アオサ(石蓴);Ulva

 石蓴アオサはアオサ類の緑藻の総称で狭義にはアオサ科アオサ属の海藻のことをいいます。日本沿岸どこにでも みられる緑色をした膜状の海藻で、長さと幅 はふ20〜30㎝ほどで、磯や砂浜の打ち上げ海藻として最も目立つ海藻の一つです。


 アオサ属は、ふつう潮の干満の影響を受ける比較的浅いところに生育しています。これは強い光による酸化を防ぐカロチノイドの一種のルテインを持っているからです。アオサ属はふつう春から初夏にかけて、海底の岩等に着生して繁茂します。ところが岩から離れて浮遊するアオサ属の中には、成長を続けてしばしば大量繁殖するものがみられます。この現象はプランクトンが引き起こす赤潮(レッドタイド)に対比させて、緑潮(グリーンタイド)と呼ばれます。緑潮がみられるところは、主に富栄

養化した波の静かな内湾です。アオサの大量繁殖は自然環境への打撃のみならず漁業や観光に打撃を与えるので、大量繁殖するアオサ類の利用法として、マリンサイレージという海藻を発酵させて魚介類の飼料とする技術で微細有機物に変換し、二枚貝や仔稚魚の餌として利用する研究開発が行われています。この将来構想は、海水

中の過剰な栄養塩類を吸収して成長したアオサ類を、マリンサイレージで餌とすることによって、アサリ等の資源増大が可能になるというものです。また、アオサは成長が早く、海水中の炭素や窒素、リン、栄養塩などを効率よく吸収するため、海水の浄化に寄与している一面もあります。


 アオサは食用とされますが、流通しているアオサのほとんどは養殖されているものです。フレーク状に加工して乾燥あおさとして流通しているものが一般的ですが、生のアオサを置いている所もあります。


 アオサを詠った俵万智さんの爽やかな短歌をご紹介します。


空の青海のあおさのそのあわいサーフボードの君を見つめる 俵万智




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