第4話 恋愛測定器で愛を数値化したら



「これは、人類を平和に導く、世界が望んでいたアイテムです」


 この水晶玉は、男女の相性、ラブラブ度を測定し、数値化することができます。


 私の名前は、マスカットリア、中等部3年生で黒髪、ヒスイ色の瞳を持つ令嬢です。



 これを使って、私と、あの人の相性を測定できれば……



    ◇



 教室で、令息と令嬢を集め、説明します。

「これは教会にあるスキルを測る水晶玉を改造した「ラブラブ水晶玉」です」


「これで、男女の相性を測ることができます」


「「えー!」」

 皆さんが驚きます。



「お疑いですか? それでは試してみましょう」



「アンジェリーナさん、このラブラブ水晶玉の上に、手を置いて下さい」


 アンジェリーナが、恐る恐る、ラブラブ水晶玉の上に、手を置きました。



「では、ギルスペード君、令嬢の手の上に、自分の手を重ねて下さい」


 ギルスペードが、恥ずかしそうに、アンジェリーナの手の上に、自分の手を重ねました。



 ラブラブ水晶玉が、淡く光り、中で数字が縦に回転しています。


「「止まった」」

 皆さんが、ゴクリと唾を飲みます。


「「キャー! 99 」」

 いきなり、スゴイ数字が出ました。


「お二人の相性は、レベル99です。お幸せに」


(こんな高い数字が出るなんて想定外、うらやましいです)



「次は、どなたが?」


「私たちが測ります!」

 最近、政略結婚が進んでいると噂のカップルが、手を挙げました。


 ラブラブ水晶玉の上で、手を重ねます。


「え? 50 」


 カップルは顔面蒼白です。


「私、お父様に言って、婚約を破棄してもらいます」

「ちょ! 待てよ」


「まって、この50でも、高い方なんですよ」

 私が、あわてて説明しようとしますが、カップルは、それどころでは無いようです。



「次は、どなたが?」

 みなさん、ビビッて手を挙げません。


「おい、お前、行けよ」

 留学生のグレープ君が、学友から前に押され出てきました。


「お相手の令嬢は?」


 令嬢のみなさん、ビビッて手を挙げません。

 それはそうです。留学生のグレープ君は、黒髪のイケメンです。


「マスカットリア、お前が犠牲になれよ」

 男性陣が、ひやかします。


「そうよ、黒髪同士で、似合ってるわ」

 女性陣は、こうなると冷たいです。



「わかりました」

 私は、ラブラブ水晶玉に手を置きます。


(まさか、こんなに早く、私の願いが叶うなんて)


「仕方ない」

 グレープ君が、手を重ねます。


 汗で、手が、シットリしています。


 ラブラブ水晶玉が、淡く光り、中で数字が縦に回転しています。


「「止まった」」

 皆さんが、ゴクリと唾を飲みます。



「「 999? 」」


「「満点は、100じゃないのかい!」」

 教室中から、ツッコミが入りました。




(もしかしたら、ラブラブ水晶玉は、汗の量を測っているだけ?)




「グレープ君、そ、そろそろ、手を放してくれない?」

 私の手を握って、放してくれません。


 彼の手のシットリ感、温かみ……

 恥ずかしくなってきました。


「マスカットリア、俺……」

 深い紫色の瞳が、私を見つめて、放してくれません。




━━ fin ━━



あとがき

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

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