第7話「発動!クインテットストライク」

ゼレーバの策略により囚われの身となったミューズにノイズのボス、ベルアゼスが接触する。

「音楽の女神ミューズ……お前に聞きたい事がある……」

「お前は……ベルアゼス……」

「神の楽譜は何処にある?」

「!!……そんなの……知らない……」

「ほぉ……まぁ良い……喋りたくなるまでいたぶってやる……」

そう言ってベルアゼスは去って行った。


その頃、出現したノイズラーの対処にやって来た茂と彰。

今度はチェロノイズラーだ。

「チェロのノイズラーか……2人で一気に行くぞ!!」

「おう!」

茂と彰はそれぞれの楽器を呼び『変身』

ビートとボイスが登場。

「勝利のビートを刻むぜ!!」

「俺の美声に酔いしれな」

「お前……音痴のクセに良くそんな寒い事言えるな……」

「うるさい!」

ビートとボイスがチェロノイズラーに戦いを挑む。


だが、チェロノイズラーのガードは硬い。

「クソッ、コイツ硬てぇ……」

更にチェロノイズラーは弓を剣の様に使い攻撃してくる。

2人はその攻撃を喰らいダメージを受ける。

「くっ……近距離じゃ不利だ……遠距離から攻撃するぞ」

「おう!」

ボイスの指示でチェロノイズラーと距離を取る。

しかし……。

チェロノイズラーは自らの弦を伸ばしビートを捕らえる。

「ぐあっ!?」

手足、更に首に巻き付かれビートは身動きが取れない。

「くっ……苦しい……」

「チッ……」

ビートを盾にされボイスも手出しが出来ないでいた。


「背中がガラ空きだぜ!!」

ブリッランテがチェロノイズラーの背後から攻撃。

更にフォルテが『フルートチェンジャー』で音符攻撃をし、チェロノイズラーの弦を切る。

「うっ……助かった……」

「茂君、大丈夫?」

「琴音さん……助かりましたよ……」

「ったく、琴音さんだけじゃねぇだろ!」

ブリッランテがビートの頭を軽く叩く。

「あいてっ!?」

そしてボイスも駆け寄って来た。

「2人共、どうして?」

「音曽根さんから連絡貰って」

「仕事終わりだから良かったわ」

「よし……んじゃあ、こっから、大逆転と行きますか!!」

とビートが言うが……。

「お前が仕切んな」

ボイスがツッコむ。

「来るぞ!」

ブリッランテが呼び掛ける。

チェロノイズラーが体勢を立て直し攻撃を仕掛けて来た。

4人はジャンプで攻撃をかわし距離を取った。


「一気にトドメだ!」

ビートが言う。

「だからお前が仕切んな!」

それぞれが楽器を呼び必殺技を発動。

フォルテの『音符爆撃波』

ブリッランテの『ライジングストライク』

ボイスの『ボイスインパクト』

ビートの『ロックスターブレイク』

それぞれの必殺技が合わさりチェロノイズラーを倒した。


「よし……」

「裕二、琴音さん、大変な事になってるんだ、力を貸してくれ」

「え?」

「何があった?」


4人は本部に戻る。

本部で事情を聞き裕二と琴音は驚愕した。

「そんな大変な事になってたなんて……」

「すまない、俺達が居なかったばっかりに……」

「いや……2人は忙しいんだから仕方ないさ……それより……俺がノイズラーを連れ込んじまったせいだ……」

茂は自分の責任だと感じていた。

「誰のせいでも無いさ……それより今は皆で協力してミューズさんを助ける方法を考えようぜ」

新庄は皆を元気付ける。

「俺達は敵の居場所が分からねぇ。今は敵が動くのを待つしかないさ。今日はもう遅い、休もう」

「でも、誰か起きてないと」

「そうだな。よし、交代で見張りだ」

そう言って新庄は紙を細く切りくじ引きを作った。

茂、彰、裕二、琴音は順番にくじを引いた。

そのくじに書かれていた番号の順番に見張りをする。

まずは茂。

「って、結局俺が最初かよ……」

