第5話 セクトール
「しかし、セクトールお前は酷い奴じゃな」
「まぁ…自覚はあるが…あんな親戚中の恥さらしを後ぞいとはいえ、妻に貰ってやったんだ、この位役得があっても良い筈だ」
「金ならリヒトの親からたんまり貰ったはずだろうが…しかも家畜の様にこき使って…金迄…」
「まぁな…」
俺はリヒトの親から『京子をリヒトに諦めさせたい』そういう相談を受けていた。俺は確かにだらしない男だが、流石に便所みたいな女なんて欲しくない。凄い恥だ…80歳の爺にまで抱かれた女なんて流石にごめんだ…だが、あの時は本当に金が無かった…だから金を貰って京子を嫁にした…堕胎を繰り返しガキも産めないクズだが…まぁ便所替りにはなる…あとは嫌がる京子を外で何回か抱いてリヒトに見せたら…終わり…後は馬や豚のように生涯こき使えば良い…そう思っていたんだが…
旅に出たリヒトから手紙が来た。
どうしても『京子』が欲しい、そういう話だった。
態々外でリヒトに見える様に『使った』のにマジかよ…
俺だってギリはある、リヒトの親に金は貰った。
だから、諦めさせる為に、無茶な要求を出した。
『金貨30枚(300万円)で譲ってやる…売らないでやるから、金が溜まる迄、毎月銀貨3枚(3万円)仕送る事』
そんな要求だ。
これは別に『売るつもり』で要求したわけじゃない。
親戚中、いや今では村中で抱かれ、子供の出来ない女なんて無料みたいな物だ。
彼奴は支援金がないから生活は辛い筈だ…
金貨30枚なんて普通は10年近く溜めないと堪らない…
本当に取る気はなかったんだが…彼奴は持ってきた。
京子なんてクズはどうでも良い。
だが、彼奴は俺の息子の親友で…小さい頃は俺を慕ってくれていた。
そんな奴に…俺は…彼奴の服はボロボロだったし、手もゴツゴツしていた。
だから…半額にしてしまった…
元から要らないゴミ女だから無料でも良い…
だが、金貨30枚で納得したのは彼奴だ。
俺は良い人間じゃない、カイトは勇者だが、多分俺に近くてクズだ。
だが、リヒトのあの目、純粋な目が…俺に金貨15枚を引かせやがった…
「セクトール…どうした…」
「何でもねーよ」
まぁ良い、金が入ったんだ…思う存分倒れるまで飲むか…
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