第一章
彼女と出会ったのは。
サークルの飲み会先でバイトをしていて、偶然出会った。
愛想良く接客して、真面目に働く彼女を見て、少し気になった。ほんとに軽い気持ちで、つい、連絡先を聞いたのだ。
友人が僕に言った。
「お前あいつが気になるのか?やめとけよ。あいつは化け物なんだってよ。あいつに惚れた奴はみーんなおかしくなってる。」
僕はそんな噂知らなかった。
正直、彼女は絶世の美女。というわけでもない。歳は僕と同じ20歳らしいが、高校生に見えるくらい幼い顔立ち。それ以外は普通。
正直そんなふうには見えない。
裏の顔、か。
僕は、ますます気になった。
彼女と食事にいくことになったのだ。
ドキドキする僕を他所に、彼女は慣れてるように僕をエスコートしてくれた。
話も聞くのも話すのも上手でコロコロと表情が変わる彼女を見ていて飽きなかった。
夜になり、初めてのデート?だし、あまり遅くなると良くないと思った。
しかし、帰りたくなかった。
でも、まだ付き合ってもいないし、良くないとおもい帰ろうとした。
ただ、体が言うことを聞かないのだ。
近くに夜景が綺麗な場所があったので、つれていくことになった。
「わぁ!すごいきれい!!」
彼女はそこに着くなり、だっ!と車から降りて景色を見渡して、はしゃいでいた。
(別に特別綺麗な夜景ってわけでもないのにこんなに喜んで、まるで本当にこどものようだ)
そんな彼女が愛おしくてそっと頭を撫でた。
その瞬間、彼女が抱きついてきたのた。
抱きつかれた、その時、強烈だった。
僕の中の名前をつけられない激しい感情が。
ゾクッとして、快感で頭がやられるような感覚。これを求めていたかのような、ずっと欲しかったような、うまく説明できないが、何故か涙が出た。
「ちょうどね。悲しいことがあって落ち込んでたの。君に声かけられて、お出かけして、元気になった。君がいてくれなかったら大変なことになってたんだ。ありがとう」
そう、ぼそっと、耳元で囁いた。
ああ、なんだ。この感情は。
僕は彼女に虜になったのだ。
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