第14話 いざ!DLへ

ふんふふん…ふふんふひん。

  

ミカの運転する車の中、アザミはついつい鼻歌がでる。


何と言っても千葉の夢の国、DLに行けるのだ。


ミカ様はすでにDLのキャラクターの描かれているTシャツにキャップを被っている。


DL仕様全開だ。

 

主様も、ミカ様と同じTシャツを着せられて俯いている。


「アザミちゃんにもついたら、同じTシャツ買ってあげるねー」


「あざっす…ネズミの耳ついたカチューシャもいいっすか?」


「アザミお前!!」


「samちゃーん…」


「判ったよ…今日はちゃんとアザミにも良くしてやるよ」

 

「そうよ!今日はアザミちゃんと…

走るわよーいっぱい食べるわよーお土産いっぱい買わせるわよー」


ミカ様のDLセリフが出た!!


アザミは車に乗り込む前に、作者samがアザミに耳打ちした言葉を思い出した。


「ミカは熱烈なDLフリークだ。DLに関する事には容赦ない。お前は悪魔だけど、今日だけは良い人となれ。悪さをしたらミカに殺されるからな…」


samの目は笑ってなかった…。



DLに到着した。  


「ミカ、今夜の回り順は?」


「もう決まってるに決まってるでしょ。私を誰だと思ってるの!!」


「そうでした…DLの師匠、よろしくお願い致します」


「よろしくお願い致します!!」


アザミも一緒に復唱した。



「アザミちゃん、スマホ持ってる?」


「今どき、悪魔だってスマホくらい持ってるっすよ」


「sam、グループに入れた?よろしい、なら、まずは、ショップよ!!」


ショップへ入るとまるで人波を泳ぐ様にミカはアザミのTシャツとカチューシャを選んだ。


「アザミちゃん、これに着替えて」


ミカは次にsam用のカチューシャを手にした。


「うーん…似合わなさ過ぎる…こりゃDLに申し訳ない…カチューシャはやっぱ許す」


samはパッと顔が明るくなった。


着替えたアザミを伴って、ミカは小走りにアトラクションへ走って行く。


勿論、samのスマホからプレミアアクセスは取得済だ。


なかなかミカは可愛いとこがある。


samの好きな、美女と野獣からスタートだ。


カレー味のボップコーンを買って、ジャングルクルーズ…。


「今夜はナイトだから、アトラクションは少な目、パレードがあるからね!!次はスプラッシュマウンテンよ」


「えぇ!濡れるからやだな」 


samの意見はガン無視である。


「アザミちゃん、カチューシャ似合うね。可愛い!!」


「あざっす!!」 


ビショ濡れになりながらも、ミカとアザミは笑顔が可愛い。


「ちょっと一服しようぜ」


喫煙室の出口付近で、喫煙室へ入らすにタバコを吸う輩にミカは激しく睨んでいる。


samはミカに囁やく。


「夢の国なんだから、喧嘩するなよ」


「夢の国だからこそ、規則に反するのが許せないのよ。夢の国をナメてるわ!大丈夫よ、文句なんか言わないわよ!!」

 

文句を言わない変わりに、作者のsamへグーパンを入れた。


アザミは喫煙室で少しだけ、怒るミカから離れてタバコを吸った。


タバコを吸い終わると、軽く一度めの食事をすませる。


「アザミちゃん、まだまだいっぱい食べるからね。着いて来てね」

 

samがアザミに囁やく。


「ミカはすげぇ大食いだから、覚悟しとけよ、ケケケ…」


あんなに細い…あたしより小さくて細いのに沢山食べれるの?


アザミはsamの言葉が信じられない。


しかし、後になり、アザミは思い知らされる事となる。


アトラクションを効率よく回りながら、チキンを食い、パイを頬張り、ポテトを、摘む。


「sam!夢の国なんだからビールは飲ませないわよ!」


そう言い、コーラをがぶ飲みし、ブラックペッパーのポップコーンとチェダーチーズのポップコーンを2バケほど、ミカは腹に詰め込んだ。


「これ美味しい!!」


アザミはチーズベリーの飲み物に感動している。


「少しはお腹いっぱいになった?まだまだ食べるわよー」


「ひぇー」


アザミは喉まで食べ物が詰まり、気を許すと吐き出しそうだった。


「ひぇーじゃないわよ!ベイマックス行くわよ!!」


「このタイミングでハッピーライドっすか?吐きそうなんすけど…」


「ベイマックスが待ってるわ!ヒロが待っているのよ!!踊るわよー」


もうミカに何を言っても聞く耳を持たない。


ミカはDLフリークの権化と化しているのだから…。


「今日はハッピーソングかしら?バララララララララが、待ってる!!あれに乗ればハッピーになれるのよー」


薄暗くなったベイマックス、ハッピーライドはより綺麗だ。


ミカもアザミもそしてsamも両手を振り躍りながらハッピーを感じていた。


「後はパレードね。飲み物と食べ物を買って来るから、samは場所取りしてなさい」


ミカはバッグからレジャーシートを取り出しsamを座らせた。


「用意、いいっすね」


「当り前よ!!さぁ、食べ物買いましょ」


「まだ食べるんすか?」


「お腹いっぱいにならないでしょ、あんな少しじゃ…」


「イヤイヤ、ミカ様、すでに4〜5人前は食べてますよ」


「まだまだよ!今買うのはパレード用、メロンパンとかポップコーンはまだお持ち帰り用に後で買うわよ」


DLフリーク、大食い、最恐、そして主様を支配する…。


ミカさんは、やはりミカ様と呼ぶにふさわしいお方だとアザミは独り言ちていた…。





 


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