3話 攻める責める舐める
「ゆ……優梨! やっぱりダメだ! こんなの!」
俺は自分の上に跨る優梨を退けて、着崩れしていた振袖をしっかり着させる。
ダラっと開いた胸元も閉めさせて、帯を巻こうとすると、優梨が俺の手をグッと掴んだ。
「なんで? お兄ちゃんはわたしの身体で興奮してるんだし、わたしもお兄ちゃんとなら全然構わな——」
「そんなのダメに決まってるっ!」
「……っ」
あえて語気を強めて言うと、優梨はすぐに顔を曇らせた。
「わたしのおっぱい気持ちよくなかった? もしかしてお兄ちゃんはわたしのこと嫌いなの?」
「違う」
「けどさ、嫌いだから拒絶するんだよね?」
「違う!」
「じゃあなんでっ!」
「好きだからこそだろ!」
「え……?」
俺は優梨の冷え切った肩を両手でガシッと掴んだ。
「お前のことも、もちろん海里のことも、好きだからこそ兄として大切に思うんだ! だから!」
「……海里も……か」
「は?」
「ふふっ……」
「な、何で笑うんだよ!」
「お兄ちゃん、それは違うよ」
優梨はその鋭い眼差しで、俺の目を焼き切るように見てくる。
その目に光はなく、俺の全てを見透かしているような視線だった。
こんなの、いつもの優梨じゃ……ない。
「あのさ、妹であるわたしの身体で興奮してる時点で兄としての説得力がないことくらい自分でもよく分かってるでしょ?」
優梨はいつもの甘えた声ではなく、冷たく淡々と呟いた。
確かにその通りかもしれない。
俺は妹の優梨で……興奮して……。
「小樽悠人は妹である小樽優梨の身体で興奮した。それはさっきの下半身が全てを物語ってるよね?」
「そ、それについては、悪かったと思って」
「ううん。全然悪いことじゃないよ? でもね、お兄ちゃん……」
優梨は手際良く振袖の帯を巻き、浴衣の着崩れも全て正すと、俺の鼻先に人差し指を向けた。
「もしお兄ちゃんが、海里でも興奮したらわたしたち妹で興奮していたこと、お父さんやお母さん、あと海里本人にも言っちゃうから」
「な、なっ!」
「でもね、わたしの身体でならいくらでも興奮してもいいんだよ? だってわたしはお兄ちゃんの1番の理解者なんだし」
男を惑わせるような声で言われた優梨の言葉が、身体中にゾクっと響く。
「お兄ちゃんが興奮していい妹は、わたしだけ。分かった?」
「なんだよそれ……俺はもう、妹で興奮なんかしない——っ⁈」
優梨は俺の耳元に自分の口を近づけると、舌を出して俺の耳穴をペロペロと舐め始める。
まるで水中の入った時のようなゴロゴロという違和感のある音が耳の中を支配した。
くすぐったいのに舌のザラっとした感触がどこか気持ちいい。
こんなの……初めて……だっ。
「っぱぁ……お兄ちゃん、また下半身が反応してるよ?」
「っ⁈」
否定できないほどに、俺の下半身は反応してしまっていた。
俺はすぐに手を当てて無理矢理抑える。
まさか生の耳舐めがこんなにも凄いものだと知らず、俺は興奮を隠しきれなかったのだ。
ASMRなんか比べものにならないくらい、生の耳舐めが気持ち良すぎて……。
「もうお兄ちゃんは手遅れなんだよ? お兄ちゃんは"妹"で興奮しちゃう、危険な病気になったの」
「病……気、だと?」
「でもわたしなら、その病気を受け入れてあげられる。だからお兄ちゃんは妹のわたしを"性の捌け口"にして?」
「……っ!」
「お兄ちゃんがシたいこと、わたしなら何でもしてあげるから」
「なんでそこまで」
「そんなの……わたしはお兄ちゃんの妹だから」
ゾクッという悪寒と同時に、頭の中のドーパミンがドバドバと分泌されていく。
脳が……壊れそうだ。
ダメだ、こんなのおかしい。
妹を好きになるなんて……ありえないだろ。
「もう寒いし、みんなの所へ戻ろっか?」
いつの間にか一人で着付けを済ませていた優梨に手を引かれ、俺は社務所の裏から移動した。
頭がぼーっとしていて、何も考えられない。
優梨なら……たとえ妹だとしても"何でもしてもらえる"なんて。
「性の……捌け口……」
優梨が何を考えているのか分からない。
でも優梨の口からあんなことを言わせたのは、俺の下半身が優梨の身体に反応してしまったのが発端だ。
俺はあいつの兄、なのに……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます