アカバナムシヨケギク(赤花虫除菊);Tanacetum coccineum

 赤花虫除菊アカバナムシヨケギク はコーカサス地方から中央アジア原産の高さ90㎝になるキク科シロバナムシヨケギク属の多年草。葉は互生し、羽状に全裂して、裂片がさらに羽状に中裂し、最終裂片は欠刻状になりシダ植物を連想させる様な葉の形をしています。花は赤色の舌状花と黄色の筒状花が合わさり、基本的に一重咲きですが、品種によっては舌状花が幾重にも重なり八重咲きするものもあります。晩春から夏にかけて長い花茎の先に径4~8㎝ほどの頭状花序をつけます。花に殺虫成分である「ピレトリン」を含み、殺虫剤原料にされたことが名の由来となってますが、主に観賞用として栽培されています。


 蚊取り線香などには、主に地中海沿岸地域が原産の除虫菊(シロバナムシヨケギク)が使われますが、発明したのは和歌山県出身の上山英一郎で、慶應義塾で学んだ折りの縁で福澤諭吉からの紹介を受けたサンフランシスコで植物輸入会社を営むH.E.アモアが、日本の珍しい植物を求め英一郎の農家を訪ねた折りに除虫菊の種子を譲り受け、栽培方法やこの花から除虫方法を研究し、明治二十年(一八八七年)に殺虫効果を発揮する除虫粉の製造に成功しました。明治二十三年(一八九〇年)には、仏壇線香からヒントを得て、棒状の蚊取り線香を考案しましたが、短時間しか使用できないため、工夫改良し、明治二十八年(一八九五年)に「渦巻蚊取り線香」のアイデアの着想を得て、明治35年(一九〇二年)、世界初の渦巻き型蚊取り線香の発売を開始しました。明治43年(一九一〇年)には、「金鳥」の商標を登録。史記・蘇秦伝の「鶏口となるも牛後となる勿かれ」から引用したものと伝えられています。

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