アカネ(茜);Rubia argyi
和名の茜の由来は根を乾燥させると赤黄色から橙色となり、赤い根であることからアカネと名づけられました。
茜の根を乾燥したものを茜草または茜草根とも呼び、草木染めの染料や薬草として用いられます。漢方では通経、止血、利尿、解熱、強壮などの目的で処方されます。ホワイトリカーに漬け込んで薬用酒とする民間の健康法もあります。
茜色は吉野ケ里遺跡から出土の絹の端くれから日本茜と貝紫の色素が検出されていたり、『魏志倭人伝』に邪馬台国の女王卑弥呼が魏の王に献上したものの一つに「
(※日本経済新聞二〇一六年十二月一日文化欄「日本茜 格別の赤染める—室町時代に途絶えた古代技術 栽培から織機まで再現;宮崎明子)
また、七世紀後半から八世紀後半にかけて編まれた万葉集の中に、茜、茜草、赤根、安可根等で表現され人気のあった枕詞として茜は記されています。
あかねさす紫野行き
(巻一・二〇)
あかねさす日は照らせれどぬばたまの夜渡る月の
(巻二・〇一六九)
あかねさす昼は物思ひぬばたまの夜はすがらに音のみし泣かゆ
(巻十五・三七三二)
大伴の見つとは言はじあかねさし照れる月夜に直に逢へりとも
(巻四・五六五)
あかねさす日並べなくに我が恋は吉野の川の霧に立ちつつ
(巻六・九一六)
(巻十一・二三五三) 柿本人麻呂歌集(旋頭歌)
あかねさす日の暮れゆけばすべをなみ千たび嘆きて恋ひつつぞ居る
(巻十二・二九〇一) 作者不詳
玉たすき懸けぬ時なく我が思ふ妹にし逢はねばあかねさす昼はしみらに
(巻十三・三二九七) 作者不詳
飯食めどうまくもあらず行き行けど安くもあらずあかねさす君が心し忘れかねつも
(巻十六・三八五七) 作者未詳
あかねさす昼は
(巻二〇・四四五五)
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