6話 罪悪感と希望の光
親戚への挨拶回りが終わり、マンションに帰ってくると、俺は自分の部屋に戻ってきて真っ先に自分の股間を殴った。
「なに、考えてんだ、俺……っ!」
優梨に跨られた際、不覚にも優梨で俺は……興奮してしまった。
妹の身体で興奮するなんて……最低の兄じゃないか。
興奮して下半身が反応したのも、俺が動揺している様子も、全て優梨に見られてしまった。
振袖がはだけてガッツリ見えてしまった優梨の白い肌。
成長したあの大きな胸と魅惑の谷間が目に焼き付いて離れない。
俺は……どうしてあの時興奮してしまった……?
どうして優梨のことを女として意識してしまったんだ。
どれだけ悔やんでも起きた事はどうしようない。
苦い記憶は山ほどあるし、それを後悔して良かった記憶はない。特に元カノの件とか。
俺はもう3次元の女子に興奮しない身体になったと思い込んでいたが、優梨の身体を感じた時、思わず生唾を飲んでいた。
妹が相手なのに……。
そもそも優梨が、興奮した俺を嫌うのではなく、なぜか受け入れたのも謎すぎる。
あの純粋無垢だった優梨は、まるでその状況を楽しんでいるように「俺が妹で興奮したという事実を」そのまま受け入れたのだ。
優梨はあんなに「妹で興奮したらダメ」と言ってきたのに……なんでこんなことに。
もう、頭がぐちゃぐちゃでどうにかなりそうだった。
俺の考えていることが、何もかもが間違って思えて。
「妹で興奮するような兄は、兄として失格だろ……」
俺はダメな兄貴だよ。ほんと。
いつもエロ耳舐めASMRで癒されてたり、今手元にあるこのお年玉だって、このあと全額Vチューバーに課金しようとしてるダメ人間だ。
昔のように、スポーツも勉強もできた頃の自分はいない。
きっと優梨や海里も、心の中では俺のことダメ兄貴だって思ってるに違いない。
だから優梨は……あの時、あんなことしてきたのかもしれないし。
「もうダメだ……俺」
戒めに思いっきり股間を殴った痛みに悶えながら、俺はベッドの上で枕を濡らす。
そんな時——だった。
「ん?」
limeに一件の通知が入る。
「か……柑奈、さん、だ」
俺は少し緊張しながらスマホを手に取った。
『柑奈:お兄さん! 明けましておめでとうございますっ』
そういえば、柑奈さんに正月の挨拶とかしてなかったな。
俺は『明けましておめでとう』と無難な返事を送って、続くlimeを考える。
いや、今はそんな気分になれないな。
俺はスマホを枕の隣に置いて、ベッドに仰向けになる。
今回のことを相談しようかと一瞬迷った自分がいた。
でも柑奈さんは、俺の中で2次元のような存在。
話したことも、会ったこともないわけだし、そんな俺の悩みを彼女に打ち明けた所で何も変わるわけがない。
「迷惑なだけ、だもんな」
そうに決まってる。
するとまた、スマホがバイブして通知を知らせた。
『柑奈:海里と相談したんですけど、良かったら、一緒にお出かけしませんか?』
え………ええっ?
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