第2話 変身薬を正しく使ったら
「ラブレターでも書いて、告白しようかな」
私の名前は、レモン、金髪の令嬢で、中等部の2年生です。
好きな幼馴染に、告白なんて出来ない年頃です。
◇
学園の授業の合間です。
「今度は、あの令息に、嘘のラブレターを送りましたのよ」
意地悪な令嬢が、また、悪いイタズラを始めたようです。
「授業が終わったら、中庭でお待ちしますと、書きましたわ」
「もちろん、誰も待っていませんけど、オーホッホッホ」
中庭で待つ令息を見て笑う作戦ですね。
何度もやるから、もう騙される令息はいないでしょうに。
「オーホッホッホ」
取り巻きも一緒に笑っています。
情けない令嬢たちです。
◇
授業が終わって、帰ろうとしたら、2階の廊下に意地悪な令嬢たちがいます。
窓から中庭を見下ろして、下品に笑っています。
あのラブレターの件ですね。
(困った令嬢たちです。今度は、どなたが騙されたのでしょうか?)
そっと中庭を見ます。
「ライムン!」
黒髪のイケメン、私の幼馴染です。
生真面目な性格なので、騙され易い彼です。
「どうしましょう」
彼を救いたいです。
「このまま、私が出ていくと、意地悪な令嬢たちが怒りますね」
急いで、先輩の魔法研究室に、あれを取りに、向かいます。
「先輩は、ここに、薬を隠していたはず」
「ありました、変身スプレー」
スプレーをシュッと、自分の顔に吹きかけます。
「お待たせしました」
中庭でライムンに声をかけます。
顔を変身したので、私だとは、判らないはずです。
2階の窓を見上げると、意地悪な令嬢たちが、教師から怒られています。
「いや、俺も、いま来た所だ」
彼らしい優しい嘘です。
「早速で、申し訳ないが、俺は付き合うことはできない」
「どうしてですか、私の顔が、筋肉質だからですか?」
私の顔は、変身スプレーで、マッスルになっています。
(先輩、これ失敗作ですよ!)
「実は、俺には好きな令嬢がいて、だから、付き合うことはできない」
「え! それは、どなたですか?」
ライムンに好きな令嬢がいるなんて、ショックです!
「レモン嬢だ」
え! 好きな令嬢は、私……
「ポン!」
突然、変身が解けました。
「あ、レモン」
驚くライムンです。
「ら、ライムン、色々と、お話があります」
あなたは、騙されやすいので気をつけなさい。
こんな変身、はやく私と気づきなさい。
私は、幼い頃から、ずっとあなたを……
言いたいことが、たくさんあります。
でも、言えません。
「レモン、一緒に、お茶でも飲みに行かないか」
「は、はい、付いていきます」
ライムンの、制服のハシをつまんで、付いていきます。
━━ fin ━━
あとがき
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