第8話「声を失った女神」

遂に5人の最強必殺技『クインテットストライク』が発動し、キーボードノイズラーに炸裂。

キーボードノイズラーは消滅し、元のキーボードに戻った。

「凄い……こんな事出来るんだ……」

「やった……」

「ミューズさんは!?」

「無事だ。まぁ、意識は失ってるがな」

「そっか……良かったぁ……」

5人はミューズを連れて本部に帰る事に。

ミューズはダメージが酷い為に直ぐにベッドに寝かされた。

「皆、ご苦労さま。疲れたろ?ゆっくり休んでくれ」

「そうしたいんすけど……俺バイトが……」

と茂が言うと。

「俺も……」

彰もの様だ。

「私も仕事が」

「俺も」

「俺もです」

琴音、裕二、新庄もそれぞれ仕事がある様だ。

「そっか。じゃあ、今日は解散にするか」

それぞれ解散に仕事に向かう。


戦士達もようやく日常生活に戻った。


その頃、ノイズのアジトでは……。

「ゼレーバ!貴様、何故ミューズを逃した?」

ベルアゼスにゼレーバは問い詰められていた。

「もう必要ないと思いまして……それにこれ以上の拷問はミューズを殺してしまい兼ねませんでしたし……」

「まったく、勝手な事を……」

「ですが、収獲もありました。あれだけの拷問でも知らないと言い通すと言う事はミューズや音楽の戦士達も神の楽譜の在り処は知らない様です。ならば我々が先に見つけてしまえばいい」

