第5話「5人目は戦うお父さん」
この日も茂達ブラックレイドはライブに向けて練習をしていた。
いよいよライブまであと数日。
茂達もいつも以上に気合いが入っていた。
曲を弾き終わる。
「ウェーイ!いい調子じゃ〜ん!」
辰哉が叫ぶと。
「ああ、喉の調子も良いし本番まであとちょっとだ。このまま突き進むぜー!」
茂も気合い充分だ。
その時、隣りのスタジオから酷い歌声が聞こえて来た。
「うわっ!?なんだこれ!?」
「隣りの奴クソ音痴だな……」
「チクショー練習の邪魔だ!文句言ってやる!」
茂はイライラしながら隣りに文句を言いに行く。
「おっ、おいおい辞めとけよ……」
太一が止めるが茂は部屋を出て行く。
そして、隣りのスタジオへ……。
「おいコラァ!!下手くそな歌歌ってんじゃねぇ!!こっちの練習の邪魔なんだよ!!」
「え?」
「あっ……」
なんと、そこに居たのは彰だった。
「あっ……彰……」
「あっ!!お前!!」
茂を追ってきて太一。
「おいおい、どうした?ん?知り合い?」
「えっ?あっ、ああ……ちょっとな……まさか……あの下手くそな歌がお前だったなんて……」
「うるせぇよ!!」
彰は音痴だった……。
その後、休憩室で雑談をする4人。
「いや〜しっかしまさか隣りで歌ってるのが彰だったとはな……」
「えっと……二人はどうゆう知り合い?」
太一が尋ねる。
「そうだよな。ライブとかで会った事無いよな?どこで知り合ったんだ?」
辰哉が尋ねる。
「ああ……えっと……」
「知人がやってる楽器屋で偶然会ってそれからちょいちょい話す様になって」
知人の楽器屋……。
音曽根楽器店を想像する茂。
確かに間違ってはない。
「でもお前があんなに音痴だとは思わなかったな……」
「うるさい!もう言うな!」
「そうだよ。失礼だよ茂」
太一が止める。
その時、茂と彰のスマホが同時に鳴る。
奏での戦士団からの呼び出しだ。
「!行くぞ!」
「ああ!ごめん、ちょっと抜ける!」
「え?おい!どうしたんだよ二人共!?」
茂と彰は奏での戦士団本部に向かった。
−奏での戦士団本部−
ミューズが二人に指示を出す。
「ノイズラーが現れました。場所は少し遠いのでこちらから転送します」
「あれ?今日は琴音さんや裕二は?」
「二人は忙しいのでお二人にお願いする事になりました」
「暇なのは俺達だけって事か……行くぞ」
「何か引っ掛かる言い方だけど……ああ!」
茂と彰が出撃。
茂と彰は現場まで転送され、到着。
逃げ遅れた人々を避難させる。
そして暴れているノイズラーは……。
「ラッパ?」
「違うな、サックスだ!」
サックスノイズラーだ。
「よし、さっさと片付けようぜ」
「ああ!」
茂と彰はそれぞれの楽器を呼び『変身』
ビートとボイスが登場。
サックスノイズラーに挑む。
しかし、サックスノイズラーは中々手強い。
二人は連続して攻撃を叩き込むが、サックスノイズラーはその攻撃を全て受け止める。
「クソッ、何だコイツ……全然有効打が入らねぇ……」
「だったらこれならどうだ!」
ボイスは『マイクチェンジャー』を取り出す。
「これでも喰らえ!ドッカーン!!」
マイクチェンジャーの力でサックスノイズラーにダメージを与える。
「なるほど、これなら奴もかわせないって訳か。お前の音痴も役に立つな」
「うるさい!!」
二人が言い合ってる間にサックスノイズラーの反撃。
油断した二人はダメージを受ける。
「ぐわっ!?」
「クソッ……」
「全然ダメじゃん!」
「お前がちゃちゃ入れるからだ!!」
サックスノイズラーが二人に迫る。
「おりゃあああ!!」
二人の後ろから新たな戦士が現れサックスノイズラーにダメージを与える。
「よう、小僧共大丈夫か?」
「あっ!フェローチェさん!」
「また新しい戦士か?」
現れたのは新たな音楽の戦士フェローチェだった。
「ハハッ、俺からしてみればお前の方が新米だけどな」
とビートに言うフェローチェ。
「ああ、そっか……」
「まっ、話は後だ。まずはコイツを倒すぞ!」
そう言うとフェローチェは『ベースチェンジャー』を取り出す。
「響かせインパクト!」
フェローチェが『ベースチェンジャー』を演奏すると、その力強い音色がサックスノイズラーにダメージを与える。
「凄い……なんと言うか……魂に響く演奏だ……」
「フィニッシュだ!!」
フェローチェは『ベースチェンジャー』のヘッド部分を抜くと剣「ベースソード」が出現。
必殺技『ダイナミックスラッシュ』でサックスノイズラーを斬り裂く。
サックスノイズラーは倒され元のサックスに戻った。
「すっ……すげぇ!!」
ビートとボイスが駆け寄る。
「フェローチェさん、ありがとうございます。助かりました」
「おう、新入りとも会って見たかったしな。よし、本部に戻るぞ」
そう言うとフェローチェは変身を解除。
その正体は超人気のロック歌手、新庄大助だった。
「ええっ〜!?新庄大助さん!?」
「おっ!知ってくれてるのか!ありがたいねぇ」
「いやいや、新庄さんを知らない奴なんて居ませんよ……」
3人は奏での戦士団本部へ戻る。
本部に3人が戻ると……。
「パパー!!」
と駆け寄って来て大助に抱きつく男の子。
「おおー!海人!いい子にしてたか〜?」
そう言って海人を抱き上げる大助。
「えぇっ!?その子新庄さんのお子さん!?」
「ああ、息子の海人だ!」
「ちょっと待って下さい……新庄さんのお子さんって事はお母さんは……」
と茂が言うと……。
「ああ、女優の磯崎桃香(いそざき ももか)さんだ」
彰は答える。
「やっぱり〜!!」
大助の妻で海人の母、それは人気女優の磯崎桃香だった。
磯崎桃香は現在、ドラマ「恋の魔法に掛かりまして」にて佐野裕二の上司役で出演もしている奏での戦士団にも馴染みのある人物でもあった。
3人がそんな話をしているとミューズがやって来た。
「3人共お疲れ様でした」
「あっ、ミューズさん!」
「もうそろそろブリッランテとフォルテも戻って来ると思いますのでしばらくくつろいでいて下さい。皆さんが揃ってからお話があります」
「話?一体何を?」
「それは後のお楽しみです」
その頃、ノイズの本拠地では……。
「クソッ!またしてもやられたか……」
ドレイクがイラついていた。
「まぁ、落ち着けドレイク」
ゼレーバが話し掛ける。
「これが落ち着いていられるか!!音楽の戦士め……俺様の邪魔ばかりしやがって……」
「フフッ……力ばかりだからそうなるんですよ……」
「ああ?テメェこそ全然戦いに出ねぇで何偉そうな事言ってやがる!!」
「戦いは力だけじゃ無いと言う事ですよ……まぁ、見てて下さい。丁度試してみたい事があるので……たまには私も出掛けるとしますよ」
そう言ってゼレーバは出て行った。
「ケッ、スカしやがって……気に入らねぇ……」
奏での戦士団本部で茂達が待っていると、裕二、琴音が順番にやって来た。
「ごめん、遅くなっちゃって〜……」
「琴音さん、何ですかその荷物……」
琴音は大きなキャスターを持ってやって来た。
「ああ〜今日地方で公演があってさ……時間無かったから羽田から直行して来たのよ」
「今日、地方公演って……まさか日帰りで飛行機移動を?」
「うん。それでこの後もテレビ局で音楽番組の収録があるからあんまり時間無いんだ〜」
「ひや〜……琴音さん忙し過ぎますね……」
「売れない俺達とは住む世界が違うな……」
そこへ再びミューズがやって来る。
「皆さん揃いましたね」
「あっ、ミューズ……話ってなんなの?」
琴音が尋ねる。
「琴音さん、まず荷物置いたらどうですか?」
彰が呟く。
「琴音さんも時間が無い様なので手短に話しますね。今ここに5人の音楽の戦士が集まりました。戦士が5人集まる事で初めて発動出来る必殺技の事を皆さんに話しておこうと思いまして」
「5人揃って初めて使える必殺技?」
「ええ、その名はクインテットストライクです」
「クインテットストライク?」
「ええ、この技は5人の心と演奏を1つにしなくては発動出来ませんが成功すれば強大な力でノイズラーに対抗出来ます」
「すっげぇ!!」
「実際使う機会には早々来て欲しく無いですが、戦いの中でいずれは必要になります。その時の為に皆さんは心と演奏を1つに出来る様にしていて下さい」
クインテットストライク……それはそれ程強力な必殺技の様だ。
「そんな必殺技があるなら早く出来る様にしましょう!試してみましょうよ!」
茂が提案する。
「ごめん、私そろそろ行かないと……また今度ね!」
そう言って琴音は出て行ってしまった。
「忙しい人だな……」
だが、クインテットストライクが完成すれば大きな戦力になる事は間違いない。
残った4人は早速、演奏と心を1つにする特訓を始める。
その頃、街に現れたゼレーバは……。
「さてと……何か丁度いい楽器は無いですかね?」
ノイズラーにする楽器を探している様だ……。
続く……。
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