第9話「最強の戦士」

ビートは3体のノイズラーを相手に戦うが、ノイズラー達の合体技『破滅の不協和音』により大ダメージを受け変身が解除されてしまい、茂の姿に戻ってしまった。

そしてその瞬間を栞に目撃されてしまった。

「嘘っ……!?茂!?」

「茂君まずいですよ……」

音曽根とミューズも心配する。


そこに、ボイスとブリッランテが登場。

「はっ!」

「危ねぇ……何とか間に合ったぜ」

「ボイス!ブリッランテ!」

「音曽根さん茂を頼みます」

そう言うとボイスとブリッランテは3体のノイズラーを相手に戦い始める。


その隙に音曽根が茂を抱える。

「手伝います!」

栞が飛び出して来た。

「栞さん……」

「後でちゃんと説明して貰いますよ?」

「ああ、そうだな……」

音曽根と栞は茂を抱えてミューズの方へ行く。

「二人とも……悪いな……」

「良いよ。それよりちゃんと説明してよね」

「ああ……」


ボイスとブリッランテが加わった事で3体のノイズラーも追い詰められる。

「くっ……流石に分が悪いか……引け!ノイズラー共!!」

ドレイクはノイズラー達を撤退させ、自らも姿を消した。

「逃げやがったか……」

「まぁ良いだろ。帰ろう」

ボイスとブリッランテも引き上げる。


「茂……大丈夫?」

「ああ……何とか……な」

「一体何がどうなってるの?」

「栞さん、我々の方から説明します。明日、ここに茂君と一緒に来て下さい」

そう言って音曽根は「音曽根楽器店」の住所が書かれた自分の名刺を栞に渡した。

「楽器屋さん?」


今日はノイズラーの騒ぎでライブは中止になってしまった。

仕方なく他のバンドマン達も帰って行く。


翌日、栞は茂に案内され音曽根楽器店へやって来た。

「ねぇ、茂。大丈夫なの?」

「ああ、何とかな」

音曽根楽器店に入ると音曽根が待っていた。

「やぁ、待ってましたよ。どうぞこちらへ」

そう言って音曽根は栞を奥の地下通路への扉に案内する。

「茂君、ちょっと店を閉めて来るから先に栞さんと行っててくれ」

「分かりました」

しかし茂は栞に今まで黙っていたのもあり、あまり気が進まなかった。

地下通路を通り奏での戦士団の本部へ入る。


ミューズが出迎え、会釈する。

後から音曽根が降りて来て栞を席に座らせる。

「栞さん、今日はわざわざ来てくれてありがとうございます。声が出ないミューズさんに代わって私がご説明します」

「はぁ、宜しくお願いします」

音曽根は栞に奏での戦士団について、そして茂がビートとして戦っている事、そしてノイズについても説明を始めた。


その頃、遥か遠く北極の地で戦う1人の戦士が居た。

フリーゼがベルノイズラーを率いて戦っていた。

「さぁ、早く神の楽譜の在り処を教えなさい!」

「悪いが、貴様らにやる物じゃ無くてな……」

この戦士こそ音楽の戦士の中でも現役最強と言われる戦士グランディオーソ。

金と銀のボディの派手な見た目の戦士だ。

「来い!」

「くっ……行けー!ベルノイズラー!!」

フリーゼの指示でベルノイズラーがグランディオーソに挑む。

「フンッ!!」

グランディオーソはたったの一撃でベルノイズラーを捻じ伏せる。

「何っ!?」

「トドメだ」必殺技『ロックスターマキシマム』が炸裂。

ベルノイズラーを倒した。

「くっ……おのれ……」

「次はお前か?」

「くっ……」

フリーゼは撤退。


「さてと、一度日本に戻るか……」

グランディオーソは去って行った。


その頃、栞は音曽根から色々聞かされていた。

「ふ〜ん……だいたい分かったけど……何で茂なの?」

「それはなぁ、楽器が選ぶ事だから我々にも分からないんだよ。まっ、今我々が言えるのはそれだけだ」

「分かりました。ご説明ありがとうございました。あの……ここにまた来ても良いですか?」

「勿論、いつでも歓迎しますよ。あっ、でも他の人には秘密に」

「分かりました。私にも出来る事があったらお手伝いさせて下さい。それじゃあ、私は今日は帰ります」

「そっか。じゃあまたおいで」

「はい!」

「んじゃ、俺も今日は帰るかな」

「分かった。ゆっくり休みなさい」

茂と栞は帰って行った。


それから数日後……。

この日も茂達はバイト終わりに集まって練習をしていた。

そこに訪ねて来た1人の男。

「失礼します〜」

「ん?誰だ?スタッフさん……じゃないよな?」

「どうもお邪魔して申し訳ありません。私こうゆう者です」

そう言って男は名刺を差し出した。

