胸部



3階建て校舎の一番上の一番端っこ、ひっそりとたたずむ我が胸部。


もともとは倉庫だったらしいが、部室として改造し、


今はそれなりに快適な環境になっている。


部室のドアを空け、俺は大きな声で挨拶をする。



「ちゅーっす!!」



「何、その体育会系の挨拶!?」



これは部活における基本なのだが、何をそんなに驚いているのだろうか?



「やあ、よく来たね玉城君。おや…今日は見掛けないレディもいるようだが…?」



「はっ!会長、本日はこの2名も部活に参加させて頂こうと考えているのですが、

 

 如何でしょうか!」



「ほう…それは素晴らしい提案だ。もし良ければ部員として迎えたいぐらいだが…

 

 とりあえず今日は雰囲気を知って楽しんでいってくれたまえ。」



「ありがとうございます!ほら、2人ともお礼を!」



訳も分からず、お辞儀をするみ~たんと、会長を悩まし気な目で見つめるレイカ。



「うーん、この人どっかで見たことあるような……」



「会長は我が部の部長と生徒会長を兼任されている。敬愛すべき素晴らしい人物だ。

 

 敬意を払って接するのだぞ。」



ポンっと手を叩くレイカ。



「そうだ!生徒会長!


 壮行会の時とかによく、校長みたいな小難しい長話する生徒会長!」



「こら!会長に対して失礼だぞ!」



「ははは…身目麗しいレディには少し退屈な話だったかな?次からは善処しよう。」



「私が連れてきた者が大変失礼なことを…申し訳ありません。」



俺は会長に深く頭を下げる。



「良い良い…彼女が言ってくれているのは事実だ。私も反省しなければなるまい。

 

 それよりも、彼女たちを連れてきたのには何か理由があるのか?」



「はっ!今日の議題について私から提案をさせて頂きたく、

 

 また、それを彼女たちに協力してもらおうと思っている次第であります!」



「よかろう……ではさっそく聞かせてもらえるだろうか?」



「では!本じ―



俺が議題を話始めようとした瞬間、話に割って入ってくるものが1人、いや2人か…



「ちょっとー、あたしたちは完全にムシー?酷くなーい?」



「活動の話なんだろ、だったら私たちにもピ――――してくれ。」



来たか…魔獣どもめ。



「え、なにこのゴリ…」



レイカが禁句を言おうとしたことを瞬時に理解し、おれは彼女の口をふさぐ。



「ちょっほなにィふんほよ!」



「命拾いしたぞ、俺に感謝するんだな。」



「新人ちゃん、始めまして!あたしはゴリラ田ゴリエ!略してリラって読んでね♡」



「どう訳したらそうなるのよ…せめてリエでしょ?」



「リラさんは心は恋する乙女の……とてもたくましい…女性だ…」



「ちょっとたくましいなんてそんな…こんな華奢で可愛らしい私に向かってもー!

 

 冗談も大概にせえよ!!」

 


ごりっっっ!!



俺は気づかぬ内に意識を失う。


彼女の華奢な…腕から放たれた左フックが俺の顎にクリティカルヒットした。



「………っと、ちょっと大丈夫!?」



「うっ……ああ。」



脳を揺らされ意識を失っていたようだ。


俺は世界がグラグラになりながらも、彼女たちに小声で説明をする。


「彼女は西田勝久(♂)…元ボクシングヘビー級の王者で


 防衛の新記録を作った歴代最強チャンピオンだ。」



「あ、玉ちゃんごめんね♡つい、カッとなっちゃって、テヘペロ」



と、この世の生物とは思えない気持ち悪さで投げキッスをくれた。


頼むから○キの方に移って頂いて史上最強の親子喧嘩に加わってほしい。


そしてそのまま帰ってくるな。



み~たんは俺が意識を失うことに慣れたのか、別のことが気になっている様子。


…随分順応が早いね。



「リラさんよろしくね、で…こっちの人ってもしかして。」



「申し遅れた。校長だ、よろしく頼むよ、麗しいピ―――――さん。」



「この一文の内に必ずピ―――発言をしないと気が済まない人は校長で、


 そしてリラさんの彼氏だ。」



「彼氏ィィィ!?」



「ねー、チョーちゃんあたしたちラブラブだもんねー♡」



「ははは…これは恥ずかしい…こんな美しいピ――――――――に知られてしまうとは。」



「………ツッコミどころが多すぎてツッコミきれんわ…」



レイカは口をあんぐりしている。



「彼は校長のチョーさん。多分校長の長からだ。胸部の副部長だ。」



「校長が副部長?ははは…何か凄い部活だね。」



み~たんは引きつり笑いをしている。きゃわいい



「なんか色々ツッコまないといけないんだろうけど、とりあえず質問。」



レイカは完全にげんなりしている。



「なんだ?」



「ヤン・デレ子は?」



「彼女は今日既に会っただろう?一しきり満足したらもう帰ってしまうのだ。」



「…そう。あんたにしてこの部活ありね。」



会長がコホンと咳払いをする。



「部員の説明も終ったところで、では議題の提案に移ろうではないか。」


 皆、円卓に座ってくれ。」



「はっ!」



皆が円卓に均一の間隔を空けて座る。



「うむ、では聞かせてくれ。」



「はっ!今日の議題、それはつまりおっぱいの触り心地についてです!」



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