第12話「聖夜の決戦(中編)」

茂と栞はクリスマスイブにショッピングモールに来ていた。

しかしそこにノイズの新たな幹部ムザンが現れ人々を襲い始めた。

クリスマスの惨劇が始まってしまった。

更に同じ頃、ドレイクもベルノイズラーを誕生させ、人々を襲い始めていた。


ムザンの方には現場に居た茂が向かい、更に王堂と深見も合流。

なんとムザンは王堂にとって因縁深い相手だった。

3人は変身し、ムザンと戦いを始める。


そして、ベルノイズラーの方には彰が1人向かっていた。

「アイツか……」

逃げ遅れた母親と娘に迫るベルノイズラー。

「コノヤロー!!」

彰はベルノイズラーに飛び蹴りを喰らわせ退ける。

「さぁ、今の内に……」

「ありがとうございます!」

親子を避難させる。

「フンッ、来たか」

彰の前にドレイクが現れる。

「テメェ、良いところに来たぜ……死んで行け!!」

ドレイクが彰に襲い掛かる。

彰はドレイクの攻撃を避け『マイクチェンジャー』を取り出す。

そして『変身』

ボイスが登場し、ドレイクと戦い始める。


その頃、ムザンと戦うビート、グランディオーソ、ジーグはムザンに苦戦していた。

「ぐあっ!?クソッ……コイツ強えぇ……」

ジーグがビートに駆け寄る。

「だから言っただろ。奴は並の相手じゃない」

1人で戦うグランディオーソ。

「くっ……今度こそ……お前に勝つ!!」

「フンッ、ほざいてろ!!」

ムザンはグランディオーソを蹴り飛ばす。

「ぐあっ!?」

「そんな……最強のグランディオーソまで……3人じゃクインテットストライクも使えないしな……他の皆は何してるんだ?」

「彰は別の現場に現れたノイズラーと戦ってるらしい。他の3人は年末特番の収録やリハーサルだと」

「かぁ〜……こんな時に羨ましいぜ」

「言ってる場合か!行くぞ!」

ジーグはそう言ってムザンに立ち向かう。

だがムザンはジーグの攻撃も寄せ付けない。

ムザンがギターを弾くと衝撃波が発生しジーグを吹き飛ばす。

「ぐあっ!?」

「ジーグ!?クソッ!!」

ビートもムザンに攻撃を仕掛ける。

だが結果は同じだ。

ビートも衝撃波に阻まれ吹き飛ばされる。

「やれやれ……飽きたな……」

突然ムザンは言い出す。

「はぁ?ふざけんな!!」

「今夜、戦士全員で来い。纏めて相手してやるよ」

そう言ってムザンは屋上から飛び降りて行った。

「あっ、待て!!」


「きゃぁぁぁっ!?」

突然悲鳴が聞こえた。

「今のは……まさか……栞!?」

ビートは急いで屋上から下を覗き込んだ。

するとやはり、ムザンは栞を捕え人質にしていた。

「今夜は最高のパーティーにしようぜ!音楽の戦士達!それまでコイツは預かる!」

「待て!止めろ!!」

だが、ムザンは栞を連れ去っていった。

「栞ー!!」

ビートは叫ぶ。

しかし、その声は栞に届く事は無く虚しく響き渡る……。

3人は変身を解除していた。

茂はかなり落ち込んでいた。

「茂立て……あの娘が栞ちゃんだろ?ミューズさんから話は聞いてるぜ。今夜のパーティーに招待してるらしいじゃねぇか。それなら皆で協力してさっさと決着着けようぜ。その為には戦うしかないんだ」

そう言って王堂は茂の肩に手を置く。

「……るっせーよ……」

「ん?」

「うるせーよ!!そもそもあんたがアイツに負けなけりゃこんな事にはならなかっただろうが!!何が最強の戦士だ!!何が世界的ギタリストだ!!……俺が憧れたあんたは……その程度の奴だったのかよ……」

その瞬間、深見が茂を殴り飛ばした。

「何すんだよ!!」

「お前に何が分かる!!王堂は紛れもなく世界一のギタリストだった……いつも俺の上に立ち、いつも俺の目標だった……でもな……そんな王堂は戦士として戦う宿命を背負いギタリスト生命まで絶たれる大怪我をしても戦士として戦う道を選んだんだ!!そんな王堂にお前みたいなひよっこが偉そうにキレてんじゃねぇぞ!!お前にそこまでの覚悟があるのか?ええ?」

