ヒロイン視点

 今日も私からの話題提供を求められたので、


「……日本語って難しいです。あなたは、どうやって日本語を勉強したんですか?」


 彼は中国から来ているはずなので、どこかの段階で日本語を習得しているはずだ。場合によっては……教えてもらおう。


「✕✕✕✕✕✕」【こうみえて私は、あるいは、しかし、つまり、したがって、です】

「接続詞から覚えたってことですか……」

「✕✕✕✕✕✕」【それは非常に効果的です。しかしそれは、効果的です】


 接続詞の使い方間違ってると思うけど……まだ彼も勉強中……いや、機械翻訳の不具合だろうな。

 

 しかし接続詞か……悪くないかもしれない。今までは単語を覚えようとしていたけれど……今度から接続詞も勉強してみよう。


「日本語の勉強にオススメの教材はありますか?」

「✕✕✕✕✕✕」【英語の教科書です】


 日本語なのに……? 

 いや……英語の教科書だからこそ、日本語がしっかりしているのか?


「……なんで、英語の教科書がオススメなんですか?」

「✕✕✕✕✕✕」【それはオススメされません】

「どっちなんですか……」


 オススメなのかオススメじゃないのか……わからん。


「✕✕✕✕✕✕……」【日本語を話せるようになれば、日本語を話せます】

「哲学的ですね……」


 いや、哲学に失礼だな。


 ……しかし日本語を話せるようになれば……日本語が話せるようになる……


「まずは話すところから始まる、ということですか?」


 喋れるようになってから話すのではなく、話すから喋れるようになる。実技によって身につける。

 彼はそう言っているのだろうか。


「✕✕✕✕✕✕」【それは昔の話であり、現代でも通用します】


 難しい……昔の話だけど現代でも通用するのか……翻訳ミスなのか、本当にそう言っているのか……さっぱりわからない。


 ……実技によって身につける……


「……私には、話す相手がいません」

「✕✕✕✕✕✕」【私がいます】


 カッコいい。惚れそう。もう惚れてた。 


「✕✕✕✕✕✕」【場合によっては高山たかやまを紹介します】

「誰ですか……」


 高山たかやまさん……彼のお友達だろうか。


 なんにせよ彼は……私の相談に親身になってくれた。さらに必要とあれば友達すらも紹介してくれるという。


 ……高山たかやまさんって……女子かな。恋人、なのかな。


 ……

 

 ライバルが、多いなぁ……

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