しかし、そのまま何も起きず2時間毎に交代し、朝を迎えた。

最後に見張りをしていたのは新庄。

「もう朝か……そろそろアイツら起こすか……」

そう言うと新庄は皆が寝る部屋の前にベースを持って立ち……。

激しい音楽を響かせた。

「うわぁぁぁっ!?うるせぇー!!」

爆音に驚き飛び起きた茂が出て来た。

「何だようるさいな!!」

「おう!しっかり目醒めただろ」

「ったくこのおっさん……」

そして、彰達もぞろぞろと部屋から出て来た。

「どうしたんですか?朝っぱらから……」

「よーし、お前ら朝飯の前に朝練するぞ!」

「朝練?」


新庄に叩き起こされた4人は早速それぞれの楽器を持ち外の広場に出される。

「折角全員居るんだ。今の内にクインテットストライクを使える様に練習だ!気合い入れてけよ!!」

しかし、4人はまだ寝ぼけ眼だ。

「このおっさん何で朝からこんなに元気なんだ……」

早速練習を開始。


その間新庄の演奏で起こされた音曽根は朝食の準備をする。


その頃、ノイズのアジトでは……。

「あぁぁぁぁっ!!」

ミューズはベルアゼスから電撃を浴びせられ拷問を受けていた。

「はぁ……はぁ……」

「チッ、早く神の楽譜のありかを言ってしまえよ……そうすりゃ楽になれんのに……」

「だから……知らないって言ってるでしょ……」

ベルアゼスは再びミューズに電撃を浴びせる。

「あああぁぁぁっ!?」


一方で、ドレイクが街に現れノイズラーとなる楽器を探していた。

突如現れたドレイクに周りの人々はパニックになる。

「フンッ、くだらねぇ人間共が……」

そしてドレイクの目に入ったのは路上ライブをしていたアーティストが置いて行ってしまったキーボード。

「これにするか……」

ドレイクは闇のエネルギーを送りキーボードをノイズラーに変貌させた。

キーボードノイズラーが誕生した。

キーボードノイズラーが暴れ出した。


その様子を見ているゼレーバ。

「やれやれ……奴は暴れる事しか脳が無いな……」


ノイズラー出現の連絡を受け、茂達は現場に向かう。


「居たぞ!」

茂、彰、琴音、裕二、新庄が現場に到着。

キーボードノイズラーは暴れていた。

全員がそれぞれの楽器を呼び『変身』

ビート、ボイス、フォルテ、ブリッランテ、フェローチェが揃って登場。


「フンッ、来たな音楽の戦士共……だが、数を揃えても無駄だぜ!」

「ドレイク!テメェの仕業か!さっさと叩き潰してやる!」

フェローチェが威勢良く叫ぶ。

だが、そこに音曽根から連絡が。

「皆、近くに別のノイズラーの反応だ!誰かそっちへ向かってくれ!」

「何っ!?」

「仕方ない、手分けをしましょう」

ブリッランテが提案。

「ああ、だが、もう一方は俺1人で十分だ。お前らはコイツを頼んだぜ!」

そう言ってフェローチェはもう一方の方へ向かった。

「なんだよ……1人で行っちまって……」

「まぁ、いい。俺達はコイツに集中するぞ!」

ボイスがそう言うと他の3人も構えた。

ボイスとフォルテがキーボードノイズラーと戦う。

そして、ビートとブリッランテがドレイクと戦う。

「フンッ、面白くなって来た!」

ドレイクも戦いを楽しむ様にビートとブリッランテの相手をする。


そして、もう一方の方に向かったフェローチェは……。

音曽根の指示を頼りにあるビルの屋上に辿り着く。

「この辺か……」

すると、死角からの攻撃を受ける。

「うわっ!?」

それはカスタネットノイズラーだった。

「くっ……カスタネットのノイズラー?コイツか……本部を襲ったのは……」

「その通り……」

そう言ってゼレーバが現れた。

「お前は……ゼレーバ!」

「フェローチェですか……お久しぶりですね」

「珍しいな、お前が出てくるなんて……」

フェローチェは体勢を立て直す。