「なるほどな……」

「ベルアゼス様、ではその神の楽譜を探す任務私に与えて頂けないでしょうか?」

そう言って来たのはノイズの紅一点の女幹部フリーゼだった。

「フリーゼか……良かろう。お前もたまには外に出たいだろう」

「ありがとうございます。では早速捜索チームを編成し出発を」

「任せたぞ」


茂はバイト、そしてバンドの練習を終え奏での戦士団の本部に向かった。

すると……。

「ごじんばい(しんぱい)をおがげ(お掛け)じまじだね、ビード」

「え?」

茂の耳に酷いガラガラ声が聞こえて来た。

それはミューズだった。

「えぇっ!?今のミューズさん!?」

「そうなんだ……今朝君達が帰った後、ミューズさんは目を覚ましたんだが、酷い声になってしまっていてな……」

「え?何で?」

「おぞらぐ(恐らく)、ベルアゼズがらうげた(受けた)拷問のぜいでじょう」

「そんな……酷いな……」

「まぁ、声がれならしばらくすれば治る。命に別状が無くて良かったよ」

「でも心配だな……あっ、そうだ!俺、明日蜂蜜とか喉に良いもの何か持って来るよ!」

「ありがどうございまず」

「ああ、うん……ミューズさん無理に喋らない方が……」

「部屋に戻っでまずね」

ミューズはそう言って部屋に戻って行った。

部屋に戻ったミューズはベッドで横になり、泣いていた……。


「ミューズさん……君達に心配掛けまいと明るく振る舞ってはいるが、かなり落ち込んでてな……」

「そっかぁ……俺達には無理に明るく振る舞う事ないのに……」

「そういう人なんだよ。音楽の戦士達が戦いに集中出来る様にと自分の事は後回しにする人だからな……」

そう言いながら音曽根は茂にコーヒーを出す。

「ありがどうございます……。まぁ、それはそうかも知れないけど……そうだ!」

茂は何かを思いついた様で、カバンから探す。

「あった、コレ……良かったらミューズさんに……」

そう言って茂が出したのは茂達が出演するライブのチケット。

「ん?君達のライブか」

「ええ、まぁ、売れないバンドの合同ライブですけどね……ミューズさんを元気にするならやっぱり音楽かなと思って。良かったらもう1枚、音曽根さんも来てください」

そう言って茂は2枚のチケットを出した。

「ありがとう。ミューズさんにも必ず渡すよ」

「お願いします。あっ、コーヒー頂きますね」

そう言って茂はコーヒーを飲む。

「アッチ!?」

「おお!?大丈夫かい?」


そしから数日後、ライブ本番。

茂達は準備に追われていた。

茂達に代わって残ったチケットを栞が会場前で配っていた。


茂達は最後の練習をしていた。

そこに栞が戻って来た。

「皆ー、結構お客さん来てるよー」

「おお、サンキュー栞!」

「悪いな栞ちゃん、こんな事やらせちゃって」

そう太一が言うと。

「大丈夫、大丈夫。好きでやってるんだから!それより皆そろそろ出番でしょ?頑張ってよ!」

「おう!」

そこへ控え室のドアをノックする音が……。

「はーい」

栞がドアを開けると、そこにはミューズと音曽根が立っていた。

「えっと……どちら様?」

「突然すみません、茂君は居ますか?」

音曽根が尋ねる。

「あっ、音曽根さん!ミューズさん!」

「おおー、お邪魔してるよ」

「茂、知り合いなの?」

「ああ、ちょっとな。入って下さい」

茂はミューズと音曽根を控え室に入れた。

「どうも皆さん初めまして。音曽根と申します。そしてこちらはミューズさん」

音曽根は自己紹介とミューズの紹介を辰哉と太一にもした。

「はぁ……」

「俺の知り合いでな。いつも色々世話になってるから今日招待したんだ」

「へぇ〜そうなのか!どうも茂がいつもお世話になってます」

「ミューズさん、声の調子はどう?」

「まぁ、ボチボチだな……」

「そっかぁ……俺達もうすぐ出番だから客席で見ててよ」

茂がそう言うと。

ミューズは微笑んだ。


いよいよ茂達ブラックレイドの出番。

ステージに上がると早速演奏を開始。

一曲目と二曲目はメンバーで選んだブラックレイドの中でも人気の楽曲。

三曲目は茂が急遽変更したバラード曲「泣いていいんだよ」を披露。

これは辛い時や悲しい時は泣いていいと言うメッセージを込めた曲で茂がミューズの為に演奏したものだった。 

その曲を聞きミューズは思わず涙を流してしまった。


ブラックレイドの出番は終わり次のバンドと交代して控え室に戻る茂達。

ミューズと音曽根は栞の案内で先に控え室に戻っていた。

「あっ、ミューズさんどう?少しは元気出た?」

茂が尋ねると。

ミューズは微笑んで。

「あり……がど……」

まだ声は枯れているが、茂の想いは伝わった様だ。

だがその時、ミューズは何かを感じ取って茂の手を引っ張って走り出した。

「わっ!?えっ!?ミューズさん!?」

ミューズが茂を連れて走った先はステージの方。

ステージではバンドマン達がノイズラーに襲われていた。

ドラムから誕生したドラムノイズラー、ベースから誕生したベースノイズラー、キーボードから誕生したキーボードノイズラーがそれぞれ持ち主を襲っていた。

「何だよこれ……一気に3体も!?」


音曽根が走って来る。

「ミューズさん、控え室の人々は避難させました。後は会場の人々だけです」

「ミューズさん、音曽根さん。俺がアイツらを食い止めます。その間に会場の人達の避難をお願いします」

「分かった。気を付けろよ」

頷くと茂はドラムノイズラーを蹴り飛ばしバンドマン達を助ける。

次にキーボードノイズラーを引き剥がし持ち主を助ける。

最後にベースノイズラーを引き剥がし持ち主を助け、バンドマン達は避難。

その間に音曽根とミューズは会場の観客達を避難させる。

音曽根とミューズだけになった所で茂は『ビートチェンジャー』を呼んだ。

「行くぜ!」『変身』

ビートが登場し、3体のノイズラーと戦う。

その様子をドレイクが見ている。

「現れたかビート……しかし、3体相手に勝てるかな?」


「ぐっ……やっぱ3体も相手にするのはキツいな……」

ビートは3体のノイズラーに大苦戦。


戦いながら会場の外へ出る。

「うわっ!?」

会場の外ではビートとノイズラーの戦いを栞が隠れて見ていた。

3体のノイズラーが一斉に攻撃。

『破滅のディソナンス』

「うわぁぁぁぁっ!?」

「出来た!複数のノイズラーを同時に使う事で破壊の不協和音でダメージを与える技……。名付けて破滅のディソナンス!音楽の戦士達のクインテットストライクを見て思い付いた技だ」

ドレイクは生み出したノイズラー達の大技に確かな手応えを感じていた。


ビートは『破滅のディソナンス』を喰らい大ダメージを受ける。

「ぐっ……クソッ……」

ビートは変身が解除されてしまい茂の姿に戻る。

「嘘っ!?茂……?」


茂は大ダメージを受け倒れてしまった。


続く……。

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