第11話 ハデルの系譜
前回のゴールデンウィークの旅行は散々だった。
家族で遊びに来た横浜に大災厄が起きたのだ。
しかし、蓋を開けたら大災厄だったのは俺だけ。
あんなに大隕石や火の玉が落下して焦土と化した横浜はアヤカシを屠った後は、たちまち人々からその記憶も災厄の残骸もきえていたのだった。
そこから、ピーニとの出会いや、魔獣ケルベロス召喚など色々な事が起こってるんだけど、やっぱり人生がおかしくなってるのは【俺だけ】なんだよね。
今度は娘が、科学技術館に行きたいと言い出したので、日曜日なので行くことにした。
この日は奇しくも母の日で、ママには楽をして貰おうと、子供だけ連れて出掛けたのだった。
九段下の駅を降りて皇居を回って公園に入る。
科学技術館は子供達で一杯。
一通り遊んだ後、一旦ご飯でも食べようと靖国通りに出る。
すると、休暇にしていた筈のママが合流すると言う。
「何だよ、せっかく暇を出したのに」
と言いつつ、子供達は矢張りパパとママと揃って出かける方が楽しいみたいだ。
合流してラーメンを食べる。
俺と息子は特製チャーシューラーメン。
娘はミニラーメン、ママは塩ラーメンである。
餃子付けて子供達はジュース。
俺はレモンサワーを昼間から引っ掛ける。
「あー!旨い!最高やな!」
「パパ〜。昼から飲まないで」
「やだね、酔っぱらいは。」
「あなた、酒弱いんだから程々にしてよ」
あー分かったよ。大丈夫。
レモンサワーの一杯で酔ってたまるかよ!
って割にほろ酔いである。
さて、ラーメン屋を出るかと
お会計していた矢先、背中に汗が滴る。
あの、大きな玉ねぎと言われ歌にもなった武道館の屋根に向かって大きな大隕石が灼熱に光り落ちてくるのだ。
ドッカァアアアッッッッン!!!
武道館の屋根は大爆破し、吹き飛んだ!
「あーーー!」
俺は思わず叫んだ。
ピキーーーン
時間が止まっている。
子供達もママも店主も通りの車も、
全て時間が止まっている。
アヤカシ……。又か。
「雄一。始まったよ。」
ピーニが人型の体型を取り臨戦態勢を取る。
ピーニはレイピアを装備し、武道館側を指さして叫ぶ。
「あれは妖魔グランダーソン。邪竜よ。」
武道館側から、飛んでくるのは目玉が9つある邪竜。
身を
こうなったらやってやる!
「来い!ケルベロス!」
俺は金色の実をかじる。
『うおぉぉぉッッ!!!
ノーマクサーマンダー、
バーサラダーセンダー、
マーカロシャーナー、
ソワタヤウンタラターカンマン!
不動明王神大降臨!!!』
三鈷剣を握り、ケルベロスに
邪竜グランダーソンは9つの目から、それぞれフルタイム怪光線を放って来る。
ビビッッ!!
ガキーーン!!
何の!
霊力を帯びた三鈷剣で怪光線を弾く。
「ンガガガ……」
奴は9の目のビームを一つに集約してきた。
や、ヤバい。
あれはマトモに食らったらヤバすぎる。
「撃たれる前に討ってやる!」
三鈷剣の力を最大にする。
青白いソウルパワーが宿る。
「ミステリアンウェェェイヴゥゥ!!」
巨大な3つの波動を帯びた月輪の波動スラッシュが邪竜グランダーソンに襲いかかる。
決まった!
ピーニもそう思った。
邪竜グランダーソンは見るも無惨にバラバラに細切れになっている筈だった。
しかし、悠然と空に佇むグランダーソン。
その瞬間!
強力な瘴気を練った巨大な怪光線が雄一を襲う。
「ケル!危ない!」
ケルベロスを
ボシュッッ!!!
「がぁああ!!!」
俺の片腕は飛ばされた。
俺の左腕を吹き飛ばし、その怪光線は反対の靖国神社をぶっ飛ばした。
火柱が上がる。
「く、クソッッ。」
なんて強力な攻撃だ。
オレの心は揺らぐ。
負けるか?!
「だらしねえな。それでもハサンの系譜なのかよ。」
?!
この止まった時間の中で動ける奴がいる。
見るといつの間にか横に白光の鎧を纏う30前後の若者がいる。
「見てろよ。」
白光の鎧の男は一瞬光ったと思いきや、
魔龍の目の前に躍り出ると剣を振るった。
スパッッ!スパッッ!
バラバラ……
ブシューー!!
あっという間にバラバラに細切れにされて金色の粒子に浄化されたグランダーソン。
「え?!」
あんぐりと口を開ける俺に、白光の鎧の男は毅然と、且つ悠々と近づいて来る。
「俺は
次回へ続く
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