妖魔狩り
第9話 パイセン
「おめーよ!ふざけんじゃねーよ!
あ!ブーさん!ありがとうございます!フラットハートバブル〜♪イエイ!決まった!」
パイセンは50過ぎのライブ配信者である。
そのインターネットニュースで出ている顔は落ち武者のような髪型に目は虚ろで窪んでおり、顔色は土気色、そしてヨダレを流している。
数年前の彼から見たら別人。
数年前の彼は彼女と同棲しており、部屋もキレイで音響設備も整っておりウィッグを付けていた。
私生活で何かあったのか?
病気なのか?
最初はそう思っていたが、ピーニは人の姿になり、雄一に語りかけた。
「こいつ、アヤカシだ。」
確かにマスタード臭がする。
ピーニとファミレスで二人で入る。
ピーニはよく見ると、とても可愛いのでドキドキしちゃう。
でも
しかしパイセンの目的は?
何をするつもりなんだ?
俺はピーニに尋ねる。
「アヤカシに殺された者はアヤカシとなる。」
ピーニは驚きの発言をした。
吸血鬼やゾンビと同じ論理で、アヤカシに殺された者はアヤカシ化し魔となるのだそうだ。
ピーニは事の発端を話してくれた。
マーラという異世界が平行世界に存在しているという。
異世界マーラは長年邪神から派生した魔王とアヤカシにより苦しめられていた。
この日本から聖騎士が召喚された。
その名がハサンこと、鏑木
聖騎士ハサンは各地で仲間を集め、
ついに魔王と邪神を追い詰めた。
激闘の末、聖騎士ハサンが、ファイナルゴッドハサンの大技で邪神をも一つにし消滅させた。
そして異世界マーラに平和が訪れた。
しかし、邪神の欠片が生き残ったというのだ。
それが大魔司教ガリウスだと言う。
だが、時空の狭間に飛ばされたガリウスは異世界マーラに戻る事が出来なかった。
そこで、この地球=日本に目を付けた大魔司教ガリウスは、この日本からの支配と聖騎士の系譜=一部を根絶やしにする計画を出した。
「雄一。君こそ、聖騎士ハサンの片割れ=一部なんだよ。」
俺は固まる。
な!
直ぐに理解できるわけないだろ!
そんな中二病みたいな設定。
暫し
頭が白くなり、その反動で左手が何かに当たる。
ガチャン!!
ついついコーヒーカップを床に落としてしまう。
◆◆◆
「雄一。パイセンを倒さないと」
ピーニは雄一をじっと見つめる。
普通ならドキドキしちゃうところだが、
あまりに事が大きすぎて、それどころじゃない。
「でもどうやって?」
雄一は問う。
ピーニは、とんでも無い事を言いのけた。
「ケルベロスでネット回線を伝うのよ」
は??
ケルベロスはアヤカシである。
アヤカシの肉体が構築する前の概念の状態=霊体と同化しネット回線を辿り、パイセンの家まで行くのだという。
でもパイセンはライブしてるだけだろ?
何か悪い事はしてるのか?
「あいつは最早パイセンではない。パイセンの皮を被ったアヤカシ。それに……」
ピーニが言うには、パイセンの言霊にはアヤカシの呪いの言霊がかかっているとの事。
気が弱い人間なら心を殺してアヤカシ化出来るのだという。
よし!パイセンを倒そう。
俺は早速家へ戻る。
家にはケルベロスが欠伸をしなら尻尾を振っている。
既に番犬(笑)。しかも子供達や妻には姿が見えない。
「雄一。ハサンの実で紫と青を食べるのよ」
俺は霊体の姿に変わっていく。
次回へ続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます