花ノ宮香恋ルート 第13話 「一人の役者として、一人の男として」
――――病室の中に、ピーッピーッと、無機質な音が鳴り響く。
ベッドの上に横たわっているのは、白い肌に長い黒髪の美少女、花ノ宮香恋。
彼女は静かに寝息を立てながら穏やかに眠りに就いている。
その顔は、ここに連れてきた当初とは違って、苦悶の色は見られない。
医者に薬を処方してもらったおかげか、大分落ち着いていた。
「……玲奈。香恋はいったい、どうしてしまったんだ?」
ベッド脇にあるパイプ椅子に座りながら、オレはそう、背後に立つメイドへと声を掛ける。
彼女はオレのその声に、何処か焦燥した様子で、口を開いた。
「わ、私にも分かりません、兄さん……」
「それは本当なのか? お前は、オレが香恋をおぶってキャンピングカーに戻ってきたら、すぐにこの病院に行くように催促してきたじゃないか。ここは、花ノ宮家が多額の出資をしている私立病院。なぁ、玲奈……お前、妙に段取りが良すぎやしないか?」
「それ、は……」
「不可思議な点といえばもうひとつある。それは、この病院の医者や看護師たちが、意識を失った香恋を見ても、至って冷静そのものだったことだ。まるで、香恋がこの病院に来るのに慣れているような様子に、オレには見えたぞ?」
「私にも……私にも、分からないんですよ!! 兄さん!!」
背後を振り返ると、玲奈は今にも泣きそうな表情を浮かべて、再度、開口する。
「この病院に連れてきたのは、香恋さまがここ数年、よくここにいらしていたからです。お身体が悪いのかとお聞きしても、香恋さまは微笑みを浮かべるだけで、私には一切何も答えることはせず……。お医者さまや看護師さまも、香恋さまが口止めしているのか、私に情報を漏らすことはしないんですよ。だから、私が彼女をここに連れてきたのは……ただの、勘、です。私も兄さんと同じで、事情を知らない一人なんです」
「……そうか。疑って悪かったな。ここ数年と言っていたが、香恋がこの病院に来てから何年くらい経つんだ?」
「恐らく五年……ですかね。十歳くらいの時から、ちょくちょくこの病院にいらしていたとお聞きしています。元々、身体が悪かったと、お仕えする前に、姉さま……秋葉家の瑠奈さんや里奈さんに聞いていましたから」
「? お前、小さい頃から香恋と一緒に居たわけではないのか?」
「秋葉家のメイドとして、幼い頃から面識はありましたが、正式にお仕えしたのは私が十一歳の時……香恋さまが十三歳の時です」
「……」
玲奈にも、香恋の知らない部分がある、ということか……。
いや、香恋が頑なに玲奈に何かを隠していると言った方が正しいか。
オレがそう、思考を巡らしていると……ベッドの方から声が聴こえてきた。
「……柳沢くん、玲奈。ごめんなさい。どうやら迷惑を掛けてしまったみたいね」
「香恋さま!」
前へと視線を向けると、そこには、薄っすらと目を開けた香恋の姿があった。
彼女はニコリと微笑を浮かべると、再び口を開く。
「連日、色々と忙しかったせいかしら。白鷺のお爺様が亡くなられてしまったショックもあったし……自分で思っているよりも、身体が疲れていたみたい」
「香恋、お前……」
オレは何かを言いかけて―――口を噤んだ。香恋の目が、こちらを真っすぐと射貫いていたからだ。
「柳沢くん。さっき私に言ってくれた言葉、あれって、嘘じゃないわよね?」
「え?」
「もう一度、私に貴方の演技を見せてくれる、ということよ」
オレは一拍置いた後、その言葉に、コクリと頷きを返す。
「……あぁ。オレはこれから、お前のためだけに演技をする。如月楓は、自分が楽しむために、大衆に向けて演技をしてみせたが……柳沢楓馬は違う。柳沢楓馬は、たった一人の大事な人のためだけに演技をする。たった一人を笑わせるために……舞台を舞い踊る」
何故か、涙が出そうになる。だけどオレは必死に涙を堪えた。
その理由は、良く分からなかった。
「私が作りだしたあの小説は、貴方の物語。だから――――だから、貴方は、その他の有象無象の紛い物の役者たちを全力で叩き潰してやりなさい。天才子役、柳沢楓馬が健在であることを、この世に知らしめてやりなさい。他のことなど一切考えずに、12月24日の舞台公演まで、貴方は昔の自分を取り戻すことだけを考えなさい」
「あぁ。全員、ぶっ潰してやる」
「もし、私に、半端なものを見せたら……絶対に許さないから」
「分かっている。オレは、お前の作品で役者を引退したわけではない。お前の作品で……復活を遂げるんだ。だから、安心しろ、香恋」
オレのその言葉に、彼女は楽しげに笑みを浮かべると……そのまま静かに眠りに就いていった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「兄さん。これから、どうするつもりなのですか?」
満点の星空の下。人気のない午後0時。
病院を出て、キャンピングカーに向かって歩道を歩いていると、ふいに、背後からそう声を掛けられた。
オレは肩越しにチラリと後ろにいるメイドを見つめると、再び歩みを再開させ、前に進んでいく。
「やるべきことは、たくさんある。まず、オレはこれから毎日、稽古に励む。法十郎がどういう形式のオーディションを行うのかは分からないが……恐らく、配役を決める審査は公演の三か月前、九月辺りだろう。無論、目指すのは端役ではない。主役だ」
「香恋さまがお書きになられたデビュー作で唯一の出版作品『孤独の夜空』。その舞台でアンケート調査を行い、観客に一番印象を与えることができた役者、その役者を選出した陣営のトップに、法十郎は当主の座を与える……。兄さんには、勝算があるのですか?」
「いや、あるわけないだろ。オレは五年もブランクがある、素人役者だぞ? 樹や有栖の奴が連れてくるだろう現役のプロどもとは格が違うさ」
「え゛」
玲奈は驚き、足を止める。オレはそんな彼女にクスリと笑みを溢すと、そのまま歩いて行った。
「置いてくぞー、玲奈」
「ちょ……ちょっと待ってください!! 兄さん、さっき、香恋さまにものすっごく強気な発言していたじゃないですか!! 嘘、言ったんですか!?」
「勝算はない。だけど、敗けるつもりはない」
「意味が分かりませんよ、兄さん!!」
ぷんぷんと怒りながらオレの後をついてくる玲奈。
この仏頂面のメイドも、いつの間にかオレに対して、色んな表情を見せてくれるようになったものだ。
「なんですか!? 私の顔を見つめて、笑みを浮かべて!! すっごく不快なんですけど!!」
「いいや。お前、クール系かと思いきや意外に色んな表情するんだなって思ってな。仏頂面辞めて、そうやって怒ったり笑ったりしていた方が可愛いぞ?」
「―――――なっ!!!!!」
何故か顔を真っ赤にして足を止める玲奈。そして彼女はこちらにジト目を向けてくる。
「この男は……義理の妹だけでは飽き足らず、実の妹にも手を出す気なのですか? 申し訳ございませんが、流石に血の繋がった人間は異性としては見れませんので。ロリコン趣味を埋めたいのなら、どうぞ、ルリカさんで満足してください、年下好きの変態さん」
「どういう解釈をして、オレの発言をそういう意味に取ったんだ、お前は……。悪いがオレも実の妹は守備範囲外だ。ついでにルリカも範囲外だ。オレは妹を、そんな目で見たことは一度もない」
「どうだか。聞きましたよ? 一緒に布団に入って寝るだけじゃ飽き足らず、たまに一緒にお風呂に入ってるそうですね? 二つ歳下の妹とお風呂だなんて……あぁ、汚らわしい」
「お前も一緒に入るか?」
「…………はい?」
目を見開きパチパチと瞬く玲奈。うん、こいつ、からかい甲斐あって面白いな。
最初はムカツク女だと思っていたが、喋っていると案外面白いキャラだ。
呆然とする玲奈の様子に笑っていると、ふいに、ポケットの中にあるスマホが震える。
画面を見ると、そこには、穂乃果からの着信が入っていた。
オレは玲奈に断りを入れ、スマホを耳に当てる。
「穂乃果さん? 珍しいですね、こんな時間に」
「お、お姉さま! い、今すぐ私の家に来てくださいませんか!!」
「え? どうかしたんですか?」
「きょ、今日、お姉さまが私たちに警告なさっていた……花ノ宮有栖が、うちに来ているんです!! 怖い人たちを引き連れて!!」
花ノ宮有栖が、穂乃果の家に……?
