

変な鳴き声で魔獣ヴァーハナの動きが止まる。


異様な圧とオーラで動けない。

まるで捕縛術でも食らったかのように金縛りになり動きが止まる。


「ガガッッ……」

動こうと手を動かすが、動かない。


俺は見つめる。

ただ見つめる。


剣すら振るわない。

動きもしない。


奴=ヴァーハナは尻尾を動かす。


バシュッッ!

ブシューッッ!!!


血飛沫が噴水のように吹き出す。


そこには首が無い魔獣が立ちはだかる。



鎌のような鋭い一撃は自らの首をねたのだった。


「やったね!!」

ピーニは飛び跳ねて喜ぶ。


ヴァーハナは黄金の粒子となり消えていくのであった。


色は落ち着きと共に、その色味を取り戻す。


人々は又何事も無かったように、怪獣なんていなかっかたのように普通に動き出し、破壊された町並みも元通りになっているのであった。



    ◆◆◆

今日は渋にある渋谷ドームで、

人気アイドル『白桃サーティワン』の

10周年記念ライブが行われていた。


数年前に世界中で蔓延まんえんした新型ウィルス感染症が、自粛という名の元に、イベント活動や企業活動を閉鎖に追い込んだ。


今回は3年ぶりの記念ライブ。

おじさん達は大盛り上がり。


おじさん達だけじゃない。

白桃サーティワンは老若男女に愛されるグループに成長していた。


その記念ライブ会場が途端に!


ドゴーーン!!!

巨大な大爆発!!


ライブ会場が吹っ飛び黒煙が上がる。


ハチマキを巻いたオジサン達が次々に血反吐を吐きながら大空へ吹き飛ばされていく。


オジサン達だけじゃなく、カップルも子連れも空中に運ばれ爆死していく。


渋谷ドームにはピンポイントで、大きな巨大な鬼の顔をした鬼岩が降ってくる。


ドドド……


ゴガシャッッッ!!!!

ドカーーン!!


渋谷ドームの中央に突き刺さる鬼岩。

その口から血液なのか、大量の赤い河が流れ落ちた。


    ◆◆◆


ピーニが叫ぶ!

「雄一!起きて!アヤカシよ!」


次回へ続く

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