第3話
体に残る疲れもあり、かなりだるーい朝なのだが、数少ない友人への挨拶は忘れない。一種の通過儀礼だ。
「おいっすぅ。」
と、気の抜けた声で挨拶した俺は、現在16歳(もうすぐ17歳)。
思春期ど真ん中の男子である。(陰キャだけどね)
「おう、おはよう。今日も眠そうだな。また夜のバイトか?」
「まぁな。あ”ぁ”ー眠い。昨日は22時上がりだったからよ。でも勘違いされるから夜のバイトというのはやめて…。」
「そんなことよりさ、お前、生徒会の副会長という自覚はある?」
俺に質問をぶつけてくるのは、高1からの友人で
高校からの友人ではあるが、不思議とこいつとは普通に話せる。
とあることが原因で少々人間不信でコミュニケーション障害気味な俺ではあるが、なんでかこいつらとは不思議とある程度普通に絡むことができている。
普段の俺は心の壁バリア(話しかけんなオーラ)を張っており、最低限のコミュニケーションで学生生活を乗り切っている。
そんな俺が生徒会副会長やってるのはなんでなのか、俺にもわからん…。
さて、菅谷だが、高身長、短髪の天然物のイケメンだ。
そして、たぶんだが頭いいと思う。
さらに性格までイケメンときている。(この世界は不平等だ…。)
バスケ部で1年からエース級の活躍をしていたというのに、嫌われ者の俺とつるむ為に部活を辞めた変わり者である。
んで、やることもないからと俺と一緒に生徒会役員になった。
菅谷に「お前変わってるよな?」って言ったら、「お前にだけは言われたくない!」と言い返されてしまった。解せん。
しかし、俺は自ら望んで生徒会に入って覚えはない。ないったらない!
「副会長にはなったけど半ば強制だからね?条件付きではあってもバイトもせっかく学校の許可貰ってるんだからもっとやりたいしよ。それから痔核はないと思っている。」
俺が自分の尻を摩りながら言うと…。
「キタねェな朝から、そっちじゃねぇよ。」
t「悪かったよ。この副会長という役職に就いた原因はだな、以前にも説明したと思うが、我が校の校長先生と母親が知り合いであるという稀有な現実があって、その校長から、何故か是非にと(半ば強引に)推薦されて逃げ道がなかったんだ。一年の時は庶務という名の雑用係だったからまだ良かったけどさ。」
そもそも、会長がなぁ...何も、俺と久美を副会長に指名しなくても。
もっと相応しい奴は他におったやろ?目も前にいるコイツとか。
生徒会の連中と連むのは悪くないんだけどよ。
「お前、根っこはクソ真面目だからな。言われた以上の仕事こなそうとするし。上の人からの信頼は厚いんだろうな。」
「いや、現実問題として生活費のほかにもバイクの維持費なんかもあるし、けっこう金はかかるからな。本音でいえばバイトを増やしたいよ、それから生徒会は関係なく学校の仕事をこなすのはバイトとバイクの許可の条件の一つだからな。」
「生活費って?あぁ、お前さん、少し前から一人暮らしになったんだよな。でもよ、だからって無理はすんなよ。」
「あんがとよ。
でもさ、なにも俺でなくたって他にもいるだろ?生徒会にふさわしい奴なんて…。」
コイツには俺の家庭事情を話してある。
それでも態度を変えないで接してくれるのは本当にありがたい。
「それにしても生徒会役員にふさわしい男か。...お、いるじゃん?適任な奴が!」
「ん?だれ?」
「ほら、お前の同中の彼だよ、オトモダチだろ?バスケ部で、頭もヨロシク、お顔もヨロシイあいつだよ!」
「っ!・・・コノヤロー殴っちゃうゾ?」
一つ黒歴史を掘り出され、-スっと、目が細くなる俺。
「ま、まて、今のはさすがに俺が悪かった。お前の拳はマジでシャレにならん。」
俺は地元の伝統派空手の一応有段だ。まだ未熟だけど、本気で鍛え上げた身体は下手な大人より凄いと思う(脱いだらすごいんです系)。
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