第15話「新年、戦い初」

「皆さん、明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願い致します」

ミューズが挨拶をする。

「明けましておめでとうございます!今年も宜しくお願いします!」

戦士達も揃って新年の挨拶をする。

1月1日の元日、新年を迎えた奏での戦士団はミューズと音曽根に新年の挨拶の為に集まっていた。


だが、戦士ばかりでは無い。

栞や新庄の妻、石崎桃香と息子、海人も挨拶に来ていた。


「さて、新年の挨拶も済んだ所で……海人君お年玉だー!」

王堂は海人にお年玉を渡す。

「すみません王堂さん、ほら海人何て言うの?」

「おじちゃんありがとー」

「どういたしまして。今年も宜しくね」

それを見ていた茂と彰。

「王堂さんって本当に子ども好きだよなぁ」

「ああ、とてもそんな風には見えないんだけどな」


そして音曽根も。

「海人君、おじさんからもお年玉だよ〜」

「ありがとー!」

「音曽根さんまですみません……」

「いえいえ、これで海人君に何か買ってあげて下さい」

「茂、彰、お前らちょっと来い」

王堂が茂と彰を呼んだ。

「はい」

「何ですか?」

「お前達にもお年玉だー!」

「えぇー!?俺らも良いんですか?」

「ああ、遠慮すんな」

「すみません、ありがとうございます」

「おう!」


「さぁ皆さんお節料理でも食べて新年を楽しみましょう!」

「お雑煮もありますよ」

「よっしゃー!食おうぜ〜」

戦士達もこの時ばかりは戦いを忘れ正月を楽しんだ。


その頃、ノイズのアジトでは……。

「諸君、新年は明けたが今年は失った者が多すぎる。ムザンは敗れ去り多くのノイズラーが倒された。そして、フリーゼは深手の傷を負った。これも全て音楽の戦士共のせいだ。今年こそ奴らを全て抹殺し音楽など無い我らが理想郷を築くのだ!」