その名刺を見てみると芸能事務所ムーンライトプロダクションの金田(かねだ)と言う男だった。

「芸能プロダクション?って事は……俺らチャンス到来か!?」

盛り上がる茂達。

「あっ、いや、そうでは無くて……先日のライブを拝見させて頂きました。そこで是非ウチに来て欲しいと思いまして……太一さんに」

「え?俺?」

「はぁぁぁっ!?何で太一だけ!?」

「意味分かんねぇよ!!」

「実はその……太一さんのルックス的にバンドよりもアイドル向きだなと思いまして」

「はぁ!?太一がアイドル!?」

「ええ、是非我が社の誇る人気グループ。マジックボーイズに入って頂きたいと思いまして」

「え?マジックボーイズ!?」

って事は裕二の……。

茂は直ぐに思い出した。

「いや……俺はアイドルとかは別に……」

「そこを何とか!今のマジックボーイズがもう1段階上に行くには新メンバーが必要なんです!」

「いや、そう言われても……」

太一も困っていた。

「太一さんの力が必要なんです!どうかお願いします!!」

「いや、だから……俺はアイドルには興味無い」

太一もキッパリと断る。

だがそこに……。

「本当にそれで良いのかい?」

現れたのは裕二達マジックボーイズのメンバーだった。

「裕二……」

茂は思わず呟いた。

「……このまま君がこのバンドに居ても売れる保証は無い。だったらいっそのことマジックボーイズに入った方が君の為になると思うんだけどな」

茂を一瞬横目で見ながら裕二は太一に迫った。

「おいおい、冗談じゃないぜ!太一もアイドルには興味無いって言ってんだ!帰ってくれ!」

「……。分かった、日を改めよう。考えておいてくれ」

その時、茂と裕二のスマホが同時に鳴った。

ノイズラー出現の知らせだった。

「くっ……こんな時に……」

「仕方ない……皆は先に帰っててくれ。俺はちょっと用事が出来た」

そう言って裕二は去って行く。

「あっ!ちょっと待てって!」

茂も裕二を追い掛ける。

「おい、茂……何だアイツ……」

「仕方ない……僕達も今日は帰ろう」

岩本拓哉が他のメンバーを促し帰って行く。


その頃、裕二と茂は現場に到着。

「この辺りか……」

「おい、待てって……」

「近くのはずだ」

裕二はそう言って辺りを見渡す。

「なぁ、さっきの話なんなんだよ!」

「今はノイズラーに集中しろ」

「ふざけんなって!」

「ふざけるなだと?俺はいつだって真剣だ!!」

裕二は怒鳴りつけながら茂の胸ぐらを掴む。

だが、そこにノイズラーが襲って来た。

「うわっ!?」

「ぐっ!?」

ノイズラーの突進を受け弾き飛ばされる2人。

現れたのはマラカスノイズラー。

マラカスノイズラーはメキシカンダンスを踊ってポーズを決める。

「何だ?陽気なノイズラーだな……」

「話は後だ。行くぞ!」

「ああ……」

茂と裕二はそれぞれの楽器を呼び『変身』

ビートとブリッランテが登場。


ビートとブリッランテはマラカスノイズラーに戦いを挑むが、マラカスノイズラーは見事なステップで攻撃をかわし両手に持ったマラカスで反撃。

「うわっ!?」

「ぐっ!?」

「コイツ……ふざけた感じだけど強えぇ……」

マラカスノイズラーは両手に持つマラカスを二人に投げ付けた。

すると、マラカスが爆発。

「うわぁぁぁっ!?」

「くっ……コイツ……爆弾持ってんのかよ……」

「まずいぞ……これじゃあ迂闊に攻撃出来ない……」


だが、その時……。

「何だ?苦戦してんのか?お前ら……」

ビートとブリッランテが声のした方に振り向くと2人の後ろからグランディオーソが現れる。


「あなたは……」

「また……音楽の戦士か?」

グランディオーソはマラカスノイズラーに挑む。

「あっ!待って!!」

ビートが声を掛けるがグランディオーソは構わずマラカスノイズラーに攻撃を仕掛ける。

「おらぁ!!」

グランディオーソはマラカスノイズラーを空高く投げ飛ばした。


必殺技『ロックスターマキシマム』を発動し、マラカスノイズラーは空中で爆発した。


「何っ!?なんて強さだ……」

「そうか……あの人がグランディオーソ……」

「知ってるのか?」

「俺も話に聞いていただけで実際に会うのは初めてだ……」

「よぉ、大丈夫か?新入り」

そう言ってグランディオーソが近付いて来る。

「はっ、はい……」

「よーし、んじゃ先に本部に行ってるぞ!後でな」

そう言ってグランディオーソは去って行った。


続く……。

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