アッシュとのデート:後半

「・・・・・」

「申し訳ありませんね・・・」


ダイナーの奥で休んでいるハルコ。

葡萄酒ワインのアルコールでダウンしてしまったのだ。


「いや、 まさか自分がここまで酒に弱いとは

全く想像にしていませんでした」

「そ、 そうですか・・・・・」

「えぇ、 全く」

「・・・・・」


ダウンしていると言っても悪いのは体調のみである。

恐らくここで襲い掛かったら無理を押してでも襲い掛かって来るだろう。

そういう確信が有った。


「よ、 予定は変更して暫く休みますか」

「そうですね、 本当に申し訳ない」



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ハルコとシオンのデート後の振り返り


「ここまで自分が酒に弱いとは知らなかったわ」

「13歳ですし、 飲める年齢でも無いですけどね」

「そうね」


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動物園で黒豹ブラックパンサー等色々見る予定はキャンセルして

ハルコの回復を待つアッシュ。


「・・・・・」


ハルコの寝顔を見ながら

アッシュは思ったよりも背が小さいなと思った。


「思ったよりも小さい方だな」

「13ですから」


シオンが答えた。


「13? 成人していると聞いたが」

「向こうの世界では12以上で成人だと」

「そうか・・・」


遠い目をするシオン。


「13の娘に世界を背負わせてしまったのか・・・我々は・・・」


こみ上げて来る物が有った。





それから夕方頃に目が覚めたハルコ。


「おはようございます」

「おはよう、 如何します? 今日はもう止めておきますか?」

「・・・・・いえ、 折角ですし続けましょう」

「そうですか・・・動物園は時間的に間に合わないので

白雪姫ヶ岳プリンセススノーホワイトに行きましょうか」

「えぇ、 よろしくお願いします」


白雪姫ヶ岳プリンセススノーホワイト

バイオレット伯爵領の山である。

白き岩肌は美しさすら感じさせる。


「美しい山ですね」

「登って見ます? 簡単な散策コースがありますよ」

「是非」


白雪姫ヶ岳プリンセススノーホワイトを登る一行。

婦人でも登れる緩やかな山だ、 問題無く登れる。


「良い眺めですね、 地平線からの夕焼けがとても美しい」

「そうですね、 後2時間位で星々の海スターオーシャンが見れますよ」

「夜空の事ですか? 星々の海スターオーシャンとは」

「えぇ」

「態々登ってまで見る必要有りますか?」

「実際に見て貰うと分かりますよ」

「・・・・・」


2時間後、 彼等の上空には星が瞬いていた。


「美しい風景ですね・・・」

「街中ではこうはいかない、 父も母を連れて来たと言います」

「素敵な父君ですね」

「えぇ、 自慢の父です・・・」

「・・・・・所で帰りはどうなりますか? 暗い山中の中を歩いて帰るのですか?」

「灯は持っていますよ」

「・・・・・」


画して逢瀬は終わった。


「本日は楽しかったです、 ありがとうございました」

「えぇ・・・ハルコ様、 今晩の宿は?」

「既に取って有ります、 では」


ハルコとシオンは去っていった。


「・・・・・酒に酔わせてしまったのは不味かった・・・かな」


アッシュは護衛のロータスに問う。


「確かに・・・まぁ、 またデートを重ねれば良いですよ」

「そうだな」


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ハルコとシオンのデート後の振り返り


「星空を見るのに山に登って2時間待つ

これはふざけているのか? と思った私は正常か?」

「素直に文句を言わなかった貴女にも責は有りますよ」

「男に恥をかかせたくはない、 あと暗がりに連れて来て

帰る時に灯があるからと言うのは如何なんだ?

アリなのか?」


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