#17 保護者達の思惑③ [マイ]


 エルフとの言い争いがあった夜、ガイルと私は集まり話し合っていた。


「状況は悪くなった」


「うん」

 私はあの時のことを思い出していた。


「魔力量が俺以上にある。周りにいる精霊はセカイ君に8人、エルフの方に5人だ。

 セカイ君の方はどうでもいい。問題はエルフの方だ。あの魔力量かなりの手練れだぞ」


「うん」

 エルフに言われた罵詈雑言ではない。


「たった一人でA級パーティと張り合える実力があると考えていいだろう」


「うん」

 彼がエルフに反論したときに言ったある言葉だ。


「とりあえずセカイ君が彼女の保護を拒否したことは良かった。

 しかしいつ保護という名の拉致をしたっておかしくないわ」


「うん」

 『俺はマイさんが好きだ』


「そこでだ。俺たちは王都へ行くぞ」


「うん」

 確かに彼はそう言った。

 

「勿論、彼もつれていく。正確にはニューソードのメンバーをな」


「うん」

 私のことが好きだって。


「王都にある本部から新しくできる冒険者育成機関の代表を務めないか声がかかっているんだ。始まりの街冒険者ギルドで多くの優秀な冒険者を育成したと功労としてだ。その時に、ニューソードも期待の新人パーティとして連れていく」


「うん」

 そう言われたとき、私の中で何かが変わった。


「ここでいつ彼が連れ去られるか分からない生活をおくるよりは、王都に行って彼を囲ってしまった方がいいだろう」


「うん」

 胸がドキドキして


「マイは嫌がるかもしれないが、こうするしかない」


「うん」

 彼のことを考えるだけで心がポカポカして


「他人を成長させる彼の能力は強力だ。いつかは勘づかれるだろう。

 そして、誰もが利用しようとするはずだ。しかし、そこに彼の人権があると思うか?

 王家、貴族、ギルド、裏社会の組織も自分達のことしか考えない屑ばかりだ。

 彼らの手にセカイ君を渡すぐらいなら俺達が管理するべきだ」


「うん」

 彼がいないとまるで心を締め付けられるように苦しくて


「彼の力さえあれば多くのA級冒険者を傀儡にできるだろう。冒険者ギルドを支配したも同然だ。そうすれば俺達を止める者は誰もいない。マイもセカイ君と安心して生活できるはずだ」


「うん」

 何かが疼いている。



「だから、マイ。お前の協力が必要だ――ってさっきから聞いているのか?相槌しかうっていないが」


「うん――えっ!ごめん、考え事をしていて聞いてなかった」


 私は現実に引き戻される。


「……大丈夫か?顔も赤いし動悸も激しいが……」

「大丈夫、大丈夫だから。で、彼を手に入れるために私は何をすればいいの?」


 その後もまともにガイルの話を聞くことはできなかった。


 今日の私は何かおかしい。

 私は寝ようと寝巻きに着替えた時にあることに気づいた。


 濡れている。


 私はごくりと唾を飲む。


 なら、拭かないと。

 濡れたまま寝たら良くないし。


 そういって私は秘部へと手を持っていきーー


 25年ぶりの快楽に魅入られた。

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