第3話

「ただいまー」


「え?!ふつうに帰ってくんの?!」

あの人魚が?


「そこは異世界からだろ」と、ツッコミながら。

我がクラスの真ん中あたりから滑りとも、水の感触とも似ている異世界波紋からわたしはぬぼーっ、とでてくる。


「え、でも」

「でもナニ」


「神、待ち構えてるよ?」

「はっ?!」


2階の窓の外、昨日(ちょっと異世界で時差入っている脳で計算する)見た時は美しい神様めいたヤツは鬼の形相だった。


これは予想していない。まさか。


「邪神かな?」


邪神?!!


クラスメイト達、驚愕。


「え、いやいや、普通に聖なるモノでしょ、アレは!」

「え、倫理の、授業とか入ってる?それとも、その、悪い事じゃないけど信仰宗教とかなんか事情込み込み?」

「人魚、おまえっ」


異世界でなにしてきたんだ!!!!!


クラスメイト分の叫び。


「ちょっと邪神滅ぼして子供救ってきた」

「いいじゃん!!!!!」

クラスメイト、ノリ良い。


じゃあ、あれは、


「ラスボスだな!」


クラスメイトの何人かが神めいたものに挑戦できないけど、敵視も怖くてできませんけど、覚悟だけはちょっとありますから!!!!!と向かい合う。


異世界転移神が、告げる。

「わらわが救いたかった」


え?

そっち?


神聖なる美しきものがぷくぅ、と頬を膨らませる。


おい人魚。

神お怒りだぞう?

てか、ちょっと涙でてるし、おまえ


クラスメイト、ちょっと沈んだ空気。


「何してきたの?」

親友が聞いてくる。

「子供を救えないで苦しんでいる親と、泣きたくても泣けない子供を助けてきた」


カッケエエエェェ!!!!!


クラスメイト、わきたつ。

異世界転移神、ゆっくりとこうべを垂れて、感謝もしっかり忘れずに宙へと帰る。


中学2年生、井手人魚。帰還する。


ちなみに帰りの門はエルフの子が簡単に開いた。更に行き先はウンディーネの子の力が決定打なので、どちらが欠けてもヤバかったじゃん、と人魚。

イデニンギョという響き、こちらの名前の相性とも合うから、永住しませんか?VIP待遇しますよ?と兄弟や村の人たちにうずうずわくわくされた人魚。

しかし。


「夢があるんだ。保育士」


なんです?その夢?


「こどもたちのために誕生日を祝ったり、折り紙で飾りを作ったり、お昼寝を助けたり、ご飯がちゃんと食べられてるかみたり、ときには食器を喉に詰まらせないかみたり」


おばあちゃん、おかあさん、じゃないですか。


「ちがう。近くても家族じゃない」人魚は、伝える。


「ただ」


「大勢を見守る究極のひとりが、ひとり、その場に増える。それがだいじだ」


「人魚さん!!」


そして帰ってきた。


本当は人材不足とか、事故とか、薄給とか。色々あるけどさ。


「なりたい自分になりたいだけだよ」


夕陽を浴び、下校時刻ぎりぎりまで居残って、親友のイラストが描き上がるのを待つ、また呟きの人魚。


「この、人を惑わす魅惑の人魚め」

珍しく親友がクラスメイトの半分を取り込む。

心外だけど、表情を変えない人魚。


「わたしはただ、夢を持てるほど幸せないまを享受してる」

「どうしたっ人魚」

親友、イラストは書き上がっているが、空中でペンを止める。


「だれもがみんな、実の両親のもとで暮らすわけじゃない。毎日温かいご飯、温かい風呂。そんなものより、わたしは『人魚』だった」

「そっか。まえいってたね、ごめん」

「だれがわたしの名前をつけたのか、今の親は教えてくれない。だから、人魚は幼稚園の先生になって子供達だけは幸せにする」

「あんた、それわすれちゃだめだよ。帰ろう」

「うん」


井手人魚が何を言いたいか。

それは誰かが考えずとも良いし、簡単に説明せよでも問題ない。


・問題文 井手人魚が「子供だけは幸せする」と言った心境を答えよ。


A解答 将来の夢が保育士であり、児童に幸せになってほしいから。


B解答 今現在幸福を感じておらず、また幼少期もそうであったかもしれないので、未来でうけもつ子供達や関わる子供を幸せにしたい。


C解答 実の両親またはどちらかを憎んでいるかも知れず、また、大人は自分の力で幸せを見つける努力ができるため、子供が気楽に過ごせる手助けがしたい。


・問題文 雷の鳴った後、校庭の桜の木に現れた存在をどう思うか、自由に述べよ。また、ウンディーネの弟はとある罪と罰を作品では語られていないがおかしている。そちらも自由に述べよ。




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罪と罰のウンディーネとエルフの兄弟 明鏡止水 @miuraharuma30

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