機械じかけの鳥
青い空を白い鳥が少しだけぎこちなく羽根を動かして飛んでいく。機械と知らなければ本物の鳥と見間違えるほどの精巧に作られた鳥。
「なんて綺麗な鳥なんでしょう」
透き通るような白い肌をした私はその腕を鳥に手を伸ばしてみる。届かないと知りながらも。
「気に入ってくれて良かった。セレナに贈りたかったんだ」
そうあどけなく笑うガルディン様。彼は幼い頃から魔道具を作るのは得意だった。彼の国は魔道具の開発、製造に関しては世界一と言って良い。
「なんだこんな玩具と父王には笑われたけどね」
「そんなことありませんわ。本物のような繊細な鳥の動きを見事に再現されてて、すごいですわ」
私が笑顔でそう言うとガルディン様は少し眩しそうにみつめた。
「皆が人を殺めるための武器を作ることに必死になっている中で、ガルディン様がこうして皆が笑顔になれるものを作るということが私にはとても嬉しいですし、誇らしく思います」
「セレナ………ありがとう。早く戦争が終わって、楽しい物を作る時代になって欲しいって思うよ」
照れたように顔を赤くさせる素直で優しい少年。
その数ヶ月後だった。彼の父が戦で命を落とし、ガルディン様は幼いながらも王座につかねばならなくなったのは。
王座についてからの彼はだんだん顔を曇らせることが多くなった。素直に感情を見せることは減った。
体の弱い私は寝込むことが多くて……何が起こっているのか把握することも彼が何で苦しんでいるのかも知ることができなかった。
青い空に機械じかけの鳥を飛ばす。何もできない私は彼の作ってくれた鳥を飛ばす。
魔道具は魔石の力がある限り動く。私の命も心臓も、もっと力に満ち、この体が自由に動けたら良かったのに。
この夢を見る時、私は目が覚めると必ず涙が流れている。
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