状況はまるでつかめないが、とにかく、今は穂乃果の家に向かった方が良さそうだな。
オレは今すぐに向かうと告げ、着信を切る。
そして、玲奈へと声を掛けた。
「玲奈。オレは今から、柊穂乃果の家に行ってくる」
「? どうしてですか、兄さん?」
「今、花ノ宮有栖が彼女の家に居るらしい」
「え……?」
「悪いが、無駄話している暇はない。……っと、そうだな。できるだけ、有栖には正体を隠して接した方が得策か。玲奈、一度キャンピングカーに戻って、オレは如月楓に変装してくる。お前は寝ているルリカを見てやってくれ」
「え、ちょ、兄さん!?」
オレは全速力で地面を蹴り上げ、歩道を駆け抜ける。
……花ノ宮有栖とは、早めに接触しておきたかったからな。
今回の件は、相手の出方を窺うに絶好の機会だ。
あと、如月楓として、身分を隠していけるのも良い。
まさか、この女装に助けられる日は来るなんて、思いもしなかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「―――――ですからぁ、何度も言っているじゃないですかぁ。この土地は元々花ノ宮家が所有しているものでぇ~」
「確かにここは、元々は由紀が住んで居た場所だよ。でも、二十年前に、私が花ノ宮家から正式に買い取ったんだ」
「クスクスクス……奪い取った、の、間違いなんじゃないですかぁ? よろしかったら、何処か他の土地をお渡しして差し上げますよぉう? ですから、この場所を私、花ノ宮有栖に返してはいただけませんでしょうかぁ?」
「悪いけど……彼女の大事にしていた桜があるこの場所を、花ノ宮の外道連中に渡す気は毛頭ない!! さっさと帰りな!!」
以前来た記憶を頼りに穂乃果の家に辿り着くと、玄関の前にガラの悪い男たちを引き連れた、黒髪ゆるふわツインテールの少女の姿があった。
アレが………花ノ宮有栖、か。
そんな彼女と相対しているのは、腕を組んで仁王立ちする穂乃果の母、柊恵理子さんだった。
オレはその光景を見て、短く深呼吸をすると、演技のスイッチを入れる。
「恵理子さん。穂乃果さんに呼ばれて来たのですが……これはいったい何事ですか」
「え? 楓ちゃん!? 何でここに!?」
「ん? あらあら、へぇ? 貴方が……如月楓、ですかぁ。クスクスクス……待っていましたよぉ?」
こちらを振り返ると、有栖は口元に手を当て、邪悪な笑みを浮かべる。
香恋とはあまり似ていないな。
愛莉叔母さんにも似ていない。ギャル系の女だ。
オレは動揺した……演技をしながら、有栖へと口を開く。
「ま、待っていた、とは……どういう意味なのでしょうか?」
「単刀直入に言います。貴方……香恋を裏切って私たちの方に付きませんか?」
――――――予想通り。
こいつが穂乃果に接触した時点で、何となくその思惑は透けて見えていた。
こいつは、件の演劇の役者を手に入れるために、如月楓を調べ、如月楓と最も親交が深い穂乃果にちょっかいを掛けてきた。
そして、恐らく奴は次にこう、オレに言ってくるだろう。
穂乃果に手を出されたくなければ―――――自分の側に付け、と。
「お、お姉さま……!!」
恵理子さんの背後に隠れ、泣きそうな表情でオレを見つめてくる穂乃果。
