第14話
二人を追い出した後、思ったより疲れていた俺はソファーにもたれかかっていた。
「だらしないぞハジメ。少しシャキッとしとけ。もうすぐ久美さんも来るぞ。」
2人を出口に案内した菅谷が俺に伝える。
「マジすか?なんで久美までくるのよ。もう今日は石井先生でお腹いっぱいなんですぅ。」
「おい、どういう意味だそれは?たまには飯を奢ってやろうと思ったのに。」
「え?俺にたかるのではなく?さっきそんな話しませんでした?」
「ああ、あれは流れだ。それに大事な話もある。そうだな、近々アグスタで集まるか?
お前の生活状況やら近況報告も聞いていないしな。」
「どんなメンバーですか?近況報告とか俺は、さらし者ですか?」
「あと、会長の由紀もだな。」
「芹沢先輩も・・・ですか?」
「ハジメ、お前のこと本当に心配していたぞ?」
石井先生は、菅谷にも労いの言葉をかける。
「仁、ご苦労様。お前が根回ししてくれたから話が早かった助かったよ。」
「いえ、あのくらい問題ないですよ。もうあいつらがハジメに絡んでこなければそれでいいんです。」
「菅谷、いつもありがとうな。お礼に今度、うまいもの作ってやるよ。弁当は作らんけどな。」
「…なんか、ハジメにデレられても怖いものがあるな。」
菅谷が俺の事を辞と目で見てきた。
「うるせー!あぁやめだ。柄にないこと言っちまった。」
「悪い。でも、お前の料理は期待できるな!今度ツーリング先でなんか作ってくれよ。パスタとかいいな。」
「おう、そのくらいなら問題ないな。もう少ししたらキャンプシーズンだもんな。本格的に暑くなる前にソロでキャンプツーリングにも行きたいな。」
「ソロかよ。」
この手の話を始めると食いついてくるのが、久美なんだけどまだ来ないな。
とか、考えていたら。ノックの後ドアが開く音がする。
「話は終わったの?決着は着いた?また、変な噂を流すようなら今度こそ・・・ぐふふふ」
「なんだ久美も知っていたのか?てゆうか、何をするつもりですか??すごく不安になるんですが?」
「仁君から聞いていたからね。一応心配したんだからね!感謝してよ!ハジメ。」
この、ツンデレ娘は鴨川久美といって俺らの同級生であり、小さいころからの友人だ。幼馴染というよりは兄弟だな。久美の実家は結構大きなバイクショップを経営している。
久美はバイクの運転・整備の邪魔になるという理由で高校に入って直ぐに長くてきれいだった髪をバッサリ切って、現在はボブカットである。活発なイメージにピッタリであっていて、とても可愛いが、久美の母親が涙目になって驚いていた。
祖父の代からの、遊び仲間である鴨川家は今や自分の家族よりも濃く付き合っているかもしれない。
そんなわけで、兄弟分である久美とは絶対に恋人関係にはならない自信がある。菅谷よ、安心しろ!
久美が好きなのは、菅谷だというのを知っているからというのもあるが…。
ちなみに、菅谷も久美のことが好きなのだが、どちらも奥手で…もどかしいくらい先に進まない。
でも、この二人がくっつくなら俺も安心できる。
ぜひラブコメみたいな恋を続けてほしいと思う所存である。
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