第13話「聖夜の決戦(後編)」

ムザンは聖なる夜の街に再び現れた。

「さぁ、クリスマスの惨劇本番と行こうか!!」


ムザンは再び街で暴れ始めた。

クリスマスを楽しんでいた人々はあっと言う間に恐怖に見舞われた。


奏での戦士団ではムザンの出現を察知。

「ムザンが現れました。直ぐに出動して下さい」

「ムザン……今度こそ倒す!行くぞ!!」

王堂の指揮で戦士達が全員で出動。

「栞……待ってろよ。必ず助けるからな……」

茂は栞を助ける決意を固め決戦の地へ赴く。


ムザンは栞を人質にする為、寒空の下拘束していた。

栞は震えていた。

それが恐怖による物なのか寒さによる物なのか自分でも分かっていない。

「もうじき音楽の戦士達がやって来る。お前には戦士達が死んで行く惨劇を特等席で見せてやるよ」

そして、ムザンは再びギターを構え……。

「さぁ、派手に滅べ!!」

不協和音を響かせ街を破壊する。


そこに戦士達が登場。

「ムザン!!これ以上貴様の好きにはさせん!!」

王堂が啖呵を切る。

7人の戦士達は一斉に楽器を呼び『変身』

ビート、グランディオーソ、ボイス、フェローチェ、ブリッランテ、フォルテ、ジーグが揃い踏み。

それは圧巻の光景だった。

「勝利のビートを刻むぜ!!」

「俺様の美声に酔いしれな」

「ムザン……お前へのレクイエムを奏でてやる!行くぞ!!」

7人の戦士が一斉にムザンに攻撃を仕掛ける。

「面白い……楽しませろよ!!」

ムザンはたった1人で7人の戦士達と戦いを始める。

ボイスとフェローチェの攻撃をかわし、続いてフォルテとブリッランテに攻撃。

「ぐあっ!?」

「きゃっ!?」

ジーグの攻撃をかわしそのまま反撃。

「ぐっ……」

ビートとグランディオーソが攻撃を仕掛ける。

しかし、これもムザンはかわし反撃。

「ぐはっ!?」

「ぐっ……コイツ……俺達の動きを読んでるのか……」

「あ〜あ……7人も揃ってるのにつまらないなぁ!!」

ムザンはビートを蹴り飛ばす。

「ぐあっ!?」

「じゃあ、まず1人……死ね」

ムザンはビートにトドメを刺そうとする。

「辞めろ!!」

グランディオーソがムザンを必死に止める。

「なんだ?今回は中々頑張るじゃないか」

「当たり前だ!!今年こそ貴様を倒すと誓ったんだ!仲間達と共にな!!」

そして、フェローチェ達も立ち上がる。

「俺達だって……まだ負けてねぇぞ!!」

ブリッランテの必殺技『ライジングストライク』とフォルテの必殺技『音符爆撃波』でムザンを攻撃。

だが、ムザンは闇のギターを弾き衝撃波で技を相殺。

しかし、その隙にビートも立ち上がり体勢を立て直す。

「ビート!行くぞ!」

ボイスが声を掛ける。

「おう!」

ビートはボイス達と合流。

「よし、行くぞ!クインテットストライクだ!」

「はい!」

ビート、ボイス、フォルテ、ブリッランテ、フェローチェの5人は合体技『クインテットストライク』を発動。

最強の技で一気に勝負を決めに行く。

「ぐっ……こんなもの……」

ムザンは抵抗する。

「ぐっ……ぐぁぁぁぁっ!?」

ムザンは大爆発に巻き込まれる。

「やったか?」


その頃、本部で待つミューズと音曽根は……。

「彼らは大丈夫でしょうか?」

「ミューズさん、彼らならきっとやってくれますよ。信じて待ちましょう」

「そうですね」

「あっ、皆がいつ帰って来てもいい様に料理を作り始めておきますか」

「そうですね、私も手伝います」

ミューズと音曽根は皆の帰りを信じクリスマスパーティーの準備を始める。

「あっ、しまった……」

「どうしました?」

「クリスマスケーキ……受けとりに行かないと……」

「そっか、ボイスが行く予定でしたからね……私が取りに行きます」

「え?ミューズさんが?大丈夫ですか?」

「大丈夫です。行って来ますから」

そう言うとミューズは出掛けて行った。


大爆発に巻き込まれたムザンは……。

「フフフッ……なるほど……今のは中々強力なわざわざだったな……」

生きていた。

爆炎の中から平気で出てくるムザン……。

「なんて奴だ……俺達の最強の必殺技を喰らっても……ピンピンしてやがる……」

ボイスは愕然とした。

「今度は……こっちから行くぞ!!」

ムザンは爆炎を吸収し始めた。

「何っ!?奴めあんな技を……昔は無かった技だ……」

グランディオーソにとっても初見の技の様だ。

