第13話 燃えていく下北沢

アヤカシを浄化して、ハサンの実を食べているとレベルアップの効力なのか、それともハサンの効力が持続してるのかは不明なのだが、身体能力が格段に上がっているのだ。


先ず、疲れにくい。

40を超えてくると、少し走っただけで息切れしていたのが、全く疲れなくなった。


そして妖魔ガキのような腹水が溜まったような『ぽっこりお腹』もへこんだどころか、バキバキに割れている。


長男や娘からも「どうしたの?パパ?」

と呼ばれる始末。


そしてメガネが無くても視力が回復し、乱視も老眼も無くなった。


職場でも、「鏑木さん痩せましたね?」

「何だかカッコいい」

「若々しくなった」

等と呼ばれるようになったのである。


恩恵は体力的な向上だけじゃなかった。


青色の実は知識や閃きの向上が図れる、

よって仕事の能率も上がり、イノベーションやインスピレーションの比率も増していくのだった。


常に頭にもやがかかり、ボヤ〜っとした毎日だったのが、良い睡眠の後のように頭がクッキリするのだ。


必然的に職場の評価も上がる。


今までは、どちらかと言えば日和見的な立場=窓際的な立場だったのがメインのプロジェクトを任されるようにもなってきたのだった。


今はアヤカシが大人しいが、その場合仕事どころじゃないな、そう思っていた。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


「あ!あれを見ろ!」

テレビには異様な光景がライブ中継で映し出される。


あ!下北だ!


下北沢の商店街が激しく燃えている。

逃げ惑う人々。


中には黒焦げになっている人や、燃え盛り、その衝動で半狂乱でアパレルショップに飛び込み、店ごと全焼している等ショッキングな様子だった。


そして改装したばかりの駅舎が大爆発を起こして、更に広場に巨大な怪獣のような魔物が暴れている。


あ、アヤカシ……。


真っ昼間からの大胆な強襲劇。


「雄一。行かないと」

ピーニが妖精の姿で急かす。


今や勤務中だ。


俺は上長に早退願いを出す。


「鏑木君?具合悪いのかね?」

怪訝そうに聞いてくる課長。


すいませんとアヤフヤな態度をしながら、

会社を飛び出す。


くそう。仕事にならないよ。


「雄一。転移の術を使おう」

ピーニが人間態になり、転移の術を提案してくる。


転移の術?

聞いたことがある。あ、浩志が使っていた奴だ。


場所をイメージすれば転移出来るって奴か。


よし!

俺は意識を集中して下北沢の町並みを思い浮かべる。


ピュンピュン……。

金色の粒子となり消えていくピーニと俺。


ピュンピュン……。

再び目を見開いて見ると、そこは下北沢の街!


と思いきや巨大なアヤカシの目の前だった!!


次回へ続く

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る