「フフフッ……少々面白い事になってましてね。どうでしょう?あなたがこのカスタネットノイズラーを倒せればミューズさんをお返ししますよ?」

「何っ!?そうか……テメェがミューズさんを!!許せねぇ!!」

フェローチェはゼレーバに襲い掛かる。

しかし、カスタネットノイズラーがフェローチェの邪魔をする。

「くっ……邪魔だ!」

「勘違いして貰っては困ります。私はカスタネットノイズラーを倒せたらと言ったはずですよ?」

「くっ……テメェ……」


その頃、ビート達もキーボードノイズラーとドレイクに苦戦していた。

「クソッ……コイツ……強えぇ……」

「くっ……流石は幹部クラスだ……」

ビートとブリッランテはドレイクに苦戦。

そして、ボイスとフォルテもキーボードノイズラーの攻撃に苦しめられていた。


フェローチェはカスタネットノイズラーを倒そうと必死になっていた。

カスタネットノイズラーは小さい為、中々攻撃が当たらない。

「クソッ……この小せぇの俺には向いて無いな……」

「フフフッ……でしょうね。ガサツは性格のあなたとは相性の悪い相手でしょうからね……」

ゼレーバはフェローチェを小馬鹿にし、更に挑発する。

「テメェ!!」

その時、フェローチェの頭にミューズの声が過ぎった。

「フェローチェ、どんな時でも冷静さを失ってはなりません……」

それはフェローチェがまだ新人の戦士だった頃、良くミューズに言われた言葉だった。

「そうだよな……ミューズさん……」

フェローチェは精神統一を始めた。

「ん?諦めたか?カスタネットノイズラートドメを刺してやりなさい」

ゼレーバの命令でカスタネットノイズラーがフェローチェに向かって最後の攻撃を仕掛ける。


……。

「そこだ!!」

フェローチェは瞬時に『ベースソード』を抜き必殺技『ダイナミックスラッシュ』

カスタネットノイズラーを一刀両断した。

「何っ!?」

カスタネットノイズラーは倒された。

「俺の……勝ちだ!」

「フッ……フフフッ……素晴らしい……約束は守りましょう」

ゼレーバは異空間に閉じ込めていたミューズを出現させた。

「ミューズさん!」

ミューズは既にベルアゼスの拷問により意識を失っていたが、ゼレーバは約束通り返した。

フェローチェはミューズを抱き抱えた。

「ミューズさん!ミューズさん!」

フェローチェは必死に呼び掛けるが返事は無い。

「確かに返しましたよ」

そう言ってゼレーバは引き上げて行った。

「くっ……ゼレーバめ……」

フェローチェはミューズを連れてビート達と合流。

「お前ら大丈夫か?」

「フェローチェさん……」

ビート達は既にかなりのダメージを受けていた。

「フンッ、ようやく戻って来たか……」

「皆、立て!こんな所で負けるんじゃねぇ!!コイツらに喰らわしてやろうぜ!俺達のクインテットストライク!」

「フェローチェさん……そうだ……俺達は負けられない……その為にも……」

ビートは力を振り絞り立ち上がる。

「心を1つに……」

ボイスも必死に立ち上がる。

「クインテットストライクを……」

フォルテも立ち上がる。

「食らわせてやるぜ!」

ブリッランテも立ち上がった。

フェローチェはミューズを寝かせて皆の元へ。

「今更1人増えた所で俺には勝てん……」

「皆、行くぞ!!」

5人はそれぞれの楽器を持ち演奏を始める。

皆の音楽を守りたいと言う想いが1つになる。

5人が揃って初めて使える最強の必殺技『クインテットストライク』が遂に発動。

「ん?まずい……これは!?」

咄嗟にドレイクは姿を消し逃亡。

残ったキーボードノイズラーに『クインテットストライク』が炸裂!!


続く……。

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