資金を増やしましてよ!

「治安は安定しました。ですが変わらず赤字です」



シャルから耳が痛い言葉が。

仕方ありません。

収入より支出の方が大きく上回ってしまってますし。

ですが、食料にも多少余裕が出始めています。

それに伴って、治安も安定してきている。

そうなれば、やる事は一つ。



「マドレーヌ、何か外に出せるものはありまして?」

「そうだな、前はチーズだったけど今はトウモロコシ辺りか。チーズは特に王宮に献上する程だったんだ。それがどうかしたか?」

「輸出しましょう。それを主にして徐々に資金を増やしましてよ」



経済とは最初、物々交換から始まったらしいとされています。

今はお金と物との交換ですけど、これを駆使すればたちまち儲かりますわ。

特にチーズやワインと言ったものは需要が見込めそうです。



「では、チーズは安定かつ沢山作らせましょう。良いものが出来ましてよ!」

「チーズか。久々に食べられるなんて、パンがあったら塗って食べたくなるな」

「ところで牛は沢山居まして?」

「それが飢饉があったから、殆どがバラして食べちまったと。精々自分家で使うくらいしかない。どこからか買わないとダメだな」



うむ。困りました。

まるでこれではチーズが食べられなくなってしまう。

それにブランドが付いているなら、余計惜しいものです。



「でしたら、『借用書』を作りましょう。借金なんて後で返せば良くってよ」



借用書さえ有れば信用と信頼さえあれば、いくらでもお金が湧いてきます。

つまり、明日の自分に任せて今日を生きるという事。

そうなれば、いつでもという訳ではないですが少し先が救われましてよ?



「悪いが、それを作っても取引してくれる所が無くてよ。だから悩んでいるんだ」

「そこはお任せを。私は海外から牛を輸入してきますわー!」



今こそ令嬢たる私の力を見せる時!

無理を通すのは慣れています。

早速シャルに頼んで紙とペンを持ってきてもらう。

そこから何十枚と手紙を書き、それを郵便を通さずに送る。

後は結果を待つだけ。

ふふ。楽しみですわね。



そこから数日が経ちました。

領内の治世を行い、農地を改良。

そして穀物は食用と飼料と分けておきます。

作るものが作るものですので倒れられては困りますわ。



「アンネー。お前宛ての手紙沢山来てるけどもしかして」



早速中身を開けて読む。

子牛をくれる方や作物と交換してくださる方。中にはそのノウハウを知るために見させてくれと言う方。

これはかつて貴族であった頃のツテ。

それをフルに使わせて頂きました。

褒め称えても構いませんわ。

このまま返信してしまいましょう。

私はペンを進める。




「シャル。後は頼みました」

「はいお嬢様」



ふう。これで後は終了。

子牛や牛が来ればチーズが作れます。

幸い、少しくらい牛は残っているようでして。

そうならば、酪農家の方に任せましょう。

で、あれば。

次は産業と行きましょうか。



──ナロウ歴1785年 3月19日

オルレアン領にてチーズの生産が開始される。

後にチーズ3大産地と呼ばれるようになる。

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