み~たん



「うっ、いててて…」



体中が痛い………



「あ!起きた!先生起きましたー!」



ここは…学校の保健室か?



「デレ子は…いないな。」



ホッと胸を撫でおろす。


ひとしきり満足すると知らないうちにどこかに消えてしまう、


身勝手この上ない奴だ。



「先生こっちです!」



白いカーテンの仕切りがシャッと開くと、翼の生えた天使が舞い降りた。


それはまるで神が奏でた奇跡の旋律、


太陽と月が恋に落ちる熱くて切ないラブロマンス、 


そしてそのすべてを包み込むような神々しい光、


奇跡のような、しかし現実にキラキラとしたオーラをまとい、


確かにそこに彼女は立っていた。


!!!マイスウィートハニイイィィィ!!!


俺は刹那に彼女をギュッと抱き寄せ涙を流した。



「ちょ、ちょっと!どうしたの?もう…しょうがないなあ。」



「会いたかった…会いたかったよおおおお、み~たん!


 うおおおぉぉん、うおおおおおおぉぉん、うぉぉおおおおおおおお!」



「心配無さそうだな、じゃ、私はタバコ吸ってくるから、末永くお幸せに。」



「ちょ、ちょっと先生ー!?…もう、また虐めらたの?」



「ちょうなの。またデレ子が虐めてきて、玉ちゃん(俺)、高いところが苦手なに…

 

 無理やりジェットこーちゅたーに乗せられて、とっても怖かったでちゅ!」



バブバブ!僕ちんは必死になってバブバブした。



「そっかー、大変だったねー。でも最後まで頑張ったんだねー、偉い子、偉い子。」



み~たんは僕ちんの頭を優しく撫でてくれる。



「バブ――――――――――!」 



僕ちんは全力でバブリシャス!今日も、明日もバブリシャス!!



「でもねー、玉ちゃん、僕は男の子なんだよー?

 

 こういうことはお母さんにやってもらわないと。」



「ちってる。男の娘なんでちょ?み~たんは僕の心のママだからイイの!」



「なに、その心の友みたいなの?」



「ママー、ママー、おっぱいちょーだい、僕お腹が空いちゃった。」



「おっぱいなんか出ないよ!男の子なんだから…」



ぼくちんはなりふり構わずに懇願する。



「出なくてもイイの、吸わちぇてー、ねえ、吸わちぇて―!」



「ちょっ、ちょっと……」



僕ちんがみ~たんの胸をま探ろうとした瞬間、


受け心地のあるドロップキックが顔面に直撃し、俺の身体が保健室の壁を突き破る。


シュウウゥゥと顔から煙が発生し、顔面の半分が陥没した。



「ミナト、大丈夫?」



「う、うん…僕は大丈夫だけど、玉城君が…」



「いいのよこんなやつ、30秒もすれば元に戻ってるから。」



俺はピョンと飛び起きる。



「甘いな!3秒だ!!」



顔面は陥没したままだが問題ない。


レイカは呆れた顔で、



「元気そうで良かったわ…ホントに。」



と、ゴキブリでも見るかのような目で俺を睨む。



「ははは…いやー、ホント…デスヨネー……」



「朝のこと、もう忘れたの?」



「…………。」



怖い、たちゅけてみ~たん!



「ぼ、僕は大丈夫だよ!別に何をされた訳でもないし…」



み~たん…君にゾッコン恋してる、永遠の愛を君に… By玉ちゃん



「ミナトは甘いのよ、今のこいつは飢えた獣よ?


 女と見たら見境無いんだから、気を付けないと…


 自分の貞操は自分で守る!今の女の子は強くないとね!」



「僕男の子なんだけど…」



「俺もみ~たんが心配だ…是非気を付けてくれ!」



「アンタが言うな。」



「………うん、気を付けます。」



み~たんは世界一可愛い苦笑いをすると諦めたように言った。



「うむ!!…そういえば、今は何時だ?気絶していたから時間の感覚が無い。」



「3時半だよ。もう今日の授業は全部終わっちゃったんだ。」



「なるほど…ということは部活の時間か…丁度いいレイカも一緒に着いてきてくれ。


 今日の議題が決まったのだ。お前にも是非参加してほしい。」



「まあ…今日は予定空いてるし、別にいいけど…。」



「そっか、じゃあ二人とも部活に行くんだね。玉城君はあんまり無理しないでね。」



み~たん愛してりゅ



「いや…み~たんにも是非参加してほしい、


 最近はジェンダー論も非常にセンシティブだからな、


 やれLGBTに配慮せよなどとつまらんことを言われる…


 お互いが愛し合っていれば、周りや障害など関係ないのだ。


 いや…決してみ~たんを異性として見ていない訳ではないぞ?


 世間一般のくだらない概念など、俺とみ~たんには当てはまらん。」



「あはは…僕テニス部に行かないと行けないんだけど…」



「30分でいい。少しでいいから時間をくれ。」



「…まあ、30分なら…」



「よし、では行くぞ!胸部へ!」



「いつ聞いてもストレートな名前ね…」



レイカが呆れている。



「シンプルこそ至高だ。おっぱいのおっぱいによるおっぱいの為の部活、


 それが胸部だ!

 

 心配するな!乳の大きさは関係ない!おっぱいのことを真剣に考え研究する、

 

 その探求心と心意気が大事なのだ!」



おれはレイカに首を絞められながら、意気揚々と部室へ向かった。


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