第4話 夜桜沙耶華と夕食の招待
お昼休みになるなり、ガラッと玲一郎がやってきた。
「沙耶華!!話があるんだが!!今朝のことでな!!」
と偉そうに言ってくる。
「玲一郎…。とりあえずお昼を食べさせて。行きましょう、月城くん」
「あ、は、はいい」
と月城くんと屋上へ向かうと舌打ちしながら玲一郎も後に続いた。
屋上でお弁当を広げながら
「月城くん、今日もどうぞ。玲一郎も欲しいなら恵んであげるわ」
と言うと玲一郎は
「沙耶華…。今朝の男と言い、俺に対してはなんか態度悪くないか?お前!」
と言うから私はハッキリと
「そりゃ別に私玲一郎のこと好きじゃないもの」
と言うと玲一郎はわなわなと青ざめて月城くんは何故かにっこりと可愛く笑った。
そうよね。月城くん!玲一郎は貴方のものだから安心してね!!
と心の中で応援した!
「でも今朝の男とは、なんですか?」
と月城くんが聞くので今までの経緯と今日の夕食会のことを話すと玲一郎が
「なっ!おま、知り合ってすぐの男を部屋に入れるとか何考えてんだよ!このバカ!!」
と言うと月城くんも心配そうに見た。
「大丈夫よ。私の世話係の美月さんもいるし」
と言うと
「いや、それでも女2人とか…」
と言うから
「え?美月さんは一応男よ。オネェ様というやつで、女装が趣味だけど」
と言うと
「ハア!!?おい、沙耶華!!?お前の世話係って…お、男だったのか!?
…なんてことだ!俺は男の作った弁当を摘んでたのか!!」
と青い顔をした。
「失礼ね。玲一郎。別に男の人が料理や家事しちゃいけないってことはないじゃない!」
と言うと、月城くんは
「あ、あの、ま、まさか家事って…洗濯とかもするんですか?その人が…つまり…夜桜さんの…し、した…下着を…」
「学校に行ってる間はそうね。でも美月さんは別に気にしないわ。女性の下着にも興味あるし。いつも女装してるくらいだもの」
と言うと玲一郎は怖い顔で
「お前何考えてるんだ!?そんなの嘘に決まってんだろ!!?沙耶華!君には警戒心というものがだな…」
と言う玲一郎に
「美月さんとはちょっとした秘密を共有できる信頼できる人よ?やましいことなんかないわよ!」
と玲一郎に言うとため息をつかれ
「俺もその夕食会に行く!!」
とか言い出した!!
「え?玲一郎なんかを招待するくらいなら月城くんを招待するけど?」
と言うと玲一郎は
「いや、何でだよ!!?婚約者は放置でこいつ優先かよ!!」
と突っ込んだ。ほんとこの男はうるさいわね。
「僕もいいんですか?お呼ばれしちゃって…」
「月城くんは、両親共働きで毎日大変でしょ?」
「まぁ…いつもコンビニ弁当か出前取るくらいですけどね…」
「栄養偏りすぎで心配だわ!是非夕食会に参加してね?余ったものも持ち帰っていいから!」
と心配して言うと月城くんは
「ありがとうございます!夜桜さん!」
と嬉しそうに笑った。可愛い笑顔ね!玲一郎もグッときたんじゃない?と玲一郎を見るとめちゃくちゃ睨んでた。
2人で夕飯食べたいのかしら?
私の妄想が始まる。
『昇…これ好きだろ?いっぱい食えよ。お前ただでさえ細い腕してんだから』
と玲一郎は月城くんの腕を掴み月城くんは
『あっ…そ、そんなジロジロみないでよ…』
『とにかくしっかり食えよ。…なんなら俺が直接食べさせてやってもいいんだぜ!?』
『えっ!?それってどういう……』
あーーーー!エモいエモい!!鼻血出そう!!
と私は1人妄想に耽ってボーっとしてると
玲一郎は
「とにかく俺も夕食会に参加するからな!!」
と言った。私の理想の『あーん』が見れたらいいわね。
「仕方ないわね。美月さんに連絡しておくわ」
と私はメールを打ち込んだ。
*
沙耶華お嬢様の下着を丁寧に洗濯して(もちろん洗濯前に匂いは嗅いだ)いたらメールが来た!
ああん!私にメールなんて♡
沙耶華お嬢様ったら!!好き!
というかこの女装もお嬢様を安心させる為なんだよな。
と私は素に戻る。
オネェ言葉はもう癖みたいになっちまったけど…。
メール文を見て私は驚いた!!
「なっ、何!?夕食会!?しかも男が3人来るって!?1人はあのクソ婚約者か。憎たらしい小僧が!会ったことはねえがチラッと見たことはある…。
他は知らねえな…。流石お嬢様…。学校ではさぞオモテになるらしい…」
でも私のお嬢様はあげねぇから!
この姿でならお嬢様の警戒心はゼロ!!合鍵まで持つ私が一番お嬢様に近い存在!!
「クソ男共にわからせてやる!!」
と私はエコバッグを持って、スーパーへと出かけた。
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