第8話 DL夢の国

人々が行き交う交差点で今日もアザミは、人間どもをたぶらかす為に風に吹かれて座っていた。


この2〜3日は、創造主である作者も現れずアザミは平穏な日々を送っていた。



「あなたねーなんでそう言う事、もっと早く言わないの?」


「スナックみかに、あなたの誕生日、書いて無いから知らなかったじゃないの!!」


ミカは相変わらず、作者のsamには強気である。


「いやー俺の誕生日なんか忘れていたよ」


「何にも用意してないわよ!」


「いや、んなのいいよ。ミカがおめでとうって言ってくれたらそれで良い」

 

「バカでしよ?そんなんじゃ、私が嫌に決まってる!なんで言わないかなー!!明日?明後日?」

 

「あさって…」


「じゃ私とふたりでDL、千葉の夢の国へ行くわよ!!多分、ギリ、チケット取れるから、DLに一緒に行こう。これが私からのプレゼントよ」

 

「うん、嬉しいなぁ…楽しみだなぁ…」


「但し、ちゃんとDLマスターの私についてくるのよ!走るわよ!食べるわよ!お土産いっぱい買うわよー!」


ミカは知る人ぞ知る、東京DLに頻繁に行っている、DLフリークである。


「じゃ、スナックみかにDLに行くって書けば、大丈夫じゃん」


「バカね。そんなズルじゃなくて、ホントにチケット取って、一緒に車乗って行って、ちゃんと歩いて回りたいの!フードショップでチキンやポップコーン買って…パレード観てさ…」


「うーん、ならどうする?」


「バースデーデートだから、私がsamちゃん、車で迎えに行くよ。用意があるから、駅前のカフェで待ってて」


「用意?」


「DL仕様のスタイルに日焼け止め、それに色々必要なもの持って行く用意よ」


「はぁ~?」


「はぁ~じゃない!!DL舐めるな!!」


当日、作者のsamは、言われた通り駅前のカフェでミカを待つ。


「ガソリン入れてたから、遅くなっちゃった」


samはミカの車に乗り込むと、ミカにキスをした。


キスをし、ミカを見るとすでにミカはDLのキャラクターの描かれているTシャツを着ている。


頭には同じくDLのキャップ…。


「さぁ、行くわよ!」


アプリでの入場チケットを通し、入場すると、有無を言わさずsamをショップへ連れて行く。


そして、サイズの関係で、色違いだが、絵柄は同じのTシャツを買い、samに手渡す。


「これに着替えなさい」


「えー?」


「えーじゃない!着替えなさい!!」


ミカはそう言い捨てると、ネズミの耳がついたカチューシャをsamに渡す。


「被せなさい!」


「ひぇーこれつけたら、スキンヘッドの頭皮から、血が出るよー」


「頭に早く!」


samは恐る恐る、カチューシャを頭に…。


「ちっ!!似合わないわね!しょうがない、勘弁してやる」


samは心の底から、ホッとした。


色違いだが、ペアルック…。


ミカとsamはアトラクション目指して突撃開始した…。



「はぁ~今日は主様の誕生日。あたしゃ調べて知っているぜ…でも、今日は主様…絶対にミカさんと一緒だよね…来年こそは、あたしにリボン巻いて、あたしがプレゼントよって主様にあげたいな…」


叶わぬ夢をみるアザミだった…。


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