わたし、オトナ宣言!

朝田さやか

今日、大人になりました。

 五、四、三、二、一。


 それはきっと、人生で一番幸せなカウントダウンでした。


「おめでとう」


 二〇二三年四月三十日。私は二十歳になりました。今日、大人になりました。


 誕生日設定をしてないのにLINEを送ってくれる人がいて、Twitterでリプライを返してくれる人がいて、直接声をかけてくれる人がいて、誕生日を祝ってもらえる嬉しさをいつもより噛み締めた瞬間でした。


 二十歳になる瞬間ってどんなものだろう、と昔からぼんやりと考えていました。実際はたくさんの大切な人が私の誕生日を祝ってくれる、素敵な瞬間でした。


 泣きました。親友からのメッセージでも、わざわざ電話をかけてきてくれた人の優しさでも。


 たくさんのおめでとうが嬉しくて、二十歳になっちゃったって感じた瞬間でした。


 十代が終わってしまいましたが、あまり寂しさや心残りはありません。だって、やり残したことがないんですもん。どんな十代だっただろう、と思い返してみると本当に濃密過ぎて、また涙が溢れてしまいました。


 この先の人生でたとえどんなことがあったとしても、この十年を超える濃度の経験には出会えないような気がしています。


 十歳でちょうどバレーボールを始めました。そこから小学校中学校はバレーに費やして、たくさん、本当にたくさんのことを学びました。


 喜怒哀楽の全てを体験して、全力でぶつかって、苦しんで、楽しんで、成長しました。かけがえのない宝物を手に入れました。


 あの日、「バレー部に入りたい」と両親に言った日の私に感謝したいと思います。


 ありがとう。


 そして高校生になって、文芸部に入って、そこでの経験がまた私を変えてくれました。色々なことに手を出して、好きを追うことの充実感を知って、実際に受賞して、叶えたい夢ができました。


 散々迷ってもがいて、その上でも好きなことに全力を出して頑張ってくれた私に感謝したいと思います。


 ありがとう。


 そして大学生になってからは、また新たにやりたいことを見つけました。忙しくて、だけど何よりも達成感のある、思い出を作る仕事です。今はキャパってて、至らない部分ばかりが見えて、凹んでいるけれど、きっとこの経験が私をさらに成長させてくれるのでしょう。


 この大切な居場所に巡り会うための、チャレンジ精神旺盛で、責任感の強い自分が選んで来てくれた選択に感謝したいです。


 ありがとう。


 そして今までの二十年の人生で、多くの人に出会いました。私が今日こうして二十歳という節目を迎えられたのは、私を支えてくれた人たちのおかげです。さらに、私が今日こうして自分が誇らしく、自分のことを好きでいられるのは、私に影響を与えてくれたたくさんの出会いがあるからです。


 家族、友達、先生、推し、先輩、後輩、ライバル、他にももっと、今までの出会いに感謝したいと思います。


 ありがとう。


 二十歳になりました。昨日と今日、この境界線を越えたからといって、きっと何かが劇的に変わることはないのでしょう。法律的にできることがほんの少し、増えたくらいです。


 だけど私は今日、大人になります。宣言します。今までの私と周りの人々が創り上げた私をもっとより良いものにして、未来を紡いでいけるように、私は今日、大人になります。


 具体的に何をするの、って言われるとちょっと困ります。だってただ宣言したいだけなんですから。


 やりたいことをやりたいようにやる、私らしくないですか? 今までと同じ考え方の先に何かがあると信じて、突き進んでいこうと思います。


 たくさんのありがとうを忘れずに携えて、このまま、「好きなことを好きだと言える自分」でいられるように。

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