アキカラマツ(秋唐松);Thalictrum minus var. hypoleucum

 秋唐松アキカラマツはキンポウゲ科カラマツソウ属の多年草。別名、高遠草タカトウソウ。日本では北海道、本州、四国、九州、南西諸島に、日本国外では朝鮮、中国に分布しています。主に草原や路傍に生育するが、沖縄島では山地に生育しています。


 和名の由来は、花には花弁が無く、萼は開花すると落下して、雄しべ多数と雌しべが残り、糸状の長い雄しべが花弁状に見えるため、この長い多数の雄しべを落葉松カラマツにたとえて、アキカラマツの名になったといいます。


 茎は高さ70~150㎝になり、上部はよく枝分かれします。葉は複数回三出複葉で、小葉は円形又は楕円形、長さ1~3㎝。茎の先に大きな円錐花序を出し、淡黄白色の小さな花を多数つけます。径8㎜ほどの花の花弁はなく、萼が花びら状で三~四個あり、長さ約4㎜ほどと小さく早く落ちます。雄しべ十数個、やくは淡黄色で目立ちます。雌しべは離生雌蕊りせいしずいで二~四個。痩果そうか狭倒卵形きょうとうらんけいで一~四個、長さ約3㎜、八個の翼があります。


 長野県伊那市高遠町では、古くから民間薬として高遠草たかとうそうという名前で健胃薬として腹痛、下痢、食べ過ぎなどに用いられてきましたが、アルカロイドを含んでいるので注意が必要です。


 高遠草の由来の地、高遠町は江戸時代、高遠藩の城下町で、高遠城址公園が国の史跡として残されています。高遠町について詠んだ短歌をご紹介します。


たかとほは山裾のまち古きまちゆきあふ子等のうつくしき町   田山花袋


向う谷に陽かげるはやし此山に絵島は生きのこゝろ堪へにし   今井邦子

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