第三話『隠密の子』
「
家臣の
「ええ、まずまずです」
「あれから信長様は――」
「それはもう大層お喜びで。『鼻は
帰蝶は満更でもない表情で軽口を叩く。
「
咄嗟にも洒落た事を言う光秀に、帰蝶は懐疑的だ。
「そうでしょうか。結局その日もまた私は、つまらぬ事を
「……」
父
膨らみ続ける嫉妬と憎悪が執着へと変わり、信長の弟 信勝を
信勝と義龍が“信長の
守る為とは言え、生まれて数ヶ月の
「ふふ。弁が立つ光秀でも、何も申せませぬか……。信長も同じように押し黙っておりました」
「これは参ったな」と光秀が後頭部に手をやると、透かさず伝五が
「帰蝶様、
「宜しく頼みますよ、伝五。光秀も何から何まで世話になり、有り難く存じます」
帰蝶は畳に頭を付け、泣き顔を見せぬよう唇を噛んだ。
「帰蝶様、そのような――。浪人となった私達が今こうしていられるのも、越前で暮らす手筈を整えて下さった貴女様のお力添えがあったからこそ。お父上の
我々はただ、帰蝶様の御役に立ちたいのです」
そして彼は、世に知られる事の無い“隠秘の子”となったのである――。
“本能寺の変”には『黒幕』がいた――。
この作品は史実を基にしたフィクションであり、作者の妄想が多分に含まれます。何卒ご容赦頂けますと幸いです。
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