第17話「意思を継いで」

ジーグの裏切りにより王堂は息絶えた……。

「王堂さん!?……王堂さーん!?」

ビートは叫んだ。

声の限り叫んだ。

しかし、王堂が目を開ける事は無かった。


「王堂さん……」

他の戦士達も見つめる中、息絶えた王堂を抱きかかえながらビートは震えていた。

「フンッ!貴様ら戦いに集中しろ!!」

ドレイクがフェローチェを蹴り飛ばす。

「ぐあっ!?テメェ……人がセンチメンタルになってる時に……」


「……さねぇ……ゆる……さねぇ……許せねぇ!!」

ビートは王堂を寝かせて立ち上がった。

「テメェら!!纏めてぶっ倒す!!」

ビートは王堂から託された『ベースチェンジャー』を演奏し必殺技『ロックスターブレイク』を放つ。


アコーディオンノイズラーは倒された。

「フンッ……まぁ十分だろう……ジーグ行くぞ」

「ああ……」

ジーグはベルアゼス達と共に姿を消した。


「ごめん……王堂さん……俺の力じゃこれが限界みてぇだ……」


戦士達は奏での戦士団本部に戻り王堂が死んだ事を報告。


「そうですか……残念です……」

ミューズも気を落としていた。

戦士達にも仲間を失った悲しみが込み上げてくる。

「くっ……王堂さーん!!もっと……もっと色々教えて欲しかったのに……もっと練習見て欲しかったのに……」

茂は悔しさのあまり泣き崩れてしまった。


「茂……今……俺達がするべき事は悲しむ事じゃない……一刻も早く……ノイズをぶっ倒す事だ!」

新庄は年長者として必死に毅然に振る舞う。

しかし、その握り締めた拳は震えていた。

「皆さん……グランディオーソが亡くなったのは悲劇的な事です。しかし、ジーグの裏切りはそれ以上に深刻な問題です。皆さんには仲間と戦うと言う重い十字架を背負わせてしまう事になりますが、どうか……世界の平和と音楽の為に……ノイズとの戦いを続けて下さい」

「はい!」

新庄が代表して返事をする。

だが、他の戦士達は皆俯いていた。

「さぁ、今日は疲れたろう。皆はもう帰ってゆっくり休みなさい」


茂達は帰された。


残ったミューズと音曽根は……。

「さぁ……我々も今日は早めに休みましょう。あっ、店閉めて来ますね」

そう言って音曽根は楽器店の方に戻って行った。


ミューズは自分の部屋に戻った。

「グラン……ディオーソ……」

ミューズはその場で泣き崩れてしまった。


数日後、王堂壮馬死亡のニュースは全世界で流れ世界中の人々が知る事となった。

勿論音楽の戦士として戦死した事は公表出来ない為、奏での戦士団本部が情報操作を行い不運の事故死と言う事にした。


王堂の葬儀は茂達も参列していた。

「王堂さん……」

栞も参列していた。

王堂に関係する人間は奏での戦士団の関係者ばかりだ。奏での戦士団の総帥アベルドが現れる。

「アベルド総帥……この度はわざわざお越し頂いて」

ミューズがアベルド総帥に挨拶をする。

「あの人は?」

茂が新庄に尋ねる。

「アベルド総帥……奏での戦士団のトップだ」

「へぇ〜……ミューズさんより上の人初めてみた……」

「アベルド総帥は世界中の奏での戦士団の統括してる方だから忙しくてな……滅多に姿を見せないんだ……」


アベルド総帥が皆の前に出て発言する。

「誇り高き戦士達よ。今回、グランディオーソを失った悲しみは計り知れない所だろう。彼は奏での戦士団に偉大な功績を残し、今後も最強の戦士として歴史に名を残す事であろう。しかし、我々は悲しんでばかりは居られない。ノイズとの戦いはまだ続いている。これ以上仲間を失わぬ為にも一刻も早くノイズとの戦いを終息させる必要がある。君達にはこれからも厳しい戦いが待っているだろうが、世界の平和と音楽の為に戦って頂きたい。グランディオーソがそうであった様に。グランディオーソの冥福を祈る」