「はっ!必ずや……」

「なら新年一発目は俺が行かせて貰うぜ!」

ドレイクが名乗り出る。

「いいだろう。やってみろ」

「はっ!」

ドレイクは出撃。


その頃、1人で行動する深見は……。

「そろそろ頃合いか……」

深見はそう呟くとその場を去って行く。


奏での戦士団本部では食事を終え、茂、栞、彰、海人でカルタ遊びをしていた。

「え〜……犬も歩けば棒に当たる」

「い……い……い〜?」

「あった!」

海人が取る。

「おっ!海人君凄いな〜」

「やったー!」

「やったー!」

海人は皆に遊んでもらって大喜び。

「皆ごめんなさいね、海人と遊んでもらっちゃって」

「いえいえ、海人君可愛いし、私達も子どもの頃に戻ったみたいで楽しいです」

「そう?でも疲れたら無理しなくていいからね」

「でも本当、カルタなんて何年ぶりって感じだよなぁ。そういえばさ、彰まで参加するなんて意外だったな」

「まぁ、たまにな良いと思っただけだ」


「ふ〜ん……意外と子ども好きだったりして?」

「バッ、バカ言うな!!」

「ほほぉ〜動揺してる所がますます怪しいですな〜」

茂と栞が一緒になって彰をからかう。

「下らない事言ってんならもう辞めるぞ!」

「彰お兄ちゃん辞めちゃうの?」

「……くっ……ウソだよ〜まだまだやるぞ〜!」

「やっぱ子ども好きじゃねぇか!!」


なんやかんやで楽しい時間を過ごす戦士達だった。


その頃、ドレイクが街に現れた。

「さて、初暴れと行くか!」

ドレイクが楽器に闇のエネルギーを送りノイズラーを誕生させる。


奏での戦士団本部ではノイズラー出現を察知。

「皆さん、ノイズラーです!」

「ったく……正月位大人しくしとけよ……」

茂達が立ち上がる。

「王堂さん!」

だが、王堂と新庄は共に酒を飲みベロベロに酔っ払っていた。

「ダメだこりゃ……」

「仕方ない、俺達だけで行くぞ」

「ブリッランテとフォルテにも連絡しておきます」

「いや、2人は昨日の紅白で疲れてるだろう。俺達だけで十分ですよ!」

「しかし……」

「そういう事!まっ、大船に乗ったつもりで待ってて下さい!」

茂と彰が出撃。


そして、茂と彰が現場に到着。

「止めろ!!」

「ん?来たか音楽の戦士共……今年もよろしく」

「よろしくじゃねぇよ!!新年早々暴れやがって!さっさとぶっ倒してやる!」

「フンッ、コイツに勝てるかな?」

そう言ってドレイクはノイズラーを呼び出した。

現れたのは琴ノイズラー。

しかし、琴だけでなく、門松や鏡餅など、お正月を彷彿とさせる見た目をしていた。

「うわぁ……なんかお正月をギュッと詰め込んだ感じのノイズラーだな……」

と茂。

「んな事言ってる場合か!」

彰がツッコむ。

「琴だけに?」

「うるさい!行くぞ!!」

「おう!」

2人はそれぞれの楽器を呼び『変身』

ビートとボイスが登場。

「フンッ行け!琴ノイズラー!!」

琴ノイズラーは門松から小型のミサイルを撃ち攻撃してきた。

「うわっ!?」

「くっ……コイツ見た目でバカに出来ないぞ……」

「フンッ、たまには違う戦法を楽しむか」

ドレイクはそう言うとビートとボイス、そして琴ノイズラーを異空間に引きずり込んだ。

「うわぁぁぁっ!?」


「ビートとボイスが消えました!?」

音曽根が2人の消失を確認。

「何ですって!?」


そして、異空間に連れて行かれたビートとボイスは……。

「何だここは?」

「ようこそ、ビート、ボイス」

そこにはドレイクも……。

「ドレイク!?お前、何のつもりだ!!」

「折角だからいつもと違う戦いをと思ってな」

「はぁ?」

「お前らがこの空間から脱出する方法はただ1つ!この琴ノイズラーにカルタで勝つ事だ!」

「カルタぁ!?何でそんな事を……」

「たまには面白いだろ?ただのゲームだよ」

「どの道、やるしか無さそうだ」

「だな……。分かった、そのカルタ対決受けるぜ!」

「よし、決まりだなホラよ!!」

床には巨大なカルタが散りばめられた。

「俺が読んだ札をお前達が先に10枚取れたらお前らの勝ちでいいぜ」

「臨む所だ!!」

「では……2階から目薬」

「に……に……」

ビートとボイスが「に」の札を探す。

「あった!」

ボイスが見つけ「に」の札に走る。

だが、琴ノイズラーが妨害攻撃。

『お年玉手裏剣』

手裏剣の様に投げられたポチ袋がボイスを襲う。

「ぐあっ!?」

「スキあり〜!」

琴ノイズラーが「に」の札を奪う。

「ボイス!?テメェ卑怯だぞ!!」

「何を言ってる?妨害無しなんてルールは決めてないぞ?」

「クソッ〜」

「悪い……しくじった……」

「こうなったらこっちも真っ向勝負なんてバカバカしいぜ」

「ああ、妨害ありならこちらもそうさせて貰う!」

「次だ。ぬかに釘」

「ぬ……ぬ……」

「そこだ!」

琴ノイズラーが「ぬ」の札に飛びつく。

「あ〜しまった……普通に負けた……」

「ハハハッ、よし次だ!鬼の目にも涙」

「お……お……あっ!ラッキーめっちゃ近い!」

ビートが「お」の札に向う。

「させるか!門松ミサイル!」

またしても琴ノイズラーが妨害。

「!今だ!」

ボイスが別の方向に走る。

「何っ!?」

ビートは攻撃を食らうが、「お」の札はボイスが取った。

「何っ!?そんなバカな!?」

良く見るとそれは「あ」の札だった。

「しまった……フェイントか〜」

「へへっ、お手付きだな」

「クソッ〜」

「はぁ……よし次だ。馬子にも衣装」

「ま……ま……そこだ!」

琴ノイズラーが見つけ「ま」の札に走る。

だが……。

空間が突然誰かに破壊された。

「うわぁぁぁっ!?」


ビート、ボイス、ドレイク、琴ノイズラーは現実世界に戻って来た。

「あれ?何で?」

「ったく……何ダラダラしてんだ」

そこに居たのはジーグだった。

「ジーグさん!?」

「何で?」


「貴様〜邪魔しやがって!」

「悪いな。タイムオーバーだ」

「はぁ?」

ジーグの必殺技『ライトニングバースト』が発動。

『エレキギターチェンジャー』を演奏する事で電気エネルギーが発生し、それにより敵を倒す技だ。


「ぐわぁぁぁっ!?」

琴ノイズラーは倒れた。


「クソッ……音楽の戦士共〜今年も宜しく!」

そう言ってドレイクは姿を消した。


「ジーグさん……ありがとうございました」

「ったく……あんなふざけたノイズラーに苦戦してんじゃねーよ……」

「すみません……あの……ジーグさんは今までどこに?」

「ん?ちょっと野暮用があってな。あっ、今年も宜しく」

そう言ってジーグは去って行った。

「は、はい!今年も宜しくお願いします!!」

ビートとボスは頭を下げてジーグを見送った。


「……じゃあ……俺達も帰ろうか……」

「だな……何か消化不良な感じあるし……帰ったらカルタの続きだな」

「お前……やる気まんまんじゃねぇか……」


だが、茂と彰が帰った頃、海人は寝てしまっていた。


その後、大人達だけで童心に帰ってカルタを楽しむのであった。


続く……。

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