scene 21
大学生になりました。①
綾斗君の電話が掛かってきてから、数ヵ月が過ぎた。
勉強のかいあって、ワタシは無事に受験に合格し、高校を卒業、晴れて大学生となり新生活がスタートした。
大学進学に伴い、ワタシはひとり暮らしを始めた。普及し始めた携帯電話を親が持たせてくれて、いつでもどこでも電話が出来るようになった。
白斗君も綾斗君の話では、大検合格したらしい。
さすが白斗君だ。大学受験は一年遅くなるが、来年には、白斗君も大学生になるだろう。
この分なら、白斗君に会える日もそう遠くない未来なのではないかな?
学部は違うが、日向とは同じ大学になった。マンモス大学なので、ワタシも気付かないうちに日向と同じ大学になっていた。日向はやっぱり大学でも野球をやっている。高校では1回戦で負けたが、甲子園にも出場した。大学もスポーツ推薦で楽々と進学を決めたようだ。日向は、本気でプロ野球選手を目指しているみたいだ。
ワタシは日向と直接の接点は今では持っていないが、美術部の後輩の
黒森さやかは黒森先輩の妹だ。ワタシのひとつ後輩にあたる。美術部では、黒森先輩のように高圧的な感じではなく、なよなよして、しおらしい感じだった。後輩の中でも、黒森さやかとは特に仲が良く、さまざまなことを話し合える仲だった。
日向のことは高校1年生の頃から好きで、卒業式の日に告白したらしい。黒森は、日向とワタシが幼なじみであったことを知っており、日向と付き合う為にワタシも色々と策を練ったのだ。ただ、ワタシは日向と仲が今は良くないと言っておいたので、黒森も心配していた。
大学生になった現在でも、黒森とは頻繁に連絡を取っている。
日向に関しては未だに白斗君のことで許せない部分もあるが、時間が経ち、以前よりもとの関係に戻りたい気持ちも持つようになっていた。
黒森の話では、日向はプロのスカウトも頻繁に観に来るくらい、注目されているみたいだ。まあ、ワタシとしては、日向がプロ野球選手になろうとしていることは昔から知っているし応援もしている。しかし、ワタシは日向に話し掛けないし、日向も話し掛けてくることがなかったので、全く関係改善することがなかった。
黒森の話では、たまにワタシの話題を日向に振ることもあるのだそうだ。日向は「あいつも相変わらずだな」なんて笑って聞いてくれるそうだ。直接話すことは決してないが、こうして日向の情報は黒森を通じてちょくちょく入ってきていた。
親友の三玲は、別の大学に進学している。将来は、絵本作家を目指して勉強中だ。三玲に聞いたのだが、宝堂先輩も三玲の通っている大学にいるらしく、お近づきになりたいそうだ。宝堂先輩も格好いいし勉強も出来るから、もう彼女とか居そうな気もするが、それでも三玲は頑張ってみるんだそうだ。
三玲はいつも顔が良くて競争倍率の高い人ばかり好きになるから、なかなか彼氏が出来ない。
中学の頃は白斗君、高校1年の頃はサッカー部で人気ナンバー1のタナカ先輩、高校2年の頃はバスケット部のエースのニベ君、高校3年の頃はテニス部1年のホープのアンドウ君、いずれも失敗している。
応援するとだけ、三玲には言っておいた。
白斗君が居ない間に、
「別の彼氏を作らないの?」
そう訊かれたことがある。
そんな時は、
「白斗君と付き合ってみたらね、他の男子のことが目に入らなくなっちゃった。」
こう言う。
「またまた、大げさでしょ」
と言われる。
「大げさでもなんでもない。ワタシに対する白斗君の優しさはエベレストよりも高いし、ワタシの白斗君への想いはマリアナ海溝より深いよ」
ワタシは言う。そのぐらいの気持ちを持っている。白斗君と会えなくなって、その気持ちは大きくなるばかりだ。白斗君が告白してきて、ワタシは受け入れた。
その時から、ワタシの心にはいつも白斗君が居るんだ。
◇◇◇
ある日、金子先輩から1通のメッセージカードが届いた。内容を見ると、なんと金子先輩、結婚式を挙げるみたいだ。お相手は、ワタシもよく知ってるあの黒森先輩。
あの二人、高校でも仲が良かったからな。
大学も同じ大学に進学したようだ。
でも、大学在学中に結婚とは凄い。
なんと金子先輩、子供も出来ているみたいだ。
いいなあ。
かわいいんだろうなあ。
白斗君とワタシも、いずれは結婚して、子供も出来て、幸せに暮らすんだ。
そんな未来をワタシは想像しながら、金子先輩のメッセージカードを読んでいた。
そんな大学1年の冬。
ワタシは、一人の男子大学生に告白された。
名前は
よく講義で一緒になり、仲良くなった。
管君は凄く真面目な学生だった。時間きっちりに講義を受けて、提出課題は締め切り前には必ず出す。ノートも綺麗にまとめ、教授の話をしっかり聞く。
そんな管君の告白。
ワタシはもちろん断った。「彼氏がいるので」と言って。
管君は落胆していたみたいだけど、
「これからも友達としてよろしく!!」
と笑っていた。
ワタシもそれを受け入れた。
綾斗君からポケベルの連絡が入ったのは、それから数日後のことだった。ワタシはすぐに綾斗君に電話を掛けた。
「菜穂さん、こんばんは。突然の連絡、すみません」
「綾斗君、それより白斗君のことなんでしょ?」
「はい、菜穂さんの大学に受験すると決めたみたいです。菜穂さん、白斗が同じ大学で嫌じゃないですか?」
「全然、むしろ大歓迎だよ!! そっか、白斗君もうちの大学を受けるんだ」
「それで……白斗が今どうしても菜穂さんに話したいことがあるそうです。代わってよいですか?」
白斗君、電話に?
心臓がどくんどくんと高鳴り始めた。
「え……うん。お願いします」
「では、代わりますね。」
綾斗君の声が離れた。
3年ぶりの白斗君。
落ち着け、ワタシ。
「もしもし、菜穂?」
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