「当然だ……私だって強くなっている……」

ムザンは爆炎をエネルギーの塊として一気にビート達に向かって解き放つ。

「ぐわぁぁぁぁっ!?」

ビート達5人は大爆発に巻き込まれる。

火柱が上がりそれは遠くからでも見える程だった。

「あれは……皆……」

ミューズも火柱を目撃し戦士達を心配する。

「皆ー!!クソッ!ジーグ行くぞ!」

「ああ……」

グランディオーソとジーグは更にムザンに攻撃を仕掛ける。

だが、ムザンは2人の攻撃を軽くあしらい反撃する。

「ぐあっ!?」

「うわっ!?」

「さて……次はお前達にも死んで貰おうか……」

ムザンがグランディオーソとジーグに迫る。


その頃、気を失ったビートは夢を見ていた。


「茂……茂……」

「誰だ……?俺を呼ぶのは?」

「茂……しっかりして……」

「その声……栞?」

「そうだよ茂……お願い……助けて」

それは確かに栞の声だった。

「そうだ……俺は……栞を助けなきゃならない……」


ビートは目を覚ました。

「栞……待ってろよ……必ず助けるからな!」

ビートは最後の力を振り絞って立ち上がる。

「うぉぉぉぉおおおおっ!!」


「!今の声は……」

「ビートか?」

グランディオーソとジーグはビートの叫び声に気付く。

「フンッ、雑魚は後でじっくり殺してやる……まずはお前達だ……」


ムザンはグランディオーソとジーグにトドメを刺そうと迫る。


「ムザン!!お前だけは絶対に許さねぇ!!」

「!何っ……?」

「お前は皆が楽しみにしてたクリスマスを台無しにした……そして俺の大切な栞を傷つけた……その罪は重いぞ!!」


「クリスマス?そうだ!クリスマスだ!」

「おい?どうした?グランディオーソ」

グランディオーソは何かを思い付いた様だ。

「皆!音楽の力は無限だ!クリスマスソングでビートに力を与えるんだ!」

「クリスマスソング?」

「まぁ、王堂さんが言うならやってみようぜ!」

全員でクリスマスソングの定番『ジングルベル』を演奏し始める。

すると、ビートに音符が集まり始める。

「何だ?」

「これは……スゲェパワーを感じる……」

そしてビートは新たな姿『クリスマスフォーム』となった。

『クリスマスフォーム』はクリスマスをイメージした赤、緑、白で構成されたボディに額に金の星のエンブレムが入った姿だった。


「す……スゲェ!?」

「正に聖夜の起こした奇跡だな」

「フンッ、そんな浮かれた姿で俺に勝てると思うなー!!」

ムザンはビートに攻撃を仕掛ける。

ビートはベルを鳴らし音符で作ったバリアを展開。

ムザンの攻撃を防ぐ。

「何っ!?」

ムザンは更に攻撃を続ける。

だが、その全てをバリアで防ぐビート。

「くぅ〜……イライラする〜!!」

「そろそろこっちも行くぜ!!」

ビートは『ビートチェンジャー』を取り出す。

「うおっ!?ビートチェンジャーもクリスマス仕様かよ……」

ビートチェンジャーも赤と緑のカラーリングになっていた。

「よっしゃ!クリスマス限定バージョンでお届けするぜ!!」

ビートは『ビートチェンジャー』を奏で始める。

ビートはクリスマス限定の必殺技『クリスマストライク』を発動。

強力なエネルギーがムザン目掛けて放たれる。

「フンッ、そんな物……」

ムザンは受け止めまた吸収しようとするが……。

「ぐっ……なんてエネルギー量だ……吸収……しきれない……ぐぁぁぁぁっ!?」

ムザンは消滅。

クリスマスの惨劇を引き起こした張本人は辛くもクリスマスの力によって敗れ去った。


「やったぜ!」

ビートの『クリスマスフォーム』は解除。

「あっ……」

「本当にクリスマスだけの奇跡だったんだなぁ」

「おい、それより栞さんは?」

「あっ、そうだ、栞ー!」

ビートは変身を解除し栞の元へ。

「栞!栞!」

栞の体はすっかり冷えきっていた。

「茂……」

「栞!大丈夫か?しっかりしろ!」

「寒い……早く……帰ろ……」

「ああ……」


戦士達は栞を連れて奏での戦士団本部へ帰る。


そして、遅めのクリスマスパーティーが開催された。

「さぁ、皆クリスマスパーティーを、始めましょう」

「皆、ミューズさんがケーキを取りに行ってくれたぞ。食べよう」


戦士達のささやかな休息と共にクリスマスパーティーは行われた。


続く……。

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