返事、来たれり
貴族達の集うサロン。
最近の貴族子息達の話題はもっぱらハルコの話題である。
「破天荒なイメージが有ったがいきなりの贈り物は受取れないと
懇切丁寧な返事が来たよ」
「ほう!! 私の所にも同じ文言で届きましたね!!
如何やら思った以上の淑女の様ですな!!」
ははは、 と笑い合う貴族の子息達の中で深刻な顔をする一人の男。
紫の長い髪を持つ彼はバイオレット伯爵の長男、 アッシュである。
「アッシュ!! 其方も同じく口か!?
そこまで深刻に落ち込まないでも良いじゃないか!!」
「そうそう!! 英雄様に振られたからと言って」
「・・・・・誘いの手紙だった」
「「「は?」」」
子息達は驚いた。
「んな!? んな馬鹿な!? 何を送ったんだ!?」
「手紙だけ、 何も送ってない・・・
てっきり皆にも誘いの手紙が来たかと思って
相談しようと思って来たんだが・・・」
「ちょ、 見せろ!!」
「これだ」
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前略、 お手紙有難く読ませて頂きました。
何を言っているのか分かりませんが
とても美しい文言と言う事は理解出来ました。
しかしながら私は異世界から来た身故に分からない物が
多く御座います。
何一つ私の世界には無かった代物です。
非常に興味が湧いて来ました。
そこで大変恐縮ですが
一度お会いしてそれ等を紹介して頂けないでしょうか?
厚かましくはしたない願いとは存じておりますが
何卒宜しくお願い致します。
敬具
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「おぉー、 スゲー・・・」
「誘いの手紙だな・・・」
感心する貴族の子息達。
「お前達ですら断られたのに俺はどう対応して良いのか
分からない・・・・・」
「うーん・・・要望通り案内するしか無いだろう」
「そんな適当な・・・」
「適当で良いんだよ、 気負い過ぎて空回りしても
しょうがないだろう、 相手は護国の英雄様
下手な事して怒らせた方が不味い」
「そ、 そうだな、 じゃあデートプランを
考えてこよう」
「その意気だよ」
アッシュは意気揚々とサロンから立ち去った。
「・・・・・一体どうなるかねぇ」
「アッシュは遊び慣れてないし、 多分無理だろ
だけど俺達にもワンチャン回って来たな
贈り物無しの手紙ならば読まれるかもしれない」
「そうだな、 俺もロマンチックなラブレターを書かなければならん」
「だな」
帰宅したアッシュは早速デートプランを練ってみた。
勿論、 家の重大事、 父親とも相談を重ねる事にした。
「
この5つを体験せねば満足いく結果にはならないだろう
少なくともハルコ様はそう思う事は間違いない」
「じゃあどの様なデートプランが良いかな?」
「まず昼前に
森の近くの隠れ家的なダイナーで
特産品の
動物園で
「おぉー、 それは素敵だ」
「
私が妻、 つまりお前の母親との逢瀬で使った所だ」
「ありがたく思います」
「では準備をするか、 予行練習等もせねばならない」
「予行練習ですか? デートに?」
「始めていく所では不慣れな事も有るだろう
行っておいて損は無い、 やっておけ」
「は、 はい、 分かりました」
緊張して来たアッシュ。
「気張り過ぎるなよ、 冷静に勤めよ」
「は、 はい!!」
画してアッシュは予行練習等を熟した後に再度ハルコに手紙を認めた。
そして二人の逢瀬の日が決まり、 逢瀬当日を迎えたのだった。
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