何処かで、オレの行動がひとつでも掛け違っていたら、この少女を守り、目の前の悪役令嬢を全力を以って倒す……何て未来ももしかしたらあったのかもしれないな。
だけど、今のオレは【役者】だ。
役者とは、台本の中にある人物の心を完璧にトレースし、別の存在へと自分を昇華させ、観客を騙す、舞台の上で踊り狂う詐欺師である。
オレはどんな手を使ってでも勝利をする。
最後には、オレと香恋が笑っていればそれで良い。
「随分と、辛そうなお顔ですねぇ? クスクスクス……香恋さんを裏切るのは、そんなに嫌なのですかぁ?」
「あ、当たり前です! わ、私にとって、彼女は……!!」
ここで素直に相手の手に乗ってはいけない。逆に怪しまれる可能性があるからだ。
駆け引きは、常に、相手が想像する範囲内から抜けた行動を取ってはいけないのがセオリーだ。
「貴方が、私たちの手を取らないと言うのであれば……柊穂乃果に対して、私は嫌がらせの限りを尽くします。この家を自ら出て行きたくなるまで、精神が病むまで、とことんとねぇ……」
「そ、そんな……!!」
「楓ちゃん!! そんな奴の口車に乗る必要はないよ!! 私たちは絶対に負けはしないから!!」
恵理子さんがオレを庇うようにして前に出る。
その光景に、有栖は嗜虐に目を細めた。
「まぁ、私にはどちらでも構わないんですがねぇ。私と敵対するのなら、素直になるまで、分からせてやるまで――――」
「分かりました。有栖さんの陣営に付きます」
「……は?」「え?」
まさか、オレから素直に答えが出るとは思わなかったのか、有栖は目をパチパチと瞬かせる。
少し、決断が早かったか? ミスったか、この判断は?
「か、賢い判断ですねぇ、如月楓さぁん。もう少し、時間が掛かるものかと思ったのですが……へぇ」
コホンと咳払いをすると、有栖は隣に立っている男へと視線を向ける。
「近藤。アレを彼女に渡しなさい」
「はい」
近藤と呼ばれた青年が、オレに名刺を渡してくる。
その名刺には、花ノ宮プロダクションの住所が書かれていた。
「貴方を正式に我がプロダクションに迎い入れてあげます。舞台公演までの期間で、私が集めた候補者の中から一番実力を発揮できた者を、『孤独の夜空』の有栖陣営の舞台役者として選出します。それまでの間、みっちりとレッスンしてあげましょう」
「他にも、候補者がいるんですか?」
「ええ。中には、貴方がよく知っている子もいますよぉう。その子の推薦もあったから、私は貴方に目を付けたんですよ、如月楓さん」
オレを推薦した役者……何となく、誰かは分かるな。
とりあえず、上手く有栖陣営の懐に入り込むことができた。
あとは一定期間潜伏し、必要な情報を手に入れたら、下手な演技を見せて興味を失わせて逃げるとするか。
見たところ、この女は、それほど脅威になるとは思えない。
やはり当面で一番厄介なのは、花ノ宮樹だろうな。
そう、考え込んでいると――――背後から大きな声が聴こえてきた。
「如月楓!! 香恋さまを裏切るつもりなのですか!!!!」
そこにいたのは、息を切らした玲奈だった。
あいつ、ここまで追いかけてきたのか。しかも、面倒な場面に来たものだな。
絶対に勘違いしているだろ、あの女……って、ん?
如月楓……? あいつ今、兄さんではなく、如月楓って言ったか?
