第12話 夜桜沙耶華とエプロン

「まあ!お嬢様!調理実習ですか!?」

と美月さんが嬉しそうに話す。

冴島さんや月城くん、ついでに玲一郎と夕食を取る光景が増えた。


「そうなのよ…。だからエプロンが必要なの…」


と言うと美月さんが


「それなら私がお嬢様の為に愛を込めて縫って差し上げましょう!!」

と言うので


「そうね、美月さんが縫ってくれるなら間違いな……」


「「ちょっと待った!!」」

月城くんと玲一郎がハモった!!

あら!いい感じ!2人とも少し仲良くなった!?受け攻めが発展してくれると私も嬉しいわ!


「沙耶華!俺のクラスは先週調理実習終わったし俺のを使うといい!!」


「は!?何で玲一郎のを使わないといけないよ??頭おかしいんじゃない!?


男モノのエプロンなんてつけるわけないでしょ!!」

と言うと玲一郎は撃沈し黙った。

冴島さんが慰めていた。


月城くんは


「どうせなら買いに行こうよ!!その方が早いですし、萩原さんの手を煩わせるのも大変だと思うよ??


そうだ!友達だから一緒に選んであげるよ!!」

と月城くんが申し出た。


「そうね……。友達と買い物とか憧れだったの!私、中学まで友達いなかったし!


月城くん!付き合ってもらえる?」

すると月城くんは照れながらも


「も、もちろんだよ!友達だし!!」

と嬉しそうだ!!

美月さんと玲一郎はギリギリしている。


「俺も行く!!」

と玲一郎が嫉妬して?言う。

脳内でまた繰り広げられる……。


『昇と2人きりで買い物なんて許せるはずない!!』


『玲一郎くん…。僕も…実はエプロン持ってなくてき、君が選んでくれると嬉しい……』


『昇…。ああ!もちろん!俺の選んだエプロンで俺の為に飯…作ってくれるか?』


『当たり前だよ!一生!!作りたい!玲一郎くん!!』


『昇……!!』

抱きしめ合う2人にニヤつきそうになるが我慢した。



「仕方ないわねえ。玲一郎も一応ついてきていいわ。荷物持ちに」


「な、何ー!?」


「嫌なら来なくていいのよ!?」


「行くに決まってんだろ!!」

と吠える玲一郎。現実の玲一郎は可愛くないわ。


「あ、あのー、僕もご一緒しても?ほら、ウオンに行くなら大型商業施設だし、その中に本屋さんがあるから途中まで…」

と冴島さんが言おうとして美月さんが


『あらあ!!冴島さん!!ついてってあげてー!!近頃この近くも物騒だって回覧板も回ってきたのよー!!


冴島さん大きいし!この子達の引率ということでー!!お願いね!!」

と可愛く美月さんがウインクした。

冴島さんは何故か青くなり


「は、はい…。わ、わかりました……」

と応えて私達は次の実習の前の日の夕方に駅で冴島さんと待ち合わせしてから行くことにした。


放課後に玲一郎や月城くんと並び、冴島さんとの待ち合わせ場所に向かう。

何故か私が真ん中。きっと2人とも照れてるのね。


冴島さんは駅の構内にあるスタビに入ってコーヒーを飲んで待ってた。予備校が早く終わって机には勉強している後が。勤勉だわ!


『冴島さんて勉強熱心なのね?』

美月さんが料理を運び隣に座ると冴島さんは照れて


『そ、そんなことないです…。僕なんてまだまだ…で』

そこで美月さんは冴島さんの手に自分のを重ねて


『恋愛のレッスンは得意?』

美月さんが挑発し冴島さんは真っ赤になり慌てふためく。


『あっ!僕は…そ、そんな…こと…』


『うふふ、じゃあこっちはお姉さんが教えてあげるね』

と迫る美月さん。


ああああー尊いーーー!!


「おい沙耶華?どうした?」

と玲一郎が妄想の邪魔をした。


「何でもないわ…。行きましょう」

と4人でショッピングモールへと向かう。

なんか周囲がザワザワしてるけど気のせいかしら?


「夕方は人が多いわね」

ショッピングモールは買い物客で溢れる。


「とりあえず、エプロン買いましょう、こっちです」

と月城くんが案内する。よく来るのかしら?私はあまりこう言う場所に来たことなくて。


玲一郎もだろう。キョロキョロしてみっともないんだから!


冴島さんはにこやかに見守っていた。


するとエプロン専門店に着いて私達は中へ入る。専門店はショッピングモールの中にあることが多い。


玲一郎が何かを発見し走る。


「お、おい!これなんかどうだ!?」

とフリフリのフリルのついたヤツを選んできた。


「最悪。センスないわね!玲一郎!そんなのつけて調理実習しろと!?バカじゃないの!?」


「は!?はあ!?何でだよ!?女子って言ったらこういうのだろ!」


すると月城くんは


「でも…そんなのしてたら逆に浮くよ…。普通のでいいんじゃない!?」

と言う。うんうんと私はうなづき、


「それなら月城くんがいいと思うやつにするわ!私もあまり自信ないから」

と言うと月城くんの目が輝いた!!


「わ、わかったよ!僕に任せて!!」


「な!お、俺も普通のやつ探せばいいんだろうが!」

となんか対抗してくる。

いいぞ。


『昇に似合うエプロンは俺が選んでやるから!!』


『玲一郎くんたら、そ、そんなに僕の裸エプロン見たいの?』


『帰ったら存分に見せてくれ昇!』


「うっっ!?」

想像して立ちくらみが!!


「だ、大丈夫?夜桜さん!?」

と冴島さんが慌てて支えてくれたのを2人はギリギリと見ていて


結局2人から私はエプロンをもらった。

玲一郎は真ん中に猫のプリントのしてあるエプロンで月城くんは無難なチェック柄だった。


「ありがとう、月城くん!使わせてもらうわ」


「えへへー」

と照れる月城くん。


「俺のも使えよ!!」


「ありがとう玲一郎!これはちゃんとフリマアプリで売っておくわね!」

と言うと玲一郎の盛大な


「いや!何でだよおおお!!」

の声がショッピングモールに響き渡った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夜桜さんは腐女子なんだから仕方がない! 黒月白華 @shirofukuneko

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