そう言ってアベルド総帥は去って行った。


葬儀の後、茂達は奏での戦士団の本部に戻った。

「ふぅー……流石に疲れたな……」

「ああ……しかし……奏での戦士団にあんなに関係者が居たとはな……」

そこにミューズと音曽根がやって来る。

「皆さん揃ってますね?」

「あっ、ミューズさん、音曽根さん……」

「どうぞ、お入り下さい」

ミューズがアベルド総帥を呼んだ。

「アベルド総帥!?何故!?」

新庄は突然の総帥の訪問に焦る。

「なに……最近入った新たな戦士に挨拶をと思ってな……」

「そ、そうでしたか!?おい茂!前に出て来い!!」

「はい!!」

茂がアベルドの前に……。

「そうか……君がビートの……音崎茂君か」

「は、はい!」

「なるほど、良い目をしている……グランディオーソが気に入る訳だ」

「え?」

「茂君、グランディオーソ……いや、王堂から前々から頼まれておってな。今後が期待出来る新人が入ったから自分に何かあったら彼に託して欲しいとな」

「託す?」

「実はな、グランディオーソにパワーアップ出来る様に開発を頼まれてたアイテムがあるんだ。残念ながらグランディオーソには間に合わなかったがな……それを君にと、グランディオーソから頼まれていた」

そう言ってアベルドは茂にパワーアップアイテム『ギターカリバー』を差し出す。

「これは?」

「ギターカリバー……これが君を更に強くしてくれるだろう。グランディオーソの意思を受け継ぎ君が使ってくれ」

それはギターの弦の模様を刀身にあしらった剣だった。

「王堂さんが……分かりました。俺、もっと強くなってみせます」

茂は『ギターカリバー』を受け取った。


その頃、ノイズのアジトでは……。


「あーあ……退屈だな」

「あのジーグとか言う奴……何を企んでいるのやら……」

「元音楽の戦士か……気に入らないね……」

ドレイク、ゼレーバ、フリーゼの3人がそう話す中、ジーグはベルアゼスに呼び出されていた。


ジーグがベルアゼスの前で跪き敬意を表する。

「ジーグ……お前はもう戦士の道には戻れぬ。闇の道を進む覚悟を見せてみろ」

「はっ!」


そしてドレイク……。

「あ〜もう!退屈で我慢ならねぇ!!一暴れしてくるわ!!」

ドレイクは出撃。

「おいおい……勝手な事を……」


ドレイクは街に現れ、ノイズラーの元にする楽器を探す。

「ん?おっ!面白そうなもんあるじゃねぇか!」

ドレイクはその楽器に闇のエネルギーを送る。


ノイズラー出現を察知した奏での戦士団本部では戦士達を出動させた。


現場に到着した茂達は暴れるノイズラーを発見。

「ん?今日のノイズラーはホルンか!」

その通り、今回現れたのはホルンノイズラー。

「来たか音楽の戦士共……退屈しのぎに遊ぼうぜ!」

ドレイクも現れる。

「ドレイク!!テメェら……許さねぇぞ!今日位大人しくしとけ!!」

「フンッ!知るかよ!行け!ホルンノイズラー!!」

ホルンノイズラーが茂達に襲い掛かる。

茂達は一斉に『変身』

ビート、ボイス、フォルテ、ブリッランテ、フェローチェが揃って登場。

「俺達5人を相手にするとは良い度胸だぜ!」

フェローチェが先陣を切ってホルンノイズラーに挑む。

だが、ホルンノイズラーの反撃。

その巨大なホルンから衝撃波が放たれフェローチェを襲う。

「ぐあっ!?」

「フンッ……俺も行くぜぇ!!」

ドレイクがブリッランテとフォルテに襲い掛かる。

ブリッランテとフォルテは応戦。

ビートとボイスもホルンノイズラーに攻撃を仕掛けるがホルンノイズラーの衝撃波を喰らう。

「うわっ!?」

「ぐあっ!?」


それぞれがホルンノイズラーとドレイクに苦戦していると……。

それを見ていたジーグ。

「へぇ……王堂が死んだショックで立ち直れないかと思ったけど、結構頑張ってるじゃん」


「クソッ……こんな所で……負けてたまるか!!」

ビートは立ち上がる。

「俺達は王堂さんの分も戦って……音楽を守らなきゃいけないんだ!こんな所で負けてたまるかー!!」

ビートは『ギターカリバー』を取り出した。

「王堂さん……見ててくれ……」

ビートは『ギターカリバー』の弦を弾き音色を奏でる。

すると、エネルギーが解放され、ビートに力を与えた。

ビートはパワーアップし、新たな姿『ロックスターフォーム』に変身した。


「!!何だその姿は!?」

「王堂さんの意思を継いだ音楽を守る為の力だ!!」


続く……。

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