何とはなしに玲奈の顔に視線を向けてみると、玲奈は一瞬だけこちらにアイコンタクトを送ってきた。
オレの意図を理解している……? 理解して、敢えて、この場面に出て来た、というのか?
「あらあらぁ、秋葉家の、香恋の雌犬じゃないですかぁ。こんなところまでご苦労様ですねぇ。香恋は元気ですかぁ?」
「花ノ宮有栖……!!」
「クスッ。怖いですねぇ、そんなに睨んじゃってぇ。でも、貴方が今できることは何もないですよぉう? さっさとご主人様の元へと帰ったらどうですかぁ?」
「……如月楓!! このことは、香恋さまに報告しておきます!! 貴方はもう、私たちの仲間ではありません!! 信じた私が馬鹿でした!!」
そう叫ぶと、玲奈は闇の中に走り去って行った。
そんな彼女の姿に「ふん」と鼻を鳴らすと、有栖はそのまま配下のヤクザを引き連れ、オレの横を通りすぎて行く。
そして、去り際、彼女はオレに声を掛けてきた。
「如月楓。一週間以内に、東京にある私の事務所に来てくださいねぇ。約束を反故にすれば……大事な大事な妹分ちゃんの穂乃果さんがどうなるのか、分かりませんよぉ~? クスクス」
そう言葉を残すと、有栖はヤクザたちと共に、田舎に似つかない、黒塗りの高級車に乗って去って行った。
後に残されたオレは、ふぅと大きく息を吐き、恵理子さんと穂乃果に視線を向ける。
「安心してください。これで、あの人たちはもう、この家にちょっかいを掛けることは無いと思いますので」
「お、お姉さま!! よろしいんですか!? 私たちを助けるために、香恋さんを裏切ってしまって!!」
慌てて穂乃果がそう声を掛けてくる。オレはそんな彼女に、微笑みを浮かべた。
「裏切ってなどいませんよ。これは、私の――――」
「まったく。一芝居打つのにも苦労しましたよ、兄さん」
藪の中から、頭に大量の葉っぱを乗せたメイドさんが現れる。
オレはそんな妹の姿に、思わずクスリと笑みを溢してしまった。
「お前、意外とオレのこと信用してくれているんだな。てっきり、そのままオレを裏切り者扱いするのかと思ったんだが」
「貴方を恨んだままの私では、額面通りにそう受け取ったことでしょうね。ですが……今は違います。兄さんのことは、それなりに理解しているつもりですから」
そう言って目を細めて微笑を浮かべる玲奈。
そんな彼女の姿を見て、ある人物が―――驚きの声を上げた。
「え? 由紀……?」
背後を見ると、そこには、目を見開き戸惑う恵理子さんの姿があった。
玲奈は首を傾げ、オレの横に立つと、恵理子さんへと開口する。
「由紀、という名は……私たちのお母さんのこと、ですよね?」
「あぁ、そうだが……何故、恵理子さんが母さんの名前を? って……あ」
いや、穂乃果は知っているが、恵理子さんはオレの正体知らないんだったわ……。
自分のミスにどうしようかと汗をダラダラと垂らしていると、恵理子さんは朗らかな笑みを浮かべた。
「……その子、もしかして……瑠璃花ちゃん?」
「え? あ、いや、こいつは……って、えぇ!? 今、恵理子さん、何て……?」
穂乃果がオレの正体を喋ったのかと考え、彼女の顔を見つめてみるが……穂乃果は違うとブンブンと顔を横に振っていた。
驚き硬直するオレを前に、恵理子さんは踵を返し、肩越しにこちらに視線を向けてくる。
「楓ちゃんが楓馬くんだってことは、前にウチに来た時から知っていたんだ。そのあたりのこと、詳しくお話したいから……一先ず家に入りなさい、楓馬くん、瑠璃花ちゃん」
オレと玲奈はその言葉に唖然としたまま頷き、恵理子さんと穂乃果と共に、柊家の中へと入って行った。
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