ホームルーム(後半)妹VSお兄ちゃんs'④

 まあ、そんなこんなで今は新居への運び出しの準備をしている最中だったのだが、その作業中の雑談で飛び出した寝耳に水の話。

 だって、前に聞いた時には、『とりあえず今の職場を一年間休職して臨時教員になった』とか何とかいってなかったっけ!?

 しかし、驚きの声を上げる私とは対照的に、溺愛兄s’はさも当然のような反応を示していた。


「誰が、そんなことを言った。確かに『一年間だけ前の仕事を休職する』とは言ったが、『教員をやるのは一年間のみ』とは言ってないぞ。もう既に、休職延長願いは出してあるしな」

「光、特別免許状の有効期限は10年間もあるんですよ。なので、心配しなくても大丈夫です」

「少なくとも中学部まで、内部進学すれば高等部まで光ちゃんとずーっと一緒だよ♡」


 ビシッと断言する夕お兄ちゃんに、“長さ”を強調してくる春お兄ちゃんと空お兄ちゃん。


 う、うそでしょ……?

 てっきり、お兄ちゃんたちの教員生活はこれで終わりだと思っていたのに、まだ続けるのっ!?


「あー、朝から晩まで光りんと肌身離さずの生活、最、高っ!」

「それ、日本語おかしくありません? 言いたいことはわかりますけど。あっ、光。向こうの家では『休日に光と一緒に輪番制で添い寝』システムを復活させたいんですけど、いいですか?」


 全身でガッツポーズをする明お兄ちゃんに、細かく言論チェックをする霧お兄ちゃん。

 いやいや、霧お兄ちゃんだっておかしいこと言ってますけど?

 確かに、小学校四年生頃までは順番にお兄ちゃんたちと添い寝をしていた時期もあったけど、今は流石に恥ずかしくて無理っ!

 ってか、何でそんなことを当たり前のようにサラリと言うのかなぁ〜〜〜〜!?


「ねーねー、光ちゃん。この春休みどこ遊びに行く? 何なら海外へ一緒に行こうよ!」

「豪華客船世界一周旅行なんてのは、どうだろうか」

「春休みだと日程が少なすぎませんか? 日本の学校も他の国のように、二ヶ月くらい休暇があっても良いと思うのですが」

「光とこれからもずーっと一緒にいられるなんて、オレたちは何て幸せ者なんだ!」


 薫お兄ちゃんと怜お兄ちゃんはすでに春休みの算段をしているし、紫お兄ちゃんは文句を言いながらも、引っ越し作業を中断して旅行雑誌をペラペラとめくっている。

 そして、葵お兄ちゃんは私をバックハグしながら今日何度目かわからない喜びを噛み締めていた。



 ……うそでしょ?

 春休み中も、二年生になっても、これから先も、ずっと、ずーーっと、お兄ちゃんたち、私にベッタリくっついてくる気!?

 冗談じゃないっ!

 私は、恋も、部活も、勉強も、『お兄ちゃんたちから離れて』キラキラした学校を送りたいの!


 うん。決めた。

 私の目指すべき道が、今、完全に照らされて見えた。

 自分の進路、将来のことについてあんなに悩んでモヤモヤしていたのに、今は頭がスッキリとクリアになっている。


 お兄ちゃんたちから離れてキラキラした学校を送れるように!


 今度こそ平穏な『普通の』学校生活を送れるように!


 高校は『寮付き女子校』を目指す!


 溺愛生活、断固反対っ!!


 絶対に!!








                 (第一章完)




 ______________________

 

 申し訳ありませんが、書き溜めストックがなくなってしまったので、ここまでで一旦更新ストップです(詳細は後ほど近況ノートにて)。


 第二章は、光ちゃんが中学校二年生に進級してからの物語を予定しています。

 毎度繰り広げられる、溺愛兄s’とのドタバタな学園生活をお楽しみにいただけると幸いです。


 稚拙な文章が多々あったかと思いますが、ここまで御愛読いただき、大変ありがとうございました!



                R5.11.18 たや


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る