「……くっ……」

「もう良いよ……落ち着け深見……」

「でも……」

「茂……確かにお前の言う通りだ。俺が昔、ムザンを倒してたらこんな事にはならなかった……。すまん。だが、ここで俺達が、言い争ってても何も解決しない……そうだろ?」

「うん……」

「昔の俺には出来なかった事も今、お前達の様な仲間が居るから出来るはずだ。頼む、一緒に戦ってくれ」

なんと王堂は茂に深々と頭を下げた。

「はぁ……おいおい……お前が普通ひよっこにそこまでするかね……」

深見は呆れている。

「そんな……止めて下さいよ王堂さん……俺の方こそすみませんでした……お願いします。栞を助ける為に力を貸して下さい」

「茂……ならお前は栞ちゃんを助ける為に……俺はムザンと決着を着ける為に……共に手を取り合って戦おう」

茂と王堂は固く握手をした。

「ほら、深見も」

「え?フッ……やれやれ……おう!」

深見も握手に加わり3人の絆はより深まった。


その頃、ボイスはベルノイズラーを倒していた。

「はぁ……はぁ……」

「フンッ、まぁ今日はここまでにしておくか」

ドレイクは去って行った。


ボイスにも連絡が入り、奏での戦士団本部に戦士達が集められた。

琴音、裕二、新庄も集まり全員集合。

桃香と海人も既に来ていた。

「ママ〜クリスマスパーティーは?」

「しーっ……今からパパ達大事なお話があるから静かにね」

そして、ミューズと音曽根がやって来る。

「皆さんお集まりですね」

「ミューズさん何があったんですか?ノイズラーなら俺がもう……」

「ボイス、その件はお疲れ様でした。しかし、ほぼ同時刻に大変な事が起きたのです」

「え?」

「俺達は収録からわざわざ抜けて来てんだ。それなりの理由なんでしょうね?」

「ええ、皆さんは8年前に起きたクリスマスの惨劇と呼ばれるノイズの事件の事はご存知ですか?」

「クリスマスの惨劇?」

「初めて聞いたわ」

「俺は前に、王堂さんから聞いた事があるな……」

「ええ……今の現役の戦士でその事件を経験してるのはグランディオーソだけですから……」

そうしてミューズはクリスマスの惨劇について語り始めた。

今から8年前のクリスマスイブにそれは起きた。

長い間ノイズと戦って来た音楽の戦士達にとってもそれは初めての事だった。

その年、ある国の都市に突如として現れたノイズの幹部ムザンによってクリスマスムード一色だった街が悲劇に見舞われた。

その頃は王堂もまだ若手の戦士として先輩戦士達と共にノイズと戦っていた。

しかし、ムザンとの交戦になるとムザンは無類の強さを発揮し他の戦士達を次々に倒していった。

最後に生き残ったグランディオーソも敗北し重傷を負った。

戦士達が倒された後、街は壊滅した。

この事件が、きっかけで王堂は指先の細かい動きが出来なくなり、ギタリストとしての人生は終わりを迎えた。

必死のリハビリで日常生活には問題無くなる程までは回復したが、ギタリストとしては生きていけなくなった王堂は音楽界からは姿を消し、戦士として最強を目指す道を選んだ。

その後、深見を始め新たな戦士達が加わる様になり今日に至る。

その間も毎年クリスマスになるとムザンが何処かに現れその度に惨劇は起こる様になってしまった。

各国の戦士達がムザンに挑むが結果は同じ……。


「そんな事が……」

「じゃあ、今年は日本でそれが?」

「ああ、今年こそ奴を倒し、クリスマスの惨劇を終わらせるんだ!」


その頃、ノイズのアジトでは……。

「ムザンの奴とうとうやって来たか」

「奴に巻き込まれては敵いませんからね、しばらく我々は大人しくしておきましょう」

ドレイクとゼレーバが会話をしている。

「ハハハハッ……では今年も好きに暴れさせて貰うぜ!」

「ムザン!?お前がここに顔を出すなんて珍しいじゃねぇか」

「ああ、実はな。神の楽譜の情報を掴んだから報告しておこうと思ってな」

「何っ!?神の楽譜だと!?本当か!?」

「ああ、神の楽譜はなぁ……」

ムザンは神の楽譜の情報をベルアゼスに報告した。


そして、ムザンは再び聖なる夜の街に現れた。

「さぁ、クリスマスの惨劇の本番と行こうか!!」


続く……。

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