アオツヅラフジ(青葛藤):Cocculus trilobus

 青葛藤アオツヅラフジはツヅラフジ科アオツヅラフジ属のツル性の落葉樹で日本全国に分布し、山野の藪や日当たりのよい野原の茂みなどで普通に見られ、日本以外でも台湾やフィリピンに自生します。雌雄別株で夏に黄緑色から黄白色の花を付け,秋に青い小さな実をブドウのような鮮やかな藍色の果実を房状につけます。つる植物なので実の重さで湾曲している様子が目立ちます。根茎には沈痛や利水作用などの薬効があり、木防已モクボウイと称して漢方に使うことがあります。果実は有毒なので注意。


 名前の由来は、蔓に青味があり、強靭なこれらの蔓で葛籠を作ったこと、蔓が藤のように丈夫なことから由来します。別名の「カミエビ」は、エビヅル(現代でいうブドウ)をかもすという意味で、アオツヅラフジの果実を酒造に用いたこと、あるいはエビヅルよりも果実の色が濃いことを意味する「上エビ」に由来するといった説があります。


『万葉集』にも詠われ、東近江市糠塚町「万葉の森船岡山」や奈良市春日野町 「春日大社神苑萬葉植物園かすがたいしゃしんえんまんようしょくぶつえん」に歌碑があります。


漢文

可美都家野 安蘇夜麻都豆良 野乎比呂美 波比尒思物能乎 安是加多延世武


読み下し文

かみつ毛の安蘇山あそやまつづら野を広みひにしものをあぜか絶えせむ


作者不詳 巻十四・三四三四


※安蘇山;栃木県南各市に桐生川流域を加えた安蘇の山



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