アッシュとのデート:前半
デート当日
待ち合わせ場所は
「ッ!?」
アッシュは余裕をもって待ち合わせ30分前に来たのにもうハルコが居る。
バグバグ鳴り響く心臓の音を聞きながら、 アッシュはハルコの元に向かう。
「は、 はははははははははは、 はじめ、 はじめまし」
緊張で口が回らない。
「落ち着いて下さい」
「!!」
扇で口元を隠しながら喋るハルコの言葉で冷静さを取り戻すアッシュ。
「失礼しました、 初めまして、 ハルコ様
私はバイオレット伯爵の長男、 アッシュです」
「長浜家の永子です
本日は態々私如きにお時間を割いて頂きありがとうございます」
お辞儀をするハルコ。
「い、 いえいえ!! 此方こそお時間を割いて頂きありがとうございます!!」
アッシュも礼をする。
「あ、 御紹介が遅れました
本日の護衛をする我が家の騎士のロータスです」
「よろしくお願いします」
若い黒髪の騎士が礼をする。
「小間使いのシオンです」
「よ、 よろしくお願いします」
「ではアッシュ様、 逢瀬、 いや当世風に言うのならでぇとですか
殿方が女子を案内してくれるとの事ですが本日はどの様に回りますか?」
「あ、 あぁ!! 本日は昼前に
森の近くの隠れ家的なダイナーで
特産品の
動物園で
「動物園、 ですか」
「お気に召しませんか?」
「いえ、 此方には無い文化でしたので」
「そ、 そうですか、 楽しんでいただけると幸いですが」
「それでは行きましょうか」
「そ、 そうですね」
画してハルコとアッシュの
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ハルコとシオンのデート後の振り返り
「少し早く来過ぎましたね、 アッシュ様に恥をかかせたかしら?」
「大丈夫でしょう」
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白樺はホワイトアッシュではない、 この世界ではそう言う木と言うだけで
この二つとは関係の無い植物である。
「森、 と言うよりは林に見えますね」
「そ、 そうですか?」
「いえ、 悪い訳では無いですよ、 歩き易い」
ハルコがイメージしていた森は原生林その物だが
この
里山の様な物だと言える。
「・・・・・」
「・・・・・」
ハルコとアッシュは並んで歩いている。
特に会話は無い。
「・・・そ、 そう言えばハルコ様はご趣味は?」
「趣味・・・些末ながら手習いを少々」
「て、 手習い?」
「はい」
「・・・・・」
聞きなれない単語に困惑するアッシュ。
「も、 文字の練習の事です」
シオンが注釈を入れる。
「文字の練習、 ですか?」
「えぇ、 綺麗な文字を書きたいので」
「そ、 そうですか・・・」
「・・・・・アッシュ様の御趣味は?」
「乗馬を少々」
「・・・・・」
ハルコは黙ってしまった。
「・・・あ、 じょ、 乗馬と言うのは」
「存じております」
「そ、 そうですか・・・」
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ハルコとシオンのデート後の振り返り
「乗馬が趣味? 遊びで乗馬とはこれ如何に」
「貴族の御子息ですし・・・」
「武士の娘とは感性が違うのか? 武士だと必須の教養だが」
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「庶民も食べる様な店の様ですわね」
「知る人ぞ知る名店と言う奴ですよ」
「少ない人しか知らないのに名店? なのですか? それは?」
「う、 うーん・・・名店の条件は知りませんが
ここの
「それならば良いのですが・・・
「名産品ですよ、 品種改良した山羊でしてね
角を加工して武具にしたり、 肉は絶品です
焼くと肉汁がたっぷりでして」
「品種改良ですか、 私は気になる事があるのですが
この世界の家畜は何で脂が多いのですか?」
「ハルコ様の世界では違うのですか?」
「えぇ」
「なるほど・・・餌に気を使ったりしているのではないのですかね?」
「餌に気を使って脂を増やしているのですか?」
「そう、 だと思います、 詳しい事は知りませんが」
「・・・・・」
納得がいっていないハルコ。
「だとしても可笑しくないですか?
何であんなに脂を増やすのか意味が分からない」
「?」
首を傾げるアッシュ。
「脂が有る方が美味しいじゃないですか」
「私は脂が多過ぎてあまり好きじゃないですね」
「「!?」」
脂が多過ぎて不味いと言うのはアッシュ達には衝撃的な話だった。
「お待たせしましたー、
グレイビーソースお召し上がりください」
そうこう言っている間にステーキがやって来た。
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ハルコとシオンのデート後の振り返り
「畜産技術よりも武芸をもっと発展させるべきだと私は思う
脂が多過ぎる肉の上に味が濃いかけ汁は不味い、 とは言わないが
一切れで充分と言わざるを得ない
そもそもパンと言う物も好かない」
「こればかりは好みの問題ですね」
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