第13話 リアル

人間どもが行き交う交差点…。


「おい!…アザミ!!」


「はい!主様!!ってか、まだ最初のくだり、書いてないっすよ?」


「んなもんは書かんでいい!今夜はお前に伝える事がある」


「何でしょうか?」


アザミは、昼間のミカさんと創造主で作者であるsamのやり取りを思い出していた。


ミカさんが私こと、アザミの為に主様を叱っていたのだ。


あまりにもsamはアザミの扱いが酷すぎると…。


「お前、明日夜から時間開けとけ」


「人間どもを惑わすお仕事は?」


「やらんで良い!」



来たー!やっぱ、ミカさんが主様に、ミカさんとあたしをDLへ連れて行けって言ったのは間違い無かった!!


「で、あたしはどうしたら良いですか?」


「お前、明日夕方から風邪をひけ」


「あたしゃ悪魔っすよ、風邪なんかひけないっすよ」


「なら、頭をどっかにブツケて痛くなれ」


「無理っすよー悪魔は物質的に怪我はしないっすから…そう設定したの主様じゃないっすかー」


「ちっ!そうだった…今から設定変えるのも面倒だしな…なら、しばらく旅に出ろ!!」


「嫌っすよ、だって、明日はDLじゃないっすかー」


「ちっ!何で知ってる?お前、盗み聞きしたな?」


「盗み聞きとか人聞きの悪い、聞こえて来たんですよ…主様、ミカさんにグーパンされて…ププッ」


「そうなんだよーあの後、部屋に戻って今度はミカのこと、暴露したって3時間正座でお説教だよ…また、大阪へ連れて行く約束させられたよ…ってなんでお前にそんな話をせにゃならん!!」


「主様が勝手に喋ったんじゃないっすか…」


「しょうがない、明日のDLのナイトツアーにお前も連れてってやる」


「あざーっす」


「お前は悪魔だから、暗い方が良いとミカが言ったからな…ホントはお前なんか昼間連れてって、弱ったところで置き去りにしたかったのにな」


「またまた、主様そんなこと言って…ホントはあたしを可愛いと思ってるくせに…ププッ」


「ププッじゃねぇ!!お前、ミカに庇われたからって、いい気になるなよ!!お前、永遠にカメムシに変えるぞ!ん?ん?クッサイ、カメムシな!!」

 

「あたしが、カメムシになったらミカさん悲しむよねー」


「お前、なんか忘れてないか?俺はスナックみかの作者だぞ。ミカの設定だって変えられるんだからな」


アザミは作者samの背後に人影を感じた…。


「samちゃん…」

 

慌ててsamは逃げ出そうとした。


「samちゃん…」


耳を摑まれたまま、samは振り返る。

 

「samちゃんはよせ…samちゃんって呼ばれる時が一番怖い…」


「で、samちゃん…あたしをどうするって?」


「いや…別に…ピーピー…」

 

「口笛吹いて誤魔化そうとしたってダメ!!私の設定を変えるだと?」

 

「イヤ、スナックみかのミカさんは変えられるけど、現実のリアルミカさんは変えられませんから…」


「そんなの当り前でしょ!この世界で私とあなただけなのよ。リアルな存在は!!」


だから、ミカさんは最恐で最強なのね…これからはミカ様と呼ばせて頂こうと、心に誓うアザミだった…。




「ふぅ~、ってオチがついたな…やっと13話終わった!」


「終わると思う?甘いよ、samちゃん…」


「ひぇー」


またまた主様のひぇー、頂きました。


「今晩は、明日のDLに備えて、私が眠りつくまでマッサージね。ミカさんゴメンなさいって100回言いながらね…もちろん、エッチはしないからね」


「トホホ…」


「あっ!それと明日は似合わなくても、カチューシャつけさすからね」



アザミは自分よりミカ様の方が悪魔として格上だと思った…。


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