第30話 翌日

 悲しい思いはしたが、昨日の歓迎会は楽しかった。深夜まで、集落みんなでの、飲めや歌えのどんちゃん騒ぎ、最後には私のために特大の手作りケーキまでが出てきた。

 私は感激のあまり言葉もなく、泣きそうになった。悲しくもないのに泣くなんて、人生初と言っていいくらいの出来事だった。

 これほどまでに私という存在を、他人から歓迎されたことがあっただろうか。昨日、実際にあったばかりのことなのに、私はなんだか今だに信じられなかった。

「るんるん♪」

 昨日の高揚感がまだ私の中に温かく残っていた。

「きげんがいいにゃ」

 小丸がそんな私を見上げる。

「うん」

「にゃ」

 私は小丸を抱き上げキスをすると、そのまま踊るように、くるくると回り出した。

「にゃにゃ」

 誰かに愛されると、人は誰かを堪らなく愛したくなるものらしい。

「小丸」

「なんだにゃ?」

「私幸せよ。うふふふふふ」

「にゃにゃにゃ」

 私は、小丸が困惑するのもかまわず、そのまま部屋の中でくるくると踊り続けた。

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