保健室の先生視点 1
思春期の少年少女が集う学校等場所では、悩みを持っている生徒は多い。
優劣をつけるわけには行かないのだが、最近の私の興味は
少し暗い彼女の力になってあげたいなぁ、なんてことを思いながら廊下を歩いていると。
「ギャクテンサヨナラ、やでー」
なぜ関西弁? どうして?
なんで空き教室から
……ギャクテンサヨナラ……逆転サヨナラ? 野球? 野球の話してる? 誰と?
……機械翻訳の彼と話しているのだろうか。だとしたらなぜ空き教室?
あまりにも気になったので、偶然のフリして空き教室の扉を開くことにした。
『あ……』あくまでも偶然である。『
『……
『……なに?』
『えーっと……ちょっと、話し相手になってもらっていました』
『……誰に?』
『あちらの……』
どちらの?
……え……? この教室、
……
……もしかして私は今……イマジナリーフレンドを紹介されてる? 話し相手が欲しくてイマジナリーフレンドを生み出したの?
……だとしたら、むやみに否定するべきではない……しっかりと生徒の世界を受け止めてあげないと……
『そ、そうなんだ……』動揺するな私。『ど、どんな人なの?』
『えっと……』
『へぇ……』
『あ、あと……関西の人なのかなって……』
『そ、そうなの……?』
『はい……ちょっと変わった喋り方をなさるので……』
……関西弁……? 本当に? なんでイマジナリーフレンドが関西弁なんてキャラ付けになる?
……お嬢様言葉と関西弁を勘違い……? 〇〇ですわ?
……いや、そこまで行かなくても、〇〇だわ、くらいでも勘違いするかもしれない。
……しかし本当にイマジナリーフレンドなのだろうか……高校生でもありえなくはないのだろうけど……
……
……あれ……?
『名前は、
『はい』
……どこかで聞いたことがあるような……
……ちょっと調べてみようか……
『ごめん。お邪魔したみたいだね』せっかくの友達との会話を邪魔してしまった。『じゃあ……ごゆっくり』
『は、はい……』
というわけで、
……仮に
イマジナリーフレンドは、その人にとって必要だから現れる。その幻想の友達を否定すれば、彼女の世界を壊すことになる。
